軍師官兵衛:有岡城土牢で岡田准一に「地獄を見せる」 美術担当が語るセットのこだわり

「軍師官兵衛」の有岡城土牢のセット(左奥)でこだわりを説明する山内浩幹専任ディレクター
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「軍師官兵衛」の有岡城土牢のセット(左奥)でこだわりを説明する山内浩幹専任ディレクター

 人気グループ「V6」の岡田准一さんが豊臣秀吉の軍師・黒田官兵衛役で主演を務めるNHKの大河ドラマ「軍師官兵衛」に登場する有岡城土牢のセットがマスコミに公開された。有岡城土牢は、官兵衛の生涯の分岐点となる幽閉の舞台。3日間という短期間で作り上げた入魂の有岡城のセットは、堀だけでなく牢の中にも水を張り、撮影では虫やねずみ、海草なども仕込んだといい、美術セットを手がける山内浩幹専任ディレクターは「岡田さんに地獄を見せようと作っています」と熱い思いを語った。

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 ドラマは、戦国時代末期に“天才軍師”と称され、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の三英傑に重用され、九州・福岡藩52万石の礎を築いた官兵衛の生涯を描く。11日放送の第19回から、織田信長に謀反を起こそうとした荒木村重の居城・有岡城が登場し、村重を思いとどまらせようと官兵衛が乗り込み監禁される牢や、脱獄を図ったあとに幽閉される土牢での過酷な生活が描かれる。

 有岡城のデザインは、実物も現地に赴き参考にしたが、牢についての情報が諸説あったため、想像を加えて作ったという。通常の同ドラマのセットは約1週間で仕上げるところ、構想から図面まで約3週間かけた。同セットでの撮影は4日間ほどで、劇中の1年以上という時間経過を描くために、徐々にボロボロにしていくという。

 牢について、山内ディレクターは「自然の崖をくりぬいて作ったようなデザインにした。湿地なのでカビが生えたり腐食している。官兵衛が1年以上体を伸ばせなくて、足を悪くした場所なので、非常に狭くした」と解説した。牢屋の窓に十文字の鉄格子をつけたのは創作で、「官兵衛が後にキリシタンになるので、牢で悟りの境地にたどり着くとき、彼の顔に十字の影が出るようにと思った」とその意図を明かした。牢屋の小さな窓に当たる城壁には藤のつるをあしらい、「官兵衛は、牢屋の窓から見える藤の花を見て、生きる希望と勇気にした。後に(藤が)黒田家の家紋となる。今は咲いていないが、季節に合わせてそのエピソードも描くことになる」と語った。

 土牢のシーンは「本来人の住めないところで堪え忍んで生きた結果、官兵衛が神に生かされているという思いを抱く場所」と山内ディレクターはその重要性を表現する。主演の岡田さんも、美術にリクエストを出したといい、「牢屋での服装のテストのとき、(牢の中の)土の質感や色への質問があった。『粘土質を混ぜてほしい』と言われて、(岡田さんの)思い入れと気合が伝わってきた。美術担当も本気でそれに応えるべく、全力で作った」と熱く語った。

 大河ドラマ「軍師官兵衛」はNHK総合で毎週日曜午後8時ほかで放送中。

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