注目映画紹介:「ビッグ・アイズ」実在のゴーストペインターの反撃描くバートン監督の痛快作

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 「アリス・イン・ワンダーランド」(2010年)や「フランケンウィニー」(12年)などの作品で知られるティム・バートン監督の最新作「ビッグ・アイズ」が23日から全国で公開される。1960年代の米国で一大ブームを巻き起こした絵画「ビッグ・アイズ」シリーズ。その“作者”として一躍有名になったウォルター・キーンだったが、実は、一連の作品はすべて、彼の妻マーガレットが描いたものだった! そんな驚くべき事実を、「イングロリアス・バスターズ」(09年)、「ジャンゴ 繋がれざる者」(12年)のクリストフ・ヴァルツさんと、「魔法にかけられて」(07年)、「アメリカン・ハッスル」(13年)のエイミー・アダムスさんの共演で描く。バートン監督らしからぬオーソドックスな演出で、従来のファンタジックでエキセントリックな作風とは趣を異にする仕上がりになっている。

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 1958年の米国。夫の暴力から逃れ、幼い娘を連れてサンフランシスコにやって来たマーガレット(アダムスさん)は、絵の才能を生かし、広場で人々の似顔絵を描き始める。彼女が描く絵は、どれも目が大きくデフォルメされているという特徴があった。マーガレットは気さくに話しかけてきたウォルター(ヴァルツさん)と意気投合し、やがて再婚する。ところが、マーガレットが描く絵が話題になった頃から、ウォルターの言動がおかしくなる。口のうまいウォルターは、マーガレットに“ゴースト・ペインター”を務めさせ、彼女の作品を、さも自分が描いたように振る舞い始めた……という展開。

 出会った当初は社交的で、プロポーズの言葉もしゃれていて、とてもすてきな男性に見えたウォルター。あのヴァルツさんが演じるくらいだから、“そのまま”で済むはずがないとは思ったが、まさか“詐欺師”だったとは! いや、詐欺師より性質が悪い。なぜなら、詐欺師は自分が愛情を感じない第三者をだますが、ウォルターは大衆を欺くと同時に自分の大切な人(と本人は思っていないのだろうが)を苦しめ、傷つけていたのだから。“サイテー男”のウォルターを見ながら、「そこに愛はあるのか?」「画家としてのプライドはないのか?」と煮えくり返った。それだけに、自分を押し殺して絵を描き続けたマーガレットがやがて目覚め、立ち上がり、反撃する姿にはスカッとした。23日からTOHOシネマズ有楽座(東京都千代田区)ほか全国で公開。(りんたいこ/フリーライター)

 <プロフィル>

 りん・たいこ=教育雑誌、編集プロダクションをへてフリーのライターに。映画にまつわる仕事を中心に活動中。大好きな映画はいまだに「ビッグ・ウェンズデー」(78年)と「恋におちて」(84年)。

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