2000年にプレイステーションで発売された「ドラゴンクエスト7 エデンの戦士たち」が、3DSソフトとして生まれ変わる(13年2月発売)ことが発表された。過去に発売された作品に再度手を入れて出す“リメーク”という手法だが、07~10年に、「4」「5」「6」のリメーク版がDSで発売され、いずれもミリオン(100万本)を突破した実績があり、3DS版「7」もミリオンの突破が確実視されている。だが、そこにはゲーム業界の課題も見える。(毎日新聞デジタル)
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「ドラゴンクエスト7」のリメークを求めるファンの声は、07年にDS版で「4」「5」「6」のリメーク版が出た時からあった。「1」「2」「3」も携帯電話向けゲームとしても発売されており、リメークが続く過去のドラクエ作品の中で「次は7」との期待が高まっていたからだ。古いソフトを現行機種で生き返らせるこうした傾向はドラクエだけでない。近年は、リメークや追加要素を加えた強化版、他のゲーム機への移植が目につき、今年の年末商戦でも「モンスターハンター3G」「トトリのアトリエ」「フェイト/ステイナイト[レアルタ・ヌア]」「大神」「龍が如く1・2」「英雄伝説 空の軌跡FC」など、新作ゲームよりもラインアップが充実しており、人気を集めそうだ。
リメークが売れるのは、まず人気ゲームであることが前提であるため、「ブランド」の安心感があるためだ。一度遊んだ人でも、数年以上空けば意外と新鮮な気持ちで遊べ、若い新たなファンも掘り起こせる。また古参のゲーマーは当時の「楽しかった思い出」が加わる強みもある。さらに、長引くデフレ不況がもたらす消費者の台所事情も無視できない。趣味に使えるお金は限りがあるから、1本5000円もするゲームで“外れ”は引きたくない。だがリメークなら安心して買える……という理屈だ。
またメーカー側にとってもメリットは大きい。ゼロから新作のゲームを開発する際に必要となる制作費や人件費などのコストが削減できる上、元のファンがいるから一定以上の売り上げも見込め、短期間の開発で最終的に利益があがる。ゲーム市場は、07年の約2兆9364億円をピークに11年には約1兆4575億円に半減しており、かつての名作をリメークする動きはその減少に合わせて盛んになっており、リメークの活発化はこうした経営環境の悪化とも無関係ではないだろう。
もちろん問題もある。リメークをすると、当然ながら開発のリソース(資源)が取られるため、新しいアイデアを詰め込んだ完全新作ゲームの数は減る。またリメークは、元のゲームの完成度が高いほど内容をガラッと変えるような変更は難しいといい、開発者が企画や開発のノウハウを得たり、能力を伸ばすということが新作ほど望めず、コンテンツの充実という意味でも好ましくない。
ゲーム業界に詳しい評論家の小野憲史さんは「『ドラクエ』の次のゲームを育てられていないのは問題。ソーシャルゲームで大ヒットした『探検ドリランド』のようなソフトを、老舗のメーカーが作り出せなかった」と指摘する。一方で打開策について「(玩具メーカーの)バンダイのように『仮面ライダー』や『ガンダム』でビジネスを回す方法もある。『ドラクエ』も親子2世代で遊べるブランドになりつつあるから、国民的ゲームを目指して、『ポケモン』のようにより広い層へ訴求する手法を模索してほしい」と期待をかけている。
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