旅するW座:日本初公開「愛のあしあと」を各地で無料上映 “名付け親”小山薫堂と安西水丸も期待

1 / 4

 WOWOWで放送中の「W座からの招待状」(WOWOWシネマ、日曜午後9時)の“出張”イベントとして、「旅するW座」と題した無料の映画上映会が全国の単館系の映画館4館で、9日の第七藝術劇場(大阪市淀川区)を皮切りにスタートする。9日の上映後のトークショーにも出演予定の同番組のナビゲーターを務める小山薫堂さんと安西水丸さんに番組や出張企画に期待することなどを聞いた。(毎日新聞デジタル)

あなたにオススメ

 「W座からの招待状」は、製作費の大小やヒットの規模によらない「最も見てもらいたい本物の映画」を厳選して“上映”している。毎回上映前には、作品を紹介する特別アニメーションが流れ、文章を小山さん、絵を水丸さんが担当し、上映後には2人のトークが繰り広げられる。

 番組が始まって1年たつが、小山さんは「(この仕事が)負担で苦しいと思うときも。映画も見なければいけないので、こんなことしている暇ないんだよなーと思いながら見ることもある」とざっくばらんに明かす。しかし、この仕事をすることで「映画というのは自由なものなんだと気づかせてくれた」といい、「邦画だとヒットさせるために派手にして有名人を出さないといけないということを考えてしまうけれど、『W座』の映画は、『映画って自由。伝えたいことを製作陣が作り上げたらいいんだ』ということを思い出させてくれて勇気をもらえる。つまらない作品も中にはあるけれど、そういう作品でも『自分はこれより面白い作品を作れるぞ』という意味で勇気をもらえる」と笑顔で語る。

 一方、安西さんも「僕は映画が好きなので楽しく見ています。つまらないものも面白いものも。DVDを見ながらこのシーンを絵にしたいなと思ったらストップして、スケッチをするんです。時間がかかるので全部そういうふうにしているわけではないんですが……。絵を描くときは映画を見る以上に楽しい。カラーで絵が描けて、小山さんと話ができて勉強になりますね」と番組を楽しんでいる様子で、「彼(小山さん)が相棒でなかったらこの番組をやっていなかったです」と言い切る。

 9日からスタートする「旅するW座」は、デジタル化の設備投資を行うことができず、苦境に陥っている地方の単館系映画館を応援することを目的に、各地の映画館で出張興行をする同番組の企画で、金曜の夜に日本初公開の作品を先行無料上映する。第1弾の上映作品はクリストフ・オノレ監督の映画「愛のあしあと(原題:Les Bien-aimes)」だ。映画はパリ、プラハ、ロンドンを舞台にした母と娘の物語で、仏女優のカトリーヌ・ドヌーブさんとその娘で女優のキアラ・マストロヤンニさん、リュディビーヌ・サニエさんらが出演している。

 実は「愛のあしあと」という邦題のタイトルは小山さんが考えたものだという。「『W座』の仕事をするようになってから、キーワードを見つけながら映画を見るようになった」という小山さんは「映画にはハイヒール(靴)が登場し、象徴的に使われているので、タイトルに入れたかった。また、『子供』というのもキーワード。子供というのは愛の痕跡(こんせき)でもあるのでそれも含めて『あしあと』になりました」と明かす。

 あえて単館系映画館で日本未公開作品を上映するという企画に、安西さんは「『この映画をどこの映画館で誰々と見た』というのは思い出になるもの。僕も2週間に一度かそれ以上の頻度で映画館に足を運びます。『愛のあしあと』は出演している役者もいいし、パリという街を楽しめる映画」と話し、小山さんも「劇場主の個性やキャラクターが分からないと大きなきれいな映画館に行ってしまう。劇場に対する感情移入が生まれて、初めて足を運ぶもの。あの映画が見たいからというよりは、あそこで映画を見たいからあの映画館に行くというような……。単館系映画館は応援したいですね」と期待を寄せている。

 「愛のあしあと」は、第七藝術劇場(大阪市淀川区)で9、16日、シネマ尾道(広島県尾道市)で30日、12月7日、深谷シネマ(埼玉県深谷市)で12月14、21日、小倉昭和館(北九州市小倉北区)で13年1月11、18日に上映。また、番組が文庫本になった「夢の名画座で逢いましょう」(幻冬舎文庫)も発売中。

写真を見る全 4 枚

テレビ 最新記事

MAiDiGiTV 動画