35歳独身男の初めての恋物語「箱入り息子の恋」(市井昌秀監督)が公開中だ。音楽だけでなく、俳優や文筆家としても活躍する星野源さんが映画初主演を果たした。透明感あふれるヒロインを演じるのは、「天然コケッコー」(07年)などで知られる夏帆さん。ただの恋愛ものではなく、親の子への思いもこもった多面的な人間ドラマに仕上がっている。
あなたにオススメ
「豊臣兄弟!」では池松壮亮が! 大河ドラマ“秀吉俳優”史を振り返る
天雫健太郎(星野さん)は市役所でコツコツと働いてきた。両親と同居し、ペットのカエルをめで、ゲームをすることが楽しみな35歳。彼女いない歴35年だ。将来を心配した父(平泉成さん)と母(森山良子さん)は、代理お見合いに出かける。そして、裕福な今井家の箱入り娘・奈穂子(夏帆さん)とお見合いすることになった。お見合いの席で、今井家の父親(大杉漣さん)は、視覚障害を持つ奈穂子を大切に思うあまりに、健太郎を受け入れられない。しかし、すでに健太郎は可憐(かれん)な奈穂子に心を奪われていた。なんとかしてあげたいと思った今井家の母親(黒木瞳さん)は、夫に内緒で健太郎と奈穂子との交際のお膳立てをする……という展開。
傷つくのが怖くて人との接触を避けて、自分を守って生きてきた主人公の健太郎。映画は静けさの中に鬱屈としたものを包含しながら進み、健太郎の感情の高まりを伴って盛り上がりを見せていく。健太郎の前には壁だらけだ。恋が彼を奮い立たせるが、その姿はぶざまだ。だが、カッコよく見えてくる。恋とは傷だらけになって相手の心に触れることだと改めて思わせる。
一方、この映画は結婚適齢期の子を持つ親の姿もリアルに映し出している。子どもと一生、一緒にはいてあげられない。親の愛は過保護で独善的で、その結果、子の幸せを阻んでしまうこともあるのだが、それも親心というもの。両家の両親役のベテラン俳優陣がさすがの演技を見せる。テアトル新宿(東京都新宿区)、ヒューマントラスト有楽町(東京都千代田区)ほか全国で公開。(キョーコ/毎日新聞デジタル)
<プロフィル>
キョーコ=出版社・新聞社勤務後、闘病をきっかけに単館映画館通いの20代を思い出し、趣味の映画を見まくろうと決心。映画紹介や人物インタビューを中心に活動するライター業のほか、ときどき保育士としてとぼとぼ歩き中。
ディズニー・アニメーション・スタジオの最新作「モアナと伝説の海2」(デイブ・デリック・ジュニア監督ほか)の大ヒット御礼舞台あいさつが12月23日、東京都内で開かれた。イベントでは…
東宝の2025年の配給作品ラインアップ発表会が12月23日、TOHOシネマズ 日比谷(東京都千代田区)で行われ、2024年の興業収入などが発表された。市川南取締役専務執行役員は、…
2012年から7シリーズにわたって放送されたテレビ朝日系の人気ドラマの完結作となる映画「劇場版ドクターX」(田村直己監督)のクランクアップ写真が公開された。主演の米倉涼子さんをは…
俳優の米倉涼子さんが12月22日、東京都内で行われた主演映画「劇場版ドクターX FINAL」(田村直己監督)の“舞台あいさつFINAL”に登場。イベント終盤にあいさつを求められた…
花沢健吾さんのマンガが原作の映画「アンダーニンジャ」(福田雄一監督、2025年1月24日公開)の新キャストが発表された。津田健次郎さんが、謎の存在「アンダーニンジャ(UN)」の声…