レオナルド・ディカプリオさんがマーティン・スコセッシ監督と5度目のタッグを組んだ映画「ウルフ・オブ・ウォールストリート」が31日から全国で公開された。今作は、実在した株式ブローカー、ジョーダン・ベルフォートさんの成功から破滅までを描き、その破天荒な生きざまを表現したディカプリオさんが、3月に発表される米アカデミー賞で主演男優賞にノミネートされているほか、作品賞など4部門でもノミネートされた話題作だ。
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22歳で金融の世界に飛び込んだジョーダン・ベルフォート(ディカプリオさん)。金なしコネなし学歴もなし。ただやる気だけに満ちている彼は、ブローカーの資格を取り、巧みな話術と斬新なアイデアで着々とのし上がっていく。そして、26歳で証券会社を設立し、年収4900万ドル(約50億円)を稼ぎ出すまでになる。ところが、違法行為スレスレの商売と放蕩(ほうとう)生活が、徐々に彼の首を絞めていく……という展開。
これまでのスコセッシ監督の作品といえば、人間の内面をじっくりと描くドラマチックな内容のものが多かった。ところが今回はそういった表現は極力避け、あれよあれよと成り上がり、あれよあれよと没落していくジョーダンの金、ドラッグ、美女にまみれた破天荒な生活ぶりに目を向け、コメディー色の強いエンターテインメント作に仕立てることに徹している。といっても、ジョーダンの人生自体が十分ドラマチックだから、それをさらに脚色する必要もないのだが……。
そのジョーダンを演じているのがディカプリオさんだ。貯金ゼロの貧乏暮らしで、妻を愛し、マシュー・マコノヒーさん演じる上司マーク・ハンナのブローカー哲学に、瞳をキラキラさせながら聴き入っていたうぶな青年の顔は最初だけ。その後、マシンガントークの巧みな話術と違法スレスレの大胆な方法で株を金持ち連中に売りつけ、もうけた金で、ドラッグ片手に美女をあさり、高価なディナーを振る舞い、車をクラッシュさせ、大型クルーザーを沈め……と、とんでもない放蕩男に変貌していく。そんなメチャクチャな男をディカプリオさんは、ときに自信たっぷりに、ときにチャーミングに演じ、従来のイメージを覆す妙演を披露している。1993年の「ギルバート・グレイプ」以降、今回で4度目のアカデミー賞ノミネート。悲願のオスカー獲得に期待がかかる。映画は31日から丸の内ピカデリー(東京都千代田区)ほか全国で公開中。(りんたいこ/フリーライター)
<プロフィル>
りん・たいこ=教育雑誌、編集プロダクションをへてフリーのライターに。映画にまつわる仕事を中心に活動中。大好きな映画はいまだに「ビッグ・ウェンズデー」(78年)と「恋におちて」(84年)。
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