ダンダダン
第8話「なんかモヤモヤするじゃんよ」
11月21日(木)放送分
話題のライトノベルの魅力を担当編集者が語る「ラノベ質問状」。今回は「ブラック・ブレット」(神崎紫電さん作、鵜飼沙樹さんイラスト)です。アスキー・メディアワークス電撃文庫の黒崎泰隆さんに作品の魅力を聞きました。
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−−作品の魅力は?
作品の舞台は、近未来の日本。世界中で発生したウイルス性の寄生生物(ガストレア)との戦いに敗北した人類が、狭い国土に追いやられ、絶望とともに生きている……。そんな世界の物語です。
東京エリアに住む少年・里見蓮太郎は、対ガストレアのスペシャリスト「民警」として、相棒の少女・藍原延珠(あいはら・えんじゅ)とともに日々、危険な任務を遂行しています。そんな2人がある日、東京を壊滅させかねない極秘任務を受けるのですが……。
この作品の見どころの一つは、不幸顔の貧乏高校生・蓮太郎と“胸ぺちゃんこ”の10歳の少女・延珠とのコンビネーションです。2人は同じ部屋で暮らしているのですが、延珠がいつでも蓮太郎に分かりやすいラブラブ光線を送っているのに対して、蓮太郎は「俺はロリコンじゃない」とばかりに、これまた分かりやすくスルーしています。こんな凸凹コンビが、いざ戦闘シーンとなると、お互いを信頼しながら、強い敵を次々と倒していく様子は、痛快でドラマチック。手に汗握ること、必至です!
ほかにも、人気イラストレーターの鵜飼沙樹さんが、個性豊かなキャラクターたちを雰囲気たっぷりの魅力的な絵で表現しているのも見どころですので、ぜひご覧いただきたいです。
−−作品が生まれたきっかけは?
著者の神崎紫電さんが原稿を持って、電撃文庫編集部にいらっしゃったことが、きっかけです。そのときの原稿に書かれた蓮太郎は、今の性格とはガラッと違っていたのですが、打ち合わせを重ねるうちに、現在のような少年へと変化していきました。
−−作家とイラストレーターはどんな方でしょうか?
神崎さんは、なによりもまず読者のことを最優先に考える真摯(しんし)な作家です。そして原稿についても、より高いクオリティーを目指すがゆえに、たいてい締め切りを大幅にオーバーしてしまいます。でも、締め切り前に「締め切りには間に合いません。申し訳ない」とキッチリと事前に断りの連絡をしてくるのが、真面目で憎めないところですね。そして、大の映画好きで、打ち合わせ中にもかかわらず、ふとしたことで最近見た映画の話になったりすると、原稿のことを忘れて、2人で映画話に熱中してしまう……なんていうこともあります。
イラストレーターの鵜飼さんは、絵をご覧いただくとお分かりのように、すごく繊細な感性をもっていらっしゃる女性です。腰も低く、静かな淑女です。鵜飼さんにこの作品をお願いしたのは、ホームページでイラストを拝見したときにビビッときて「『ブラック・ブレット』は、この人の絵しかない!」と直感したからです。小説の内容が「絶望の中に希望を見いだす」というものでもありますので、どこか暗さや憂いを含みながらも、淡く美しい繊細な色味が特徴の鵜飼さんのイラストは、ピッタリだと思ったのです。快く依頼を受けていただいた鵜飼さんには、感謝の言葉しかありません。
女性ですので、銃器などの武器は苦手かな?という先入観があったのですが、あるとき「武器を書くのは大好きです」と言われ、ビックリしました。面倒そうな武器でもササッと描いていただけるので、とても助かっています。
−−編集者として、この作品にかかわって興奮すること、逆に大変なことについてそれぞれ教えてください。
興奮するのは、やはり上がってきた原稿を読むときと、イラストを見るときです。神崎さんにしろ、鵜飼さんにしろ、こちらの予想を大きく上回るクオリティーのものが届きますので、編集者冥利に尽きます。
大変なことは、特にありません。あえて大変なことを言うのであれば、神崎さんが非常に規則正しい生活を送っていることでしょうか。なぜそれが大変かと言うと、私の生活が不規則だからです……。神崎さんは夜が明けるかどうかという早朝に起床して、夜は早々に寝てしまいます。私の仕事のメーン時間は夜なので、神崎さんと電話で話そうと思っていても、気を抜くと夜中になっていて「ああ、もう神崎さんは寝てる時刻だな」ということになり、結局は翌日になったりするわけです。当然のことながら、私が規則的な生活をすればいいだけですので、神崎さんには申しわけない限りです……。
−−今後の展開は?
作品に描かれていることは、神崎さんの頭の中にある設定のほんの一部です。蓮太郎や延珠、天童木更の過去には、まだまだ隠された謎がたくさんあります。敵であるガストレアにも、驚くような設定が潜んでいます。物語が進むごとに、少しずつその秘密が明らかになっていきますので、ぜひ楽しみにお待ちください。
−−最後に読者へ一言お願いします。
人類最大の敵ガストレアを掃討できるのか? 人間は生き延びられるのか? 命を削りながら戦っている延珠はどうなるのか? 復讐(ふくしゅう)の道を歩む木更に幸せは待っているのか? そして彼女たちを守ろうとする蓮太郎は……。
読者の皆さまは、いろいろと気がかりかと思います。正直、私も気がかりです(笑い)。けれど著者の神崎さんは、それらすべてをキレイに最後まで描ききる力量のある作家さんですので、期待してください。そして、これからも応援をよろしくお願いいたします。
アスキー・メディアワークス 第2編集部 黒崎泰隆
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