朗読少女:乙葉しおりの本の小道 第105回 カレル・チャペック「R.U.R.」

「朗読少女」で、本の朗読をしてくれるキャラクター、乙葉しおりさん
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「朗読少女」で、本の朗読をしてくれるキャラクター、乙葉しおりさん

 美少女キャラクターが名作を朗読してくれるiPhoneアプリ「朗読少女」。これまでに100万ダウンロードを突破する人気アプリとなっている。「朗読少女」で、本の朗読をしてくれるキャラクター、乙葉しおりさんが名作を紹介する「乙葉しおりの本の小道」。第105回はカレル・チャペックの「R.U.R.」だ。

ウナギノボリ

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 皆さんこんにちは、乙葉しおりです。

 2月3日は節分……なのですが、お買い物に行っても豆や鬼の面などはほとんど見かけません。私がお買い物に行くスーパーの店内放送では、2月3日を「節分」ではなく「恵方巻の日」と呼んでいるほどです。

 毎年お家で豆まきをしている私にとって、こうした伝統行事が影を潜めていってしまうのはちょっとさびしい気がします。もしかして「厄を払う豆まき」よりも「福を呼び込む恵方巻」の方が前向きに感じるからなのでしょうか……?

 それではここでお誕生日コーナー、今回は3人の作家さんをご紹介させていただきます。

 まず2月6日は金庸(きんよう)さん(1924年生まれ・香港)。武術と任俠を描いた一大ジャンル「武俠小説」を代表する作家として中国語圏では絶大な人気を誇り、日本でも「秘曲 笑傲江湖(しょうごうこうこ)」や「天龍八部」など、数多くの作品が翻訳され、読むことができます。

 続いて2月7日は、チャールズ・ディケンズさん(1812年生まれ・英国)。昨年ご紹介した「クリスマス・キャロル」をはじめとするクリスマス・ブックスで知られています。ある孤児の苦難と成長の物語「オリバー・ツイスト」や、自身の経験をもとに執筆された「大いなる遺産」も有名ですね。

 そしてもう1人、同じく2月7日生まれの、ローラ・インガルス・ワイルダーさん(1867年生まれ・米国)。代表作となった「インガルス一家の物語」シリーズは、「大草原の小さな家」としてテレビドラマになり、日本でも広く知られています。このお話は「インガルス一家」の名前が示す通り、自身の家族史を描いたものとなっているんですよ。

 では続いて、朗読倶楽部のお話……朗読倶楽部顧問・癸生川新先生のこと・第3回です。

 「朗読館」に舞い込んだ依頼「商店街で使う録音宣伝放送のアナウンス」ですが、雑音が入らない静かな場所で録音する必要があって、「録音場所」を探すことになりました。

 いの一番に思いついたのは学校の放送室です。なんといっても機材が充実していますし、防音設備も整っていますから、録音にはぴったりの場所だと言えますよね。

 ……でも、この最有力候補、即座にダメ出しがでてしまいました……。学校側から施設の使用許可が下りなかったのです。理由はこの当時、朗読倶楽部がまだ部活動として認められていなかったためでした。

 仕方なく、体育館や家のお風呂場など、静かな場所をいろいろ模索してみたのですが、さまざまな障害があってなかなかうまくいきません。

 一番良いのは商店街の方々に協力をお願いすることでしたが、できれば私たちだけでどうにかしたい……その時、それまで黙って見ていた先生が、初めて口を開いたのです。

 「一つ、当てがある」と……。

 先生の「当て」とは一体なんなのでしょうか……と、いうところで、今回はここまでです。

 次回もまた、よろしくお願いしますね(*^^*)

 ◇しおりの本の小道 カレル・チャペック「R.U.R.」

 こんにちは、今回ご紹介するお話はチェコの作家カレル・チャペックさんの手によるSF戯曲「R.U.R.」です。

 「R.U.R.」とは、Rossum’s Universal Robots……「ロッサムの万能ロボット」を意味する略称で、物語の舞台となるロボット製造会社の名前でもあります。

 「ロボット」という言葉を初めて定義づけたこのお話が執筆されたのは、今から100年近く前の1920年。ちなみに、かの有名な「ロボット三原則」を唱えたアイザック・アシモフさんが生まれた年も同じ1920年で、偶然とは思えないつながりを感じますよね。

 ……今(1920年)よりも、未来のお話です。

 ある孤島に、「ロッサム万能ロボット製作所」という、「ロボット」を製造販売する会社がありました。「ロボット」とは、1920年に島へやって来た青年科学者・ロッサムの「人工生命研究」をきっかけにして生み出された、人間の姿を持ち、そのあらゆる労働力を肩代わりできる「人造人間」のこと。比較的手ごろな価格で入手でき、「人件費」の削減にも貢献する商品である「ロボット」は、世界中で爆発的な売れ行きを見せたのです。

 しかし彼らロボットは、「便利な道具」と呼ぶには、あまりに人間に似すぎていました。奴隷のように酷使される彼らを見て、同情する人たちもたくさんいたのです。

 「人道連盟」を代表する女性ヘレナさんは、ある日、ロボット製作所の社長・ドミンさんに面会を求めて孤島を訪れます。そこで彼女が目にしたのは、わずかな数の人間が多くのロボットを使い、新しいロボットを大量に「生産する」様子でした。心を持たず、人間のどんなひどい命令にも疑問を持たず、仲間意識が芽生えることもないロボットたち。

 彼らには心と尊厳が必要だとするヘレナさんに対し、ロボットはあくまで消耗品だと主張するドミンさんの対話は、平行線をたどるのですが……。

 「ロボットに心は必要か?」というテーマは、今日のSF作品では普遍的なものの一つとなっていますが、ロボットという言葉が初めて登場したこの作品で、既に描かれていたことだったんですね。

 ロボットが身近な存在になりつつある現在、その原典に触れることで、「人とロボットのあり方」について考えてみませんか?

 ※本コラムをしおりさんが朗読する「乙葉しおりの朗読倶楽部」がiPhoneアプリ「朗読少女」のコンテンツとして有料配信しています。

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