注目映画紹介:「アンナ・カレーニナ」 トルストイの名作をキーラ・ナイトレイ主演で映画化

(C)2012 Focus Features LLC.All rights reserved.photography by Eugenio Recuenco,Laurie Sparham
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(C)2012 Focus Features LLC.All rights reserved.photography by Eugenio Recuenco,Laurie Sparham

 ロシアの文豪トルストイの「アンナ・カレーニナ」の最新映画版が29日、公開された。「つぐない」(07年)のジョー・ライト監督と「恋におちたシェイクスピア」(98年)の脚本家トム・ストッパードさんによって、舞台を駆使し、斬新な演出を施したぜいたくな映画に仕上がっている。アンナを演じるのはキーラ・ナイトレイさん。シャネルから貸し出された撮影用の約1億8000万円のダイヤモンドを身につけて、破滅のヒロインを熱演している。

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 19世紀のロシア。アンナ・カレーニナ(ナイトレイさん)は、政府高官の夫カレーニン(ジュード・ロウさん)と息子セリョージャとともにサンクトペテルブルクで暮らしていた。ある日、アンナは兄の浮気で壊れかけた兄夫婦の仲を取り持つためにモスクワを訪れた。そこで若い将校ヴロンスキー(アーロン・テイラー・ジョンソンさん)と出会い、一目で恋に落ちる。ヴロンスキーは「あなたのおそばに」という言葉通り、アンナのそばに常に現れる。不倫の関係に社交界で中傷の的になるアンナ。しかし本当の恋も知らず18歳で結婚したアンナは、熱情を抑えきれない。やがてうわさが夫の耳に入って……というストーリー。

 流麗なカメラワークに人物の個性を際立たせる豪華な衣装。舞台セットと映画の中の現実を行ったり来たりする展開が面白く、映画の中に迷い込んだかのような不思議な感覚にさせられる。欺まんに満ちた社交界で常に“演じている”人々が、映画の中でも踊らされているかのようだ。だからこそ、屋外のシーンが生きてくる。草原で愛し合うアンナとヴロンスキー、そして農村で生きることにしたまじめ人間のリョーヴィン(ドーナル・グリーソンさん)が農民たちと広大な大地で作業する姿……。登場人物の意志が力強く表現され、踊らされている姿はそこにはない。

 ロウさんのカレーニンは悲しみも表現され、人間味があって好演。ライト監督の作品をよく手掛けているダリオ・マリアネッリさんの音楽が壮麗に映画を盛り上げる。(キョーコ/毎日新聞デジタル)

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