注目映画紹介:「ボクたちの交換日記」 ウッチャン7年ぶり監督作はさわやかな青春映画

「ボクたちの交換日記」の一場面 (C)2013「ボクたちの交換日記」製作委員会
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「ボクたちの交換日記」の一場面 (C)2013「ボクたちの交換日記」製作委員会

 人気放送作家の鈴木おさむさんの原作を、お笑いコンビ「ウッチャンナンチャン」の内村光良さんが7年ぶりの監督で映画化した「ボクたちの交換日記」が23日に公開された。売れない芸人の苦悩、コンビの微妙な関係とお笑い界の裏舞台が見どころだ。ちょっぴりほろ苦く、さわやかな青春映画に仕上がっている。伊藤淳史さんと小出恵介さんがダブル主演で架空のお笑いコンビ「房総スイマーズ」を演じる。主題歌は6月に惜しくも解散となる「FUNKY MONKEY BABYS(ファンキーモンキーベイビーズ)。

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 お笑いコンビ「房総スイマーズ」ボケの田中(伊藤さん)とツッコミの甲本(小出さん)は、同じ高校の水泳部出身。30歳目前でまったく売れず、遊園地の営業や同じ事務所のグラビアタレントのイベントの司会をやりながら、アルバイトもする日々を過ごしていた。2人の間は今や会話もない。現状の打開策として、田中と交換日記をすることにした甲本。最初は日記を嫌がっていた田中も、次第に思ったことを書くようになる。2人は再び夢に向かって歩み始め、関係が変化していく。田中に彼女ができ、甲本の彼女が妊娠。プライベートも変化する中、過去に失敗したお笑いコンテストが最後のチャンスとして迫っていた……という展開。

 伊藤さんと小出さんという2人の実力派俳優が出演していることがこの作品にとても大きな影響を与えている。夢と現実に苦悩する若者の姿をリアルに感じるだけでなく、観客の前でコントを演じるという高いハードルも越えている。お笑いコンテストのシーンでは、舞台上の甲本のプレッシャーがじわじわと肌で感じとれる。芸人である内村監督だからこそ作ることができた空気感が漂う。コンテスト後は、甲本の心情を中心に映画が動き出すが、小出さんの繊細な芝居に引きつけられる。仲間の才能への羨望(せんぼう)、自己否定、現実と夢の折り合い……。夢に向かって突っ走るだけがカッコいいのではない。人生を切り替える方も勇気がたくさんいる。不器用な甲本に対する内村監督の視線が優しい。23日から新宿ピカデリー(東京都新宿区)ほか全国で公開中。(キョーコ/毎日新聞デジタル)

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