佐々木蔵之介:「超高速!参勤交代」でお人好しの藩主を熱演 「ポップでカッコいい時代劇」

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 幕府の無理難題に挑む貧乏藩の不屈の精神を描いた「超高速!参勤交代」(本木克英監督)が公開中だ。映画は、貧乏藩が知恵と工夫を凝らした奇想天外な作戦を立てて難関を乗り切り、たった7人で参勤交代を目指す姿をユーモアを交えながら描いている。藩主役に佐々木蔵之介さん、ヒロイン役を深田恭子さんが演じ、そのほか伊原剛志さん、西村雅彦さん、寺脇康文さん、「Hey!Say!JUMP」の知念侑李さんら豪華キャストが集結。主人公で湯長谷藩(現在の福島県いわき市)の藩主・内藤政醇(ないとう・まさあつ)を演じる佐々木さんに役作りや撮影現場の様子や時代劇の魅力などを聞いた。

 ◇いわき弁が役を作る上での大きな武器に

 お人よしだが民から愛される親しみの持てる政醇について、佐々木さんは「上司としてはいい上司ではないだろうかと思います」と評する。「政醇はスーパーマンでなければカリスマでもない上に、閉所恐怖症で隙間を空けていないと厠(かわや)にも入れない。だけどかごから降りて大根をそのまま食べるような民に近い人間で、藩士たちも家族のように思っている」と人物像を語る。ちなみに自身と似ている部分はあるかと聞くと、「閉所恐怖症でもないですし、トイレも一人で入れます」といって笑う。

 そんな政醇を演じる上で最大の武器になったのが“いわき弁”だという。「時代劇は所作や言葉遣いなどがハードルになってきますが、いわき弁が役を作る上での大きな武器、味方になりました」。とはいうものの「最初はなかなか難しくて、方言指導の方にいろいろと聞いて、さまざまなニュアンスのいわき弁を教えていただきました」と苦労を明かす。特に難しかったのが「いわき弁は濁音をどこで入れたらいいのかが分からなくて、ただ、すべてに濁音を入れたらいいわけでもない。(方言指導の方に)法則性があるのかを聞いても『それはない』と言われたので、耳で聞いて覚えるしかなかったですね」と振り返る。

 映画では、政醇が藩主を務める湯長谷藩に幕府から「5日以内に参勤せよ」という無理難題が命じられるが、「政醇たちは道中を走ることで時間を短縮しようとしますが、走り方について監督が無理難題を言ってきました(笑い)」と撮影現場でも無理難題を強いられたという。「現在のように手を動かす走り方になったのは明治以降らしく、それまでは “ナンバ走り”(手と足を左右同じ方を同時に出す走り方)だったそうなんです。それを再現してほしいといわれたのですが、なかなか難しかった」と話す。解決策として「刀のさやを持つことで何とかそういった感じに見えるようにしました」という。

 ◇場を乱したのは菊千代という猿

 湯長谷藩の藩士たちを演じる伊原さん、西村さん、寺脇さんをはじめ、共演者には実力派が顔をそろえる。佐々木さんは「監督もおっしゃっていましたが、自分の立ち位置や役割などを分かってらっしゃる方ばかりなので、すごく助かりました」と感謝する。そして「私はほとんど何もしていなくて(笑い)、本当に『僕は主役をさせていただいています』というだけで、あとは皆さんに支えていただいていると思います」と謙遜する。

 佐々木さんが「台本の時点で藩士たちの色分けがくっきりとされている上に各役者さんが肉付けされているので、現場はものすごく滞りなく進みました」と話すように、劇中の湯長谷藩のように現場は和やかな雰囲気だったようだ。しかし、「唯一、場を乱していたのが菊千代という猿で、まあ言うことを聞かない(笑い)」と明かし、「よく機嫌が悪くなられて早くお帰りになったり、僕らが整ってから入っていただくなど、いろいろと気を使いました」と意外な共演者に振り回されたという。そんな菊千代は柄本時生さん演じる増田弘忠と行動を共にすることが多いためか、「本番というのが分かるらしく、共演することが多い柄本君に一番懐いてなかった」と笑いながら暴露する。

 撮影は「昨年、京都の渡月橋が浸水した時期に撮影が重なっていました」と悪天候に見舞われ、「京都の流れ橋での撮影を予定していたのですが、最後の橋を渡っていくシーンは静岡の蓬莱橋に急きょ決めて撮影しにいきました」と悪天候によって撮影場所が変更したことを明かした。「最後の橋というのは日光街道から江戸に渡っていく象徴的なシーン」と印象深い場面として挙げた佐々木さんは、「(蓬莱橋)木造では日本一長いそうで、川の水面から高くて欄干が低く、長さがある。弾丸でロケに行って7分ぐらいかけてずっと引きで撮影していました」と感慨深げに振り返った。

 ◇若い世代にも見てほしい

 今作のストーリーについて、佐々木さんは「参勤交代の前に“超高速!”と付くので、時代劇だけれども、すごくインパクトやパンチのある、ユーモアあふれるタイトルだなと思って台本を読んだところ、ものすごい勢いで読めました」と一気に引き込まれたという。続けて「展開がすごく早くて、タイトルからはコメディーな感じではありますが、しっかり時代劇を作っているとは思う。大立ち回りもしっかりやっていますし、単なるドタバタではないと思います」と時代劇らしさも楽しめる作品であることを強調。軽妙なタッチの展開が続く中、終盤の大立ち回りではシリアスな雰囲気も醸し出している。「1週間から10日間ぐらいかけて撮りました」と語る立ち回りでは、「いわき弁のちょっと緩く柔らかい感じの彼らが、武芸百般にたけている部分を見せるには、やっぱりカッコよく見えた方がいいということで稽古(けいこ)に励みました」と自信を見せる。

 ユーモラスでありながら所作や立ち回りと行った時代劇要素もきちんと入れ込んである今作だが、時代劇に慣れていない若い観客に向けて、「時代劇って、こんなに自由なんだ」と感じたと話す佐々木さんは、「こんなにポップで愉快でカッコいい時代劇はないなと思います。それに知念君のふんどし姿も見られるなど、知念君が“超”可愛いです(笑い)。ぜひ、若い世代の方にも見てもらいたいですね」と時代劇初心者に向けてメッセージを送った。映画は新宿ピカデリー(東京都新宿区)ほか全国で公開中。

 <プロフィル>

 1968年2月4日生まれ、京都府出身。大学在学中から劇団「惑星ピスタチオ」で活躍し、2000年にNHK連続テレビ小説「オードリー」で注目を集める。以降は映画やドラマ、舞台など幅広く活躍し、7月スタートのドラマ「ゼロの真実~監察医・松本真央~」(テレビ朝日系)に出演するほか、12月には主演舞台「ショーシャンクの空に」の上演が控えている。

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