注目映画紹介:「イン・ザ・ヒーロー」 アクション軸に描かれる人間ドラマに注目

(c)2014 Team REAL HERO
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 アクション映画や特撮ヒーローものに欠かせない“スーツアクター”の物語を描いた「イン・ザ・ヒーロー」(武正晴監督)が6日に公開される。唐沢寿明さんと福士蒼汰さんという世代の異なる2人の俳優がアクションシーンでキレのある動きを披露。“スーツアクター”という知られざる存在の生態がこまやかに描写されており、アクションの痛快さとともに斬新な驚きが味わえる。

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 満身創痍(そうい)で日々、仕事に取り組む大ベテランのスーツアクター、本城渉(唐沢さん)は、数年ぶりにヒーロー番組の映画版に出演するチャンスに恵まれたが、人気絶頂の新人俳優・一之瀬リョウ(福士さん)に役を取られてしまう。現場でリョウにアクションの心構えなどを指導する本城は、初めはリョウと対立するが、徐々に分かり合い、仲間意識が芽生えていく。そんなある日、本城は日本で撮影中のハリウッド大作アクション映画の危険な殺陣を演じるよう指名されるが……というストーリー。唐沢さん、福士さんのほか黒谷友香さん、寺島進さん、和久井映見さん、松方弘樹さんらが出演している。

 痛快なアクションが目立つものの、新人俳優のリョウが鍛えられ一人前の俳優として成長していく姿は「ヒーローの成長物語」とも見ることができる。また、主人公と娘や元妻との触れ合いを描いた姿は家族の物語としても楽しめる。また“スーツアクター”という特殊な業界の舞台裏を描いた職人ドラマとしてもとらえることができる。もう一つ、唐沢さんのキレのある動きも見どころ。スーツアクターの経験者でもあり、51歳という年齢を感じさせないアクションを随所で披露しており、トレーニングシーンや喫茶店でのブルース・リーを意識した動きを見せる場面などは思わず感嘆してしまう。また、作品全体にユーモアがちりばめられているのも楽しい。シリアスなシーンにも違和感なくギャグの要素が組み込まれていて、その緊張と緩和のコントラストに観客は思わず笑ってしまうことだろう。6日から全国で公開。(河鰭悠太郎/毎日新聞デジタル)

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