井上三太さんの人気マンガ「TOKYO TRIBE2」を基に、鬼才・園子温監督が実写映画化した「TOKYO TRIBE」が30日に公開される。原作は、架空の街“トーキョー”を舞台に若者たちの日常を描いた青春マンガで、初実写化の今作では、近未来の“トーキョー”を舞台に、「ブクロWU−RONZ」のトップに君臨するメラと「ムサシノSARU」の海(カイ)を中心に、トーキョー中のトライブ(族)を巻き込んだ大抗争が描かれる。メラ役を鈴木亮平さん、海役をヒップホップミュージシャンのYOUNG DAISさんが務めるほか、竹内力さん、佐藤隆太さん、窪塚洋介さん、中川翔子さん、染谷将太さんら個性豊かな顔ぶれがそろった。全編にわたってヒップホップが流れ、ほぼすべてのせりふがラップで語られるという前代未聞の“バトル・ラップ・ミュージカル”という独創的な作品に仕上がっている。
数多くのトライブ(族)が存在し、自分たちが暮らす街を暴力で支配している近未来のトーキョーは、トライブ間で暴動や乱闘は頻発するも絶妙なバランスが保たれていた。ある日、「ブクロWU−RONZ」のボスであるメラ(鈴木さん)が異常なまでに敵対心を燃やす「ムサシノSARU」の海(YOUNG DAISさん)と衝突。事件をきっかけに他の地域のトライブや政治家を丸め込み勢力を拡大するブッバ(竹内さん)ら一家などを巻き込み、トーキョー全体におよぶ激しい一大抗争が勃発する。さらに謎の女・スンミ(清野菜名さん)が現れ……という展開。
暴力や犯罪、友情といったストリートの日常を過激に描写し、話題を集めた井上さんのマンガを、センセーショナルな作品を次々と世に送り出している園監督が実写映画化。せりふをラップで語るなど、およそ想像もつかないアプローチに驚がくさせられる。ラップを主体に進むストーリーは、一見整合性がないように感じるが、原作をよく理解し組み上げた“園子温ワールド”がはじける。ラップ部分については本業でない俳優陣のスキルに差はあるが、脇を固める本業のラッパーたちのパフォーマンスは実にカッコいい。ストーリーテラーの役割も担う染谷さんのラッパーぶりが意外に板に付いているのも好印象。またスンミ役の清野さんは清楚(せいそ)な外見ながら身のこなしが鋭いアクションシーンは見応え十分で、今後のアクション女優としての活躍に期待だ。主演の鈴木さんを筆頭に、個性的すぎるキャラクターを怪演&熱演しているキャストたち、ユーモラスでありながら激しいアクションもあり、強いメッセージ性も感じさせる。オチもいい意味でくだらなさすぎて笑える。新宿バルト9(東京都新宿区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)
<プロフィル>
えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。
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