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菅田将暉:「年々、欲深くなっている」 映画「そこのみにて光輝く」ほか出演作が目白押し

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 2013年に映画「共喰い」(青山真治監督)の主演で注目を浴び、NHK連続テレビ小説「ごちそうさん」でヒロインの息子役を演じた菅田将暉(すだ・まさき)さんが出演した映画「そこのみにて光輝く」が全国で公開中だ。1990年に亡くなった後、再評価されている作家・佐藤泰志さんの同名小説を原作に、綾野剛さん主演で、「オカンの嫁入り」(10年)の呉美保監督がメガホンをとった。北海道・函館を舞台に、わけあって仕事をやめて無意味に過ごしていた達夫(綾野さん)と、家族を支えるために過酷な日常を送る千夏(池脇千鶴さん)との愛を軸に、ひたむきに生きる男女の姿を描き出した。菅田さんが演じた千夏の弟・拓児は、達夫と千夏を出会わせる重要な役柄で、粗暴と無邪気を併せ持つ人物を魅力的に演じた。今作について菅田さんに話を聞いた。

 −−拓児の家庭は複雑です。貧乏な家で、寝たきりの父親がいて、世話をする母親、そして姉の千夏がいる。演じるのは難しかったですか? 

 物語はシンプルで、拓児のバックボーンが明確なので、難しく考えないで臨みました。気は荒いけど本質は無邪気で明るい。不遇な家庭に育って、姉の千夏を助けたいと思っています。達夫と出会ったことで刺激を受けて、働く意欲が芽ばえていきます。純粋に生きている拓児が感じるものを大切にしながら演じていきました。

 −−まだらな金髪で赤い半ズボン。自転車の荷台に腰をおろしてタラタラと走る。拓児の風ぼうなどはどうやって作り出していきましたか? 拓児の動きも「こんな人いるいる」という感じで、見ていて楽しいのですが。

 呉監督と話し合いながら、「歯を黄色くしてみよう」「髪の毛はプリンのような金髪がいいかも」と決めていきました。自転車の乗り方は、(綾野)剛君と「自転車っていろんな乗り方があるよね」と話しているうちに、「じゃあ、荷台に座ってみようか」となって、座ってみたらなんかしっくりきましたね。今回、談笑から発想が生まれていった部分もありました。

 演技で特に大事にしたことが生活感です。言葉遣い、立居振る舞い……毎日そうやっているであろう動きを探っていきました。たとえば家に帰って、扇風機を自分の方に向ける、冷蔵庫を足で閉める、いつもの場所に座る……。一連の動作を長回しのカメラの前で、いかに自然にやるかが大事でした。

 −−拓児と千夏の家は、そこに住んでいる感じがよく出ていて、美術スタッフの素晴らしさも感じましたが。

 そうなんです。タオルの場所、ぶら下がった洗濯物……。スタッフが細かいところまで作っていて、お陰で芝居も助けられました。机の上にあるお菓子にしても、それがあるかないかで演技の仕方が違ってきます。お菓子に当たり前に手がのばせて、生活感を出せますから。撮影前日に、スタッフが地元のコンビニで見つけたものを用意してくれたんです。

 −−綾野さん、池脇さんとの共演はいかがでしたか? それぞれのシーンでとくに見てほしいところは?

 お二人が気軽に話しかけてくれたので、とても楽しい撮影現場でした。演じながら拓児がどんどん自由になっていくのを感じましたね。達夫とのシーンで僕が一番見てもらいたいのは、出会ってすぐ、拓児が達夫を自分の家に案内するまでの道のりです。2人でタラタラと海岸沿いを行く何気ないシーンで、拓児が感じる幸せを僕も感じていました。千夏とのシーンでは、達夫を家に連れて行ったときのシーン。「姉ちゃん」と呼んだとき、千夏が「しゃーないな」と言って出てくる。この「しゃーないな」に千夏の優しさが出ていて、姉と弟の関係も一気に分かります。

 −−達夫と千夏が引かれ合う様子が映画の見どころですが、拓児も入れての3人の関係がとてもいいですね。拓児は達夫、千夏のことをどう思っていると考えたのでしょうか。

 拓児にとって達夫は、初めて一緒にいて甘えられる相手です。達夫と姉が結婚すれば、兄になるから、姉と「血筋」という絶対的な絆があるのと同じくらい深い絆を感じていると思いました。姉に対しては、ただ幸せになってほしいという気持ちなんだと思います。拓児の家族への思いが込められたせりふがラスト近くに出てきますので、ぜひ見てください。僕は長男なので、千夏の気持ちも分かるんです。千夏は長女として家族を守る役割を担っている。父と母の不幸も背負ってしまっている。だからこそ拓児は姉を幸せにしたい。理屈でない愛を2人に感じます。

 −−この作品の魅力をアピールしてください。

 家庭環境や時代で「なんでこうなるのか」とあきらめている人たちがいて、もし違う環境で育っていたとしたら、自分の好きなことをやれたのかもしれません。達夫、千夏、拓児は愛を求めているし、他人から愛されなければいけない人間なのだと思います。生きるってことは、簡単なことではないけれど、どこかに希望がある。見る方それぞれに感じていただけるかと思います。

 −−今後、出演作の公開も続きますね。これからの俳優としての抱負を聞かせてください。

 年々、欲深くなってきています(笑い)。目の前に次々と試練が現れて、闘っていくうちに、気づいたらこんなところにいた、というのが僕の理想です。今回、父親役の田村泰二郎さんとご一緒させていただいて、表現力に圧倒されました。まあ、なんともいえないヌメッとした感じで、表情一つにこれまで培ってきたものが出ていて刺激を受けました。周りの先輩方からもどんどん学んでいきたいです。

 <プロフィル>

 1993年2月21日生まれ。大阪府出身。2008年、第21回「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」の最終選考に残ったのをきっかけに芸能界入りし、09年、「仮面ライダーW」に史上最年少で主演に抜てきされ、劇場版「仮面ライダー×仮面ライダー W&ディケイドMOVIE大戦2010」(09年)や「仮面ライダーW FOREVER A to Z 運命のガイアメモリ」(10年)などの映画にも出演。「王様とボク」(12年)、「男子高校生の日常」(13年)、「陽だまりの彼女」(13年)と立て続けに映画出演し、主演作「共喰い」(13年)で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。今年、「闇金ウシジマくん Part2」「海月姫」の公開を控える。

 (インタビュー・文・撮影:上村恭子/フリーライター)

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