注目映画紹介:「人生、ブラボー」 533人の自分の子に会いに行った男が出した結論とは?

(C)2011 PCF STARBUCK LE FILM INC.
1 / 6
(C)2011 PCF STARBUCK LE FILM INC.

 533人の父親になっていた男を主人公にしたオリジナリティーあふれる脚本で、世界中の映画祭で注目を集めたカナダの作品「人生、ブラボー」(ケン・スコット監督)が26日、公開された。早くもリメークが決まり、ハリウッドのドリームワ−クスが権利を獲得した。俳優、コメディアン、映画監督と多彩な顔を持つパトリック・ユアールさんが、人から愛される憎めないダメ中年を好演している。

ウナギノボリ

 ダビッド・ウォズニアック(ユアールさん)は父親の精肉店で配達を担当している中年男。多額の借金を抱えているのに、仕事は不まじめ。取り立て屋に追い立てられ、兄弟たちにもあきれられている。ある日、人生を変える二つの出来事が起きる。警官の恋人のバレリー(ジュエリー・ルブルトンさん)が妊娠。彼女は1人で子どもを育てると宣言。さらに弁護士が目の前に現れて、533人の子どもがいるという事実を告げられる。ダビッドは若いころ病院に精子提供した。そして生まれた子どもが533人いるという。そのうち142人が遺伝子上の父親の情報開示を求めて訴訟を起こすというのだ。その子どもたちの中には、自分の好きなサッカーチームの選手もいた。ダビッドは、子どもたちに興味がわいてきて、こっそり会いに行く……。

 いやあ、単純に物語が面白い。42歳になって恋人が妊娠し、その上、533人も子どもがいることが分かった……だなんて! なかなか思いつかない設定だ。最初は興味本位でこっそり子どもたちに会うダビッド。さまざまな子どもたちがいることを、彼とともに見ていくうちに、いつしか彼の心の変化に共感していることに気づく。デビッドは心の葛藤にどうケリをつけるのか。ラストに向けてはスリリング。「大いなる休暇」(03年)で脚本を担当したスコットの監督の作品。「父親になる」ということを、笑いと感動の中に描き出している。26日からシネスイッチ銀座(東京都中央区)ほか全国で順次公開。(キョーコ/毎日新聞デジタル)

写真を見る全 6 枚

映画 最新記事