神さまの言うとおり:福士蒼汰らが死のゲームに挑む 三池崇史監督最新作の撮影現場を公開

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 金城宗幸さん原作、藤村緋二さん作画の人気マンガを基に福士蒼汰さん主演、三池崇史監督がメガホンをとる実写映画「神さまの言うとおり」の撮影現場がこのほど公開され、撮影の合間に開かれた会見には福士さんほか、山崎紘菜さん、神木隆之介さんら主要キャストと三池監督が出席した。主人公の高校生・高畑瞬役の福士さんは、三池監督について「最初は怖いかと思いましたが、作品をより面白くしようとする熱や遊び心、観察力などいろいろ面を持っている方」と語り、絵コンテの説明をしている時の目が「少年のように輝いていたのが印象的」と監督の撮影時の様子を明かした。「今までやった中で一番デジタル的で、CGのキャラクターと生身の役者が向き合う今までにないタイプの作品」と今作を評す三池監督は、物語の性格上CG処理が多いことから「公開日に対する恐怖感はありますが(笑い)、手応えとしてはがっつりいくのでは」と冗談を交えつつ自信を見せた。

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 「神さまの言うとおり」は「別冊少年マガジン」(講談社)で連載され、第2部が現在「週刊少年マガジン」(同)で連載中のマンガが原作。映画では、退屈な日常にうんざりしている高校生の瞬が、ある日クラスメートとともに突然学校に現れた「ダルマ」の宣言で始まる命を懸けた理不尽なサバイバルゲームに巻き込まれていく恐怖や不条理などを描く。山崎さんは、瞬の幼なじみで同映画のヒロイン・秋元いちか役、神木さんは瞬の同級生で暴力を愛する問題児・天谷武を演じる。撮影は6月15日から始まり、今回公開されたのは映画に出てくる数種のゲームの一つで、 “誰かが必ず死ぬという死のカンケリゲーム”を撮影するシーンだった。ゲームは映画オリジナルのもので、製作日数が10日間かかったという1900年に開催されたパリ万国博覧会に出展されたロシア館をモデルにした古城のセットを舞台に、瞬役の福士さんらが真剣なまなざしで三池監督の指示に耳を傾けていた。

 カンケリゲームの敵は大きいものから50、40、30、20センチというサイズのマトリョーシカで、本編ではCGで表現されるが、撮影現場ではガイドとなる小さなマトリョーシカを配置して目安とし、目線や立ち位置などキャスト陣が演じやすいような工夫がなされていた。福士さんは「高畑瞬は普通の人だけど日常を退屈と思い、一歩引いてすべてを見ていたりする。いそうですが、よくいる人には含まれないような部類なのかなと思います」と自身の役をとらえ、「何も考えていなそうですごくいろんなことを考えている役と感じていて、どこまで表情に出そうかが難しい」と試行錯誤を重ねているという。

 キャストに指示を出したあと、少し離れた所にあるブースからモニターを見つめる三池監督は、「世代が違うので、演出はあまりしないほうがいいなと思い、自由に表現する場所を作るのが自分の仕事」と語りながらも、レールの上をカメラが移動しながら撮影する場面ではカメラの始動タイミングを何度も確認するなどこまやかなこだわりを見せた。ともに会見に臨んだ3人については「自分にとっては大切な表現する手段、自分(三池監督)がなくしてしまっているものや次に来るものを自分に与えてくれる貴重な人たち」と絶賛し、「山崎さんはちょっと天然なところがありますね」と語り笑いを誘った。

 今作の撮影に入るかなり前に本屋で原作を手にしたという一読者の神木さんは「ちょっと怖かった(笑い)」と原作の印象を明かし、「人間として大事な行動や日常、意識という要素が多く入った作品」と評す。自身が演じる天谷については「意外と普通な人間」といい、「悪者みたくひねくれている感じではないと思っていて、(主人公の)高畑君と同じくくりの中の正反対なイメージ。黒い部分が多い人間の生きる姿というか、ただただ素直な人間なのかなと思います」と分析する。福士さんの印象を「テレビで見たとおりのすごく爽やかな方」と語る山崎さんは、ヒロインのいちかを「力の強さとかではなく瞬に対する信頼や思い、正義感の強さなど気持ちの強さをすごく持っている子」と感じたそうで、「ヒロインということを意識するのではなく、秋元いちかちゃんという役と真摯(しんし)に向き合っていけばいいのかなと思っています」と役柄へのスタンスを語った。

 撮影は7月末で続く予定だが、三池監督は「エンターテインメントとしてすごく面白くて、逆にいうと悔しい」と原作への嫉妬心を見せつつも、「今作を作っていくことで映画は映画のよさもあり、原作の人生いろいろあるけど結局生きているってすごいなどのいろいろな見方ができると思う。軽やかさというかクスッと笑えるところとかは大事にしていきたい」と意欲を語った。そして「『一年に一本ぐらいはこういう映画を見たい』 という作品に出来上がるといいなと思う」と手応えを感じているようだった。映画は11月15日公開予定。(遠藤政樹/フリーライター)

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