注目映画紹介:「喰女−クイメ−」四谷怪談テーマに 現実と虚構が交錯する狂気の世界を描く

映画「喰女−クイメ−」で柴咲コウさんが演じる「お岩」のビジュアル (C)2014「喰女−クイメ−」製作委員会
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映画「喰女−クイメ−」で柴咲コウさんが演じる「お岩」のビジュアル (C)2014「喰女−クイメ−」製作委員会

 暴力男の伊右衛門にだまされたお岩が、幽霊になって復讐(ふくしゅう)する“四谷怪談”をモチーフにした映画「喰女−クイメ−」が23日から公開される。「クローズZERO」(2007年)などを手がけた三池崇史監督が持ち味のエンターテインメント要素を存分に取り入れ、舞台で四谷怪談を演じる俳優たちに降りかかる恐怖を刺激的に描く。企画から参加したという歌舞伎俳優の市川海老蔵さんが、暴力的な俳優の長谷川浩介を、柴咲コウさんが浩介の恋人でスター女優の後藤美雪を演じる。

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 舞台「真四谷怪談」で伊右衛門役を演じる俳優・浩介(海老蔵さん)は岩役を演じる美雪(柴咲さん)という恋人がいながら、年下の共演者の莉緒(中西美帆さん)と関係を持ってしまう。浩介の浮気に気がつきながらも彼を思い、舞台で演じる岩の役柄に没頭していく美雪。次第に2人は芝居と現実の区別がつかない狂気の世界へと陥り、怪談の内容をなぞるような恐怖に巻き込まれていく……という展開。

 虚構と現実の世界がオーバーラップしながらテンポよく物語が進み、あっという間に映画に引きこまれる。男性の尽きない欲望と、女性の嫉妬や執念がぶつかり合い、最後は誰も予想できない衝撃的な結末が待ち受けている。「悪は美しくないと成立しない」というコメント通り、海老蔵さんが、暴力男の浩介をセクシーに演じ、「こんな俳優、実際にいるのかもしれない……」と観客の想像をかきたてる。柴咲コウさんが演じる美雪が“ダメ男”に振りまわされ、疑心を募らせながら復讐していく姿は、女性なら共感できるはずだ。約4時間かけたという「お岩メーク」が思いのほか怖く、夏の夜にぴったりな作品に仕上がった。

 美雪の付き人の倉田加代子役にマイコさんのほか、盲目の宅悦を演じる俳優・鈴木順役に伊藤英明さんが出演。脇を固める根岸季衣さん、古谷一行さんらの渋い演技も見逃せない。23日から丸の内TOEI(東京都千代田区)ほか全国で公開。(伊藤野々子/毎日新聞デジタル)

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