小林聡美:説教っぽいせりふが「言えてる」 女優としてベテランに?

「パンとスープとネコ日和」で主演を務める小林聡美さん
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「パンとスープとネコ日和」で主演を務める小林聡美さん

 女優の小林聡美さんが主演する連続ドラマ「パンとスープとネコ日和」が、21日からWOWOWの「連続ドラマW」枠で放送される。原作は群ようこさんで、主人公・アキコ役の小林さんと相棒役の伽奈さんのほか、もたいまさこさんや光石研さん、市川美和子さん、加瀬亮さんら「かもめ食堂」「めがね」「プール」など小林さんの主演映画で共演経験のある顔ぶれがそろっている。なじみのキャストとスタッフで作る同ドラマに「映画よりも登場人物が関わり合っている。人間ドラマが濃くっていいな」と喜ぶ小林さんに、作品の魅力、今作に出演したことでの新たな発見について聞いた。(毎日新聞デジタル)

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 ドラマは、サンドイッチとスープのみを提供する小さな店を営むアキコと、店のお手伝いシマちゃんが、突然店に現れた1匹の猫と暮らす日常を描いた作品。出版社に勤める書籍編集者のアキコが、突然の母親の死と理不尽な異動をきっかけに、母の食堂を改築して店をオープンするところから始まる。演じたアキコについて、小林さんは「20代でどんどん仕事を変えたりせず、ある程度、会社でキャリアを積んで、ベテランの年になってから、新しいことを始めるというのは、やっぱりそれなりの覚悟と勇気がいる」とその行動力に感心し、「私はお芝居だからそういうことができるけれど、そういうこともしてもいいんだな、とチャレンジ精神を感じてもらえると思う」とキャラクターの魅力を語った。

 劇中に登場する小林さんの料理シーンは、ドラマの魅力の一つだが、監督からの具体的な指示はなく、小林さんにすべて任されているという。「料理のことに関しては何も言わないので、投げられっぱなしですね」と笑う小林さんに、おいしそうに見せる秘訣(ひけつ)を聞くと「リズム感ですかね、あんまりドタバタしても、ゆっくりしてもだめ。軽快なリズム感が大事なんじゃないかなと思います」と語った。

 演じたアキコのように「もし自分の好きなこと、女優ができなくなったら?」と聞くと、小林さんは「決めてないんですが、何かやれると思います」と言いつつ、「なんでしょうね、会社をやるのも大変そう。経営の手腕がないとだめだし、レジが打てないし(笑い)」となかなか思い付かない様子。「仕事は好きです。やみくもに演じるのではなく、いろんな人と何かを作ることが面白い」と女優業への愛着を見せ、「(女優を)やめろって言われたら……。でも言われないので、やらせてもらっています」と、笑顔を見せた。

 群さんの原作のドラマに、おなじみの顔ぶれがそろったことについて、現場では特に意識しなかったといい、「また同じことをやっていると思われやすいというのは分かっています。見てくださる方は同じと思うかもしれないけれど、それでもいい」と小林さん。「無理して変えなくてもいいと思うし、新しいところを見つけながら、その作品に取り組んでいく」と自然体で撮影に臨んだ。今回、自身で新しい発見をしたことは「あんまり説教っぽいせりふを言っても、嫌みじゃなくなった」という。「昔はせりふを言っていて『こんな偉そうなこと言っていいのかな』と思っていたんですが、今は(きちんと)『言えてる』って思う。ということは、自分がそういう年齢になったのかな……」と苦笑交じりに語った。

 アキコのようにこれから新しくやりたいことを聞くと、小林さんは「最近、俳句に凝っていて、俳句の世界を勉強したい。吟行にも行きたいな」と意外な趣味を明かした。「先生はいないけれど本格的な会をやっていますよ。毎月1回とても楽しいです」と熱く語りつつ、「本当に隠居するみたい……」と笑っていた。ドラマ「パンとスープとネコ日和」(全4話)は、21日から毎週日曜午後10時にWOWOWプライムで放送。

<プロフィル>

 こばやし・さとみ。1965年5月24日生まれ。東京都出身。79年にドラマ「3年B組金八先生」の生徒役でデビュー。 82年、大林宣彦監督の映画「転校生」で主演を務め、日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。主演ドラマ「やっぱり猫が好き」(88~91年)は深夜帯にもかかわらず高視聴率を記録して話題となった。映画では「かもめ食堂」(2006年)、「めがね」(07年)、「マザーウォーター」(10年)、「東京オアシス」(11年)などで主演を務めている。

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