注目映画紹介:「アゲイン 28年目の甲子園」中井貴一主演 再び夢へ向かうおやじたち

(C)重松清/集英社(C)2015「アゲイン」製作委員会
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(C)重松清/集英社(C)2015「アゲイン」製作委員会

 ドラマ・映画化原作も多い重松清さんの小説「アゲイン」(文芸誌「小説すばる」で連載中)の映画化「アゲイン 28年目の甲子園」(大森寿美男監督・脚本)が17日から公開される。ある出来事がきっかけで疎遠になっていた元球児の中年世代が、高校野球のOBたちの夢の舞台「マスターズ甲子園」への出場を懸けて奮闘する物語。過去の苦い思い出を乗り越えて球児に戻るおやじたちの姿がほほ笑ましい。主演は中井貴一さん。

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 元高校球児・坂町晴彦(中井さん)は、離婚した妻を亡くし、一人娘とは絶縁状態が続いていた。人生に疲れていた時、亡くなった元チームメートの娘・美枝(波瑠さん)が訪ねてくる。美枝は、父親の典夫がチームメート全員に宛てた年賀状を27年間出さずにいた理由を知りたいと思っていた。マスターズ甲子園の学生ボランティアをしている美枝は、坂町に大会への参加を勧める。しかし、坂町はその話にまったくなびかない。甲子園に行けなかったことを美枝の父親のせいだと思い、苦い記憶を抱えていたのだ……という展開。

 「柘榴坂の仇討」(2014年)では、逝(い)き遅れた武士役の中井さんに感嘆させられたが、かつての高校球児役の中井さんに再び感嘆した。家に押しかけてきた美枝に接するときの表情のこまやかさ……。大会参加を渋る坂町が、娘のような美枝と接するうちに少しずつ心がほぐれ出す様子に心寄せながら、ついつい心の中で応援してしまう。美枝との出会いが、チームメートや娘とのほつれた糸を再びつないでいく。過去にけりをつけられなくて、心にわだかまりを抱えてしまった元球児たち。彼らが高校時代の続きのようにけんかをし、言い合い、そして再び降ってきた夢へ向かって進んでいく姿に勇気づけられる。出演は和久井映見さん、柳葉敏郎さんのほか、元プロ野球投手の工藤公康さんを父親に持つ俳優の工藤阿須加さんが主人公の高校時代を演じる。主題歌は、マスターズ甲子園にテーマ曲を提供している浜田省吾さんの10年ぶりの新曲「夢のつづき」。TOHOシネマズ日本橋(東京都中央区)ほかで17日から公開。(キョーコ/フリーライター) 

 <プロフィル>

 キョーコ=出版社・新聞社勤務後、映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。今月公開作で一番泣けたのは、実在のアスリートの半生を描いたインド映画「ミルカ」(ラケーシュ・オームプラカーシュ・メーラ監督、30日公開)でした。

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