10年の本屋大賞1位に輝いた冲方丁(うぶかた・とう)さんの小説を、「おくりびと」の滝田洋二郎監督が岡田准一さん主演で映画化した「天地明察」が15日に封切られる。
ウナギノボリ
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舞台は江戸幕府四代将軍・徳川家綱の時代。碁打ちとして徳川家に仕える安井家の息子・算哲(岡田さん)は、算術や天体が好きな青年に成長した。碁打ちをするかたわら、彼が夢中になっているのは、神社の境内に掛けられた絵馬の算術問題を解くことと、空を見上げ天体観測をすること。そんな彼の資質に目をつけた家綱の後見人、会津藩主・保科正之は、ずれ始めた暦を作り直す改暦事業のリーダーに算哲を抜てきする。算哲は戸惑いながらも大仕事に挑んでいく……という物語。
誠実かつひたむきな算哲を演じるのが岡田さん。そんな彼をときに厳しく、ときに優しく支える妻・えんに宮崎あおいさん。そのほかに、算哲に多大な影響を与える算術の天才、関孝和に市川猿之助さん、えんの兄に佐藤隆太さん、算哲の碁打ちのライバル、本因坊道策に「関ジャニ∞」の横山裕さん。さらに、保科正之に松本幸四郎さん、水戸光圀役に中井貴一さん、算哲と敵対する陰陽博士に市川染五郎さんという多彩で豪華な布陣。
安井算哲という名でピンとこなければ、のちの渋川春海といえば聞いたことがあるかもしれない。その彼が、天文と算術、囲碁の世界を往来しながら日本独自の暦作りに挑んでいく。私たちが普段何気なく眺めているカレンダーだが、それが当時はいかに重要で、それを作り上げた人間がどのような人物で、その背景にはどのような出来事があったのか。当時は、徳川幕府に碁をもって仕える「碁打ち」という仕事があったこと、算術の世界では、問題を絵馬に書いて神社に奉納する「算学絵馬」や、そろばん以前の計算用具「算木」なるものがあったこと、さらに、当時の天文観測についてなども含め、分かりやすさを優先し、原作のはしょるところははしょり、ときにはドキドキするような見せ場を作り、史実をエンターテインメント作品に仕上げている。天文や暦学に詳しくない人間には「ほお~」と感心することしきりの作品だ。15日から丸の内ピカデリー(東京都千代田区)ほか全国で公開。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)
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