錦織圭選手:全米オープン準優勝 「またこの決勝に戻ってきたい」

2014年シーズンの全米オープンテニスで準優勝となった錦織圭選手(写真:AP/アフロ)
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2014年シーズンの全米オープンテニスで準優勝となった錦織圭選手(写真:AP/アフロ)

 ニューヨークで開催された2014年シーズン最後のテニスグランドスラム(4大大会)の「全米オープンテニス」で、“日本のエース”錦織圭選手がアジア男子として初のグランドスラム決勝の舞台に立った。第14シードのクロアチアのマリン・チリッチ選手と対戦した錦織選手だったが、3−6、3−6、3−6のストレートで敗戦。初優勝こそ逃したものの大会を通して成長し、グランドスラム準優勝という快挙を成し遂げた錦織選手が決勝、そして今大会を振り返った。

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 −−「緊張するだろう」と事前に話していましたが、試合中の心境はどうでしたか?

 やっぱり、緊張もそうですし、気持ちが高ぶるのを昨日からなかなか抑えられなかったので、今日の試合に入るのも容易ではなかったですし、やっぱり決勝という舞台で力が出せなかったというのは非常に悔しいですね。

 −−ランキングが上の選手が相手だったらまた変わっていたと思いますか?

 ちょっとあると思いますね。相手がチリッチ選手で、得意ではないですけど何回も勝っている相手で、より考える部分は増えたと思いますし、勝てるっていうのが少し見えたのもあまりよくなかったし、集中できなかった理由の一つでもあると思います。ここまで硬くなったのは久しぶりで、試合に入り込めなかったですね。(ミロシュ・)ラオニッチ選手だったり、(スタン・)バブリンカ選手の時は2セット目から立て直していつものプレーに持ってくることができましたけど、今日はほとんど最後までなかなか感覚がつかめないまま終わってしまいました。

 −−硬くなったとおっしゃいましたが、動きの部分ですか?

 動きが一番、なかなか速い動きについてこなかったのと、ちょっとした差ですね。アンフォースドエラー(打ちやすいボールをミスすること)が非常に増えてしまったので、本当はちょっとのミスですけど。この何試合かは入っていたのが入らなくなって、自信をどんどん自分で下げていってしまったので、ずっと迷走している感じでした。

 −−ブレークされたところから押し返す力が出てくるというのは? チリッチ選手も思ったより、良過ぎたというのもあったのでしょうか?

 そうですね、常に全く先が見えない試合で、どのセットも先にブレークされて。彼の球も鋭く、角度もあって深かったので、攻めようにも攻めれないし、ミスもしてしまったり、なかなか突破口が見つからなかったですね。

 −−コートに出た時の感覚はいかがでしたか?

 そこまで悪くはなかったですけど、長いラリーになると足がついてこなかったり、前のようには完璧に動けなかったですけど、そんな中でも勝ってきたのがこの何試合かだったので、それでも奮い立たせてやろうと思いました。だけど、それ以前に彼のテニスの良さになかなかつけ込めなかったので、自分のテニスもどんどん悪い方向に向いてしまい、全部が重なってこういう結果になったと思います。

 −−自分が目指すべきテニスや、その場所に近づいている実感はありますか?

 近づいているのは格段に感じています。一番自信になるのはバブリンカ選手、ラオニッチ選手もそうですけど、ノバク(・ジョコビッチ)選手に競り勝つことができて、自分が無理をしないテニスでもこうやってトップの選手、1位の選手に勝ったりできているので。それでもこうやって2週間戦うことができて、一番ビックリしているのは、夢の世界だったベスト4、決勝という体力面です。自分(コンディション)がどれだけくれば決勝に行ける体力ができるのかなって思っていたのが、こうやって実現できて、そんなに問題もなく、5セットマッチを2回やって、4セットをやってそれでもこうやって試合ができているっていうのは一番自信になるので、けがを恐れずこれからもやっていきたいです。

 −−チリッチ選手と戦うにあたって難しいと感じたところはどこですか? 実際に対戦相手がチリッチ選手と決まった時、どういう気持ちだったのかを教えてください。

 長いラリー戦になった時に勝てなかったというのは以前は違ったし、速い展開でいかないといけないのに、なかなか踏み込んでいけなかったので、それだけ彼のディフェンスが良かったり、あっちのサービスゲームでなかなかチャンスを作れなかったのが、リズムを作れなかった原因でもあると思います。正直フェデラー選手のほうがやりやすかったかもしれませんね、気持ち的には。やっぱり勝たないといけないというプレッシャーも自分の中で作ってしまっていたので、気持ち的には少し重くしてしまったところがあったかもしれません。

 −−ここ何試合かは、先行されてものちに追い上げていくというのがあったんですけど、今回はそれを許さないという展開になってしまったのですが、それはチリッチ選手が今までの相手より力があるということでしょうか?

 彼も良かったし、強くなっているんですけど、それ以前に自分が試合に入り込めなかったというのが、一番の原因だと思います。それでもなんとか盛り返してきたのが、過去の何試合かだったので。ファーストサーブが入らなかったり、自分のサービスゲームにプレッシャーがかかってきて、先にブレークされて、今日は自分の方に大きな原因があったのかもしれません。

 −−全米オープンで準優勝という素晴らしい成績ですが、ここまできた自分の強さはなんだったと思いますか?

 一番はやっぱり気持ちの部分でめげずにやれたというのが、評価できるところだと思います。今日は最後戻ってこられなかったんですけど、こうやって強い相手に2週間しっかり勝ち切ることができたのは、すごく自信になっています。テニスもより攻撃的に、自分が理想としているプレーが結構でき始めているので、このまましっかり練習とトレーニングを続けていけば、いい結果もこれからもっと出てくると思います。

 −−錦織選手が次に目指すところは?

 簡単には言えないですけれど、またこの決勝に戻ってきたいですね。グランドスラムでのこの悔しさを忘れずに、やっぱりグランドスラムで活躍することが目標なので、また優勝目指してやっていきたいと思います。

 −−次は勝ってやろうという心境ということですか?

 そんな簡単に来られる場所ではないことは分かっているので。やっぱりチャンスだったので逃したのは悔しいですし、でも少し時間がたって気持ちも落ち着いてきました。悔しすぎてぼう然としてましたけど、特にコーチ2人にしっかり励ましてもらったので。ここに来る前に、希望というか予想はなかったので、その中でこうやって決勝まで来られているっていうのを一番評価しているっていうことを言ってくれたので、めげすに頑張りたいと思います。

 −−準優勝によってワールドツアーファイナルの出場権が5番目になるんですけど出場圏内になるということで、今シーズンの残りはどうお考えですか?

 これで近づけたのはすごく大きいですね。しっかりトレーニングをして、クアラルンプールもすぐなので、体をひとまず休めてマスターズに向けて、絶対今年の目標になるかと思いますので、入りたいですね。

 *……WOWOWでは、今回の全米オープンテニス決勝の模様は、9日午後11時15分からWOWOWライブで再放送。また歴史的快挙を成し遂げた錦織選手の今シーズンを独自の取材映像で振り返る「錦織圭WOWOWドキュメンタリースペシャル」を緊急特別番組として、23日午後1時からWOWOWプライムで放送予定。

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