ダンダダン
第7話「優しい世界へ」
11月14日(木)放送分
話題のライトノベルの魅力を担当編集者が語る「ラノベ質問状」。今回は「ノーゲーム・ノーライフ」(榎宮祐さん作・イラスト)です。メディアファクトリーMF文庫J編集部の清水朝子さんに作品の魅力を聞きました。
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−−この作品の魅力は?
“すべてがゲームで決まる”異世界に召喚された天才ゲーマー兄妹が、ファンタジー世界ならではのゲーム戦に悩みながらも痛快な攻略法を繰り広げる!というスリルと勢い、カタルシス満載の現代ファンタジー小説です。
ニートでヒキコモリな兄妹の空と白は、実はネット上の伝説のゲーマーで、その腕を見込んだファンタジー世界の“神”から、いわばスカウトされてしまうんですね。現実世界を“クソゲー”と呼んでいる2人は、現実へ帰りたいとはみじんも思わず、これ幸いにと異世界攻略を始めてしまいます。ところが、この世界で人類種は、天翼種や獣人種といった強力な他種族に負け続けた“最弱の種族”で、残った領土も雀の涙。おいおい、人類よ弱すぎないか!? そこで人類種の国・エルキア王国の王女・ステフと知り合った空と白は、“人類種の救世主”として種の命運を懸けた一大ゲームを戦うことに……。どんなゲームなのかは、ぜひ本編を読んでみてください!
−−作品が生まれたきっかけは?
もともとはマンガ家やイラストレーターをされていた榎宮先生ですが、初代担当の通称・ドSさんとご縁があって、先生の作家デビューが実現しました(ちなみに3巻から担当の私は“二代目ドSさん”だそうです)。本作は“著者兼イラストレーター”として榎宮先生が文章とイラストの両方を担当されている、ライトノベル界でも大変珍しい作品だと思います。もともとはマンガ原作用の企画案の一つだったらしいのですが、プロットと設定を温存されていて、小説という形で実現することとなりました。
マンガではなく、あえて小説&挿絵なのは、ご病気で本業のマンガ執筆を休筆されている間に「比較的体に負担が少ないので」と病床で書き上げられたからだとか。逆境の中でも一人二役をこなしてしまう先生のバイタリティーには本当に驚かされます! 企画のコンセプトは、“国境線すらゲームで決まる世界 国盗りギャンブル!”。ゲームが大好きな榎宮先生の趣味と情熱がたっぷり詰まって「ノーゲーム・ノーライフ」が誕生しました。
−−榎宮さんはどんな方でしょうか?
上でも少し触れましたが、榎宮先生は、寝ている時間と仕事をしてる時間以外、すべてささげている(本人談)という、無類のゲーム好きです。作品内にどんなゲームを出すかを打ち合わせるときは、膨大なプレー歴からインスパイアされた面白いゲームトークがたくさん出てくるので、全部を載せられないのが残念なくらいです。
先生と性格が似ている作中キャラは、ダントツで主人公の空ですね。共通点は、最強ゲーマーで人見知りで、あと、ちょっとひねくれた思考を持っているところも(笑い)。一方、先生が空と最も異なるのは“ブラジル人である”という点でしょうか。初めて実際にお会いしたときはびっくりしました。“マンガ家兼作家兼イラストレーターで、京都の抹茶団子が大好物。サングラスとヘッドホンを常時装備したブラジル人”は、私の知る限りでは世界で榎宮先生ただ一人ですね。
−−編集者として、この作品にかかわって興奮すること、逆に大変なことをそれぞれ教えてください。
もともとコンシューマーゲーム、ボードゲーム、T(テーブルトーク)RPGなどなど薄く広くゲームが好きだったので、ゲーマー垂涎(すいぜん)の「ノーゲーム・ノーライフ」に関わっている!というだけで興奮してしまいます。一番テンションが上がるのは、プロットの熱いアイデアが初稿で一つにつながったときですね。
一方、大変なのは、博識な榎宮先生のお話についていくために日々勉強が欠かせないことです。二人零和有限確定不完全情報ゲームの定義から世界経済の歴史と今後の動向まで、求められる知識は、本当に多岐にわたります。タイムスリップして中学生、高校生のころの自分に「今勉強していることは将来ライトノベルの仕事で全部役に立つから、やる気を出して頑張れよ!」といってやりたい! 編集者としても一ゲーマーとしても、榎宮先生からは本当に日々学ぶことばかりです。
−−今後の展開は?
「十六種族」のまだ明かされていない種族が登場!? ということで、4巻には前巻のあとがきで予告されているあの種族(+α?)が登場します。さらに今年の1月から月刊コミックアライブでコミック版「ノーゲーム・ノーライフ」を大好評連載中! マンガの作画担当は、榎宮先生の奥様・柊ましろ先生と……榎宮先生ご本人です。まさかの夫婦合作! 榎宮先生は実質“著者兼イラストレーター兼コミカライズ作画担当”となるわけですね(背後から先生によるドSコールが聞こえる……)。これに飽き足らず、今後も関係者一丸となってさらなる高みを目指したいです。
−−最後に読者へ一言お願いします。
榎宮先生とは「常に最上級のネタを全力で出していきましょう!」とお話ししているので、空と白はこれからも強敵に苦労すると思います。どうか温かく見守ってあげてください。最弱の人類種でもここまですごいことができるんだ!人間ってスゴイ!と感じていただければうれしいです。「ノーゲーム・ノーライフ」が紡ぎ出す“最も新しい神話”を、これからもどうぞお楽しみに!
メディアファクトリー コミック・ライトノベル事業部 MF文庫J編集部 清水朝子
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