山寺宏一:「宇宙戦艦ヤマト2199」でデスラーの声を担当 「僕以上にヤマトに感慨のある人はいない」

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 「宇宙戦艦ヤマト」のテレビシリーズ40周年を記念して製作された劇場版アニメ「宇宙戦艦ヤマト2199 追憶の航海」(加戸誉夫監督)が公開中だ。映画はテレビシリーズ「宇宙戦艦ヤマト2199」の全26話をまとめた特別総集編として新規カットなどを加え、主人公・古代進(声・小野大輔さん)の視点でイスカンダルへの旅路を振り返っている。外宇宙から襲来した謎の星間国家「ガミラス」による遊星爆弾で地球は壊滅的な被害を受け、人類滅亡までの猶予はわずか1年となっていた。人類に残された最後の希望は、恒星間航行が可能な宇宙戦艦「ヤマト」で、汚染された地球を浄化再生するシステム「コスモリバースシステム」を受け取りに行く「ヤマト計画」だった。主人公の古代進らはヤマトに乗り込み、惑星イスカンダルを目指すが……というストーリー。この作品で星間国家「ガミラス」の総統デスラーの声を担当した山寺宏一さんに「宇宙戦艦ヤマト」への思いなどを聞いた。

ウナギノボリ

 −−山寺さんご自身、「宇宙戦艦ヤマト」にどんな思い出がありますか。

 小学校でアニメは卒業しようかなと思っていたんですが、中学1年生の時、(テレビアニメの)「宇宙戦艦ヤマト」の1話目を見て、「すごいのが始まってしまったな」と思いましたね。1話も見逃さずに見ていました。僕の周りの視聴率はすごく高かったですね。中学校の頃からものまねが大好きだったので、「ターゲットスコープ、オープン」「(ヒロインの森)雪~」とか、まさか後に古代やデスラーの声を担当するとは夢にも思わずに、学校でよくまねしていました。

 −−「宇宙戦艦ヤマト」の40年での感慨をお聞かせください。

 40年前まさに最初の「宇宙戦艦ヤマト」を見ていた僕が、この40年の間にオリジナルキャストの方とお仕事をご一緒させていただき、ゲームや復活編では古代進を演じ、さらに「宇宙戦艦ヤマト2199」ではデスラーまで……。当初は好きで見ていたところから、作品に関わらせていただいて、僕以上に感慨のある人はいないと思います。

 −−「宇宙戦艦ヤマト」の中で好きなキャラクターとその理由を教えてください。

 逆に嫌いな人はいないです! 子どもの頃は古代、デスラーの順番で好きでしたね。新作(「2199」)は女性キャストも魅力的でしたが、(ガミラスの銀河系方面軍作戦司令長官)ドメルは相当カッコよかったですね。ここで名前を連ねると全キャラクターを口に出してしまいそうです。

 −−今回「2199」でデスラー総統を演じるにあたって、どのような声を出そうとイメージしましたか。

 「宇宙戦艦ヤマト2199」のお話をいただいたときは、一瞬古代の役だと思ったんですが、デスラー役だったんです。「なんで(最初のテレビシリーズの)伊武(雅刀)さんじゃないんだ」って絶対に言われるよな、と最初に思いました。僕は打たれ弱いんですよ。でも、伊武さんではない他の誰かがやるのであれば、大好きな作品の大好きなキャラクターですし、せっかくご指名をいただいたので、お受けさせていただくことにしました。プレッシャーはありましたが、伊武さんにはかなうわけがないので、自分なりのデスラーを演じるしかなかったです。描かれていることも違いましたので、シーンごとのセリフを、スタッフに身を任せて、作品に合ったキャラクターを一生懸命演じさせていただきました。

 −−デスラーは、どんな性格だと思いますか。

 ヤマト好きにデスラーを嫌いな人はいないと思います。シリーズで印象が違いますが、冷徹でカリスマ性があって、あとはやはり伊武さんの声(の魅力)ですね。放送開始当時はヤマト側の古代が大好きで見ていましたが、中学生ながら普通の悪役とは違うなって感じていました。血も涙もない人物に思えるけれど、その裏に抱えているものも深かったですね。周りから見たら自分の臣民の犠牲もいとわない暴君ですが、スターシャへの愛は深かったんだと思います。

 −−「宇宙戦艦ヤマト2199」の新作が12月に上映されますが、見どころを教えてください。

 名作を新たに作ると、旧作の視聴者にはいろいろ言われてしまうかと思うんですが、監督をはじめ、ヤマトを大好きなスタッフの皆さんがリスペクトと愛を持ってよみがえらせている。より深く、より広がっている作品になっていると思います。映像技術はもちろん進歩していますし、サービスにもあふれています! (旧作には)あんなにたくさん可愛い子たちが出ていませんでしたよね。旧作より、いろんな登場人物にスポットを当てつつ、ストーリーは変えずに作られていたと思います。

 −−「宇宙戦艦ヤマト2199」新作と総集編を楽しみにしている人にメッセージを。

 「宇宙戦艦ヤマト」の歴史の中でもポイントとなって、最近のアニメしか見ていない若い子たちやいろんな世代に受け継がれていくために大きな役割を果たしている作品だと思います。全く見たことのない方も楽しめますので、僕が中学校の頃、夢中になった作品も、ぜひさかのぼってご覧いただければと思います。

 また、旧作から見続けているヤマトマニアの方々は温かい目で、デスラーを見ていただきたいです!

 <プロフィル>

 やまでら・こういち 1961年生まれ、宮城県出身。アクロス・エンタテインメント所属。大学卒業後の84年、声優を志して東京俳優生活協同組合の養成所に入所。在籍中の85年にアニメ「メガゾーン23」でデビュー。 以後、声優としてアニメーションや外国映画の吹き替えはもちろん、バラエティー番組の司会、ラジオDJ、映画・ドラマへの出演、歌手としてアルバムをリリースするなど、幅広く活躍中。

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