士郎正宗さんの人気SFマンガの前日談を描く3DCGアニメ「アップルシード アルファ」(荒牧伸志監督)が17日に公開される。「アップルシード」は、「攻殻機動隊」などの士郎さんのメジャーデビュー作で、2125年を舞台に第5次非核戦争を生き抜いた元特殊部隊のデュナンと全身をサイボーグ化した恋人のブリアレオスの活躍を描いた。「アルファ」では大戦後、デュナンとブリアレオスがアイリスとオルソンと出会い、理想都市オリュンポスにたどり着くまでの経緯が明かされる。圧倒的な迫力で描かれるバトルシーンなど、精密で完成度の高いビジュアルがストーリーを彩る。
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第5次非核大戦後、荒廃し廃虚となったニューヨークで、元SWATのデュナン(声・小松由佳さん)は全身サイボーグの恋人・ブリアレオス(声・諏訪部順一さん)と、ギャングから依頼された仕事をこなす日々を送っていた。ある日、2人は自動兵器に襲われているアイリス(声・悠木碧さん)とオルソン(声・高橋広樹さん)と名乗る男女を助け……という展開。
今作は、フルCGで製作されており、その完成度の高さには驚かされる。建物や風景などの描写はまるで実写かと思うほどで、手触りや質感を手に取るように感じることができる。また説明過多でストーリーが分かりづらい……といったことは一切なく、デュナンとブリアレオスにフォーカスした物語と舞台が限定されたことで、緊張感あふれる明快なストーリーに仕上がっている。さらアクションシーンが丁寧に描かれ、音楽との相乗効果もあって問答無用にクールだ。“続編”ではなく“新しいアップルシードを作る”という位置づけの作品だけに、これまでの作品を知らなくても堪能でき、もちろん従来のファンにとってはあらゆる角度から深読みが楽しめたりもする。CGアニメもここまで来たか……と感慨深い。新宿バルト9(東京都新宿区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)
<プロフィル>
えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。
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