押切もえ:初小説「浅き夢見し」に手応え 「夢を追い続けることは大切だけど大変」

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 人気モデルの押切もえさんの小説家デビュー作「浅き夢見し」(小学館)が7日に発売された。押切さんはこれまでに約16万部を発行したエッセー「モデル失格~幸せになるためのアティチュード~」(小学館)や「押切もえの恋するソウル完全ガイド」(学研パブリッシング)などの著書があるが、小説を執筆するのは今回が初めて。「一生懸命書いたので、賛否両論あっていい」と話す押切さんに、小説を書くことになった経緯や執筆中のエピソードなどを聞いた。(毎日新聞デジタル)

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 「浅き夢見し」は、25歳の売れないモデルが苦悩しながら有名モデルになるために一歩を踏み出す姿を描く物語。本文とは別に、章ごとに短い詩が挿入されており、押切さんの思いが表現されているのが特徴だ。256ページで価格は1260円。

 ◇モデル史上初の長編小説

 押切さんは、小説を書こうと思ったきっかけを「2009年に『モデル失格』を出版したとき、編集の方が『小説を書いてみないか』と言ってくださって、なんとなく意識した」と振り返る。普段から映画を見ていて響いたせりふや英語のフレーズなどを書きとめるなど、「言葉を書くことが好き」という押切さんは、「3年ぐらい前に、自分が仕事がなくてオーディションに落ちてつらかったことを2ページぐらい(小説のように)書いたんです。そうしたら、知り合いの編集者の方にこの続きが見たいと言われて。それが書き始めの部分になっています」と明かす。

 モデルを主人公にした作品を書こうと思ったきっかけは、「夢を追い続けることは大切だけど、大変なんだ」という思いを文章に残したいと思ったことだという。作品の中では、夢を追い続けるがゆえの葛藤や、恋愛におけるリアルな女心も描かれており、「今が潮時なのかも、と思わなくもないけど、やめてしまう勇気もなくて、毎回踏みとどまる。……だって、他に何もできない。また一から何かを始めるなんて考えられない」など主人公のリアルなせりふも多い。

 ◇出会った人の言葉に救われる経験

 人気モデルとして活躍する押切さんだが、人気ファッション誌「CanCam」(小学館)の専属モデルになる前の10代後半のころは「1年以上中ぶらりんでした」と明かす。そんな中、出合った言葉があった。「レッスンを受けていたときに、『誰かは絶対見ている』と先生から言われたことがあった。それを信じたら、腐っていられないなと思った」としみじみと振り返る。そして、“出会った人の言葉”に救われてきたと明かす。

 現在はモデルとして活躍する毎日だが、「好きな仕事をやっているけれども、なっただけではそこはゴールでない。そこから大変なこともある」と押切さんはしみじみと語る。職場での人間関係やプライベートでの悩みなど、「毎日楽しく生きていくのは大変なことだと思うので、そういうことが書きたかった」と作品に込めた思いを語る。

 ◇小説完成まで「1年半」

 書き始めから完成までには1年半かかり、その間は、米ハワイなど海外での撮影の合間にホテルに1人で戻って執筆したり、徹夜作業もあったといい、「睡眠不足でモデルの仕事が苦しくなったときもありました……」と苦労を明かす。それでも小説を「書いてよかった!」と言い切る。手応えも感じているようで、「(第2弾も)書きたいと思います。(今回を)反省して振り返って……」と意欲的だ。押切さんは、「夢を持って頑張っている人はもちろん、夢を忘れちゃったり、分からなくなっている人、毎日うまくいかないなと思っている人に読んでもらいたい。キレイになりたい人にも自分磨きのエッセンスを入れているので読んでほしい」と呼びかけた。

 <プロフィル>

 おしきり・もえ 1979年12月29日生まれ、千葉県出身。高校生のころからティーン誌でモデルとして活動を始める。人気ファッション誌「CanCam」(小学館)の専属モデルをへて、現在は2006年に創刊した姉妹紙「AneCan」(小学館)の専属モデルを務める。テレビ、ラジオ、イベントなどに出演、コラム執筆など多方面で活躍中。新書「モデル失格」、メッセージフォトブック「心の言葉」、旅行ガイド本「押切もえの恋するソウル完全ガイド」など著書も多数。

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