杏:映画「エクソダス:神と王」で声優初挑戦「未知なる世界に飛び込んだという感じ」

映画「エクソダス:神と王」の日本語吹き替え版で声優に初挑戦した杏さん
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映画「エクソダス:神と王」の日本語吹き替え版で声優に初挑戦した杏さん

 「エイリアン」(1979年)や「グラディエーター」(2000年)など、数多くの名作・話題作を生みだしてきたリドリー・スコット監督の最新作「エクソダス:神と王」が1月31日に公開された。今作は、旧約聖書の「出エジプト記」にある「モーゼの奇跡」の数々を最新VFXと3D技術を駆使して描いたスペクタクルアドベンチャーで、モーゼ役はクリスチャン・ベールさん、ツィポラ役はマリア・バルベルデさんが演じている。日本語吹き替え版では、女優の杏さんがツィポラ役で声優に初挑戦。杏さんに初挑戦の心境やモーゼとツィポラ夫妻の関係を踏まえた夫婦観、今作の魅力などを聞いた。

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 ◇モーゼとツィポラ夫妻の絆の強さに感動

 今作のオファーを「声のお仕事にはもともと興味があり、初めての試みですがぜひチャレンジしてみたい」と考え快諾した杏さん。アフレコに参加してみた感想を「台本一つをとっても、読み方から一つ一つ習っていくような感じだったので、やっぱり未知なる世界に飛び込んだなという感じはしました」と振り返る。女優業との相違点とは「声だけで表現するということ」が一番大きかったが、「(演じるのが)声だけだとしても、体を使って普通に演技するように表現していくことは変わらないんだと感じた」と明かす。

 杏さんが声を担当したツィポラは、モーゼを献身的に支えた妻で、40万人の民を救うために旅立ったモーゼを信じて待ち続ける芯の強さを持っている。女性としてツィポラを見て、「いろいろなところを旅するモーゼとは対照的に、一つのところを守り続けるというのがツィポラという女性」と表現する杏さん。そして「一つのところにいるからといって考え方や視野が狭くなるということもなく、根を張るべき大地という存在のような安定した部分と、いつまでたっても恋していたり、信じていたりという純粋な部分も持ち合わせている」と続け、「すごく可愛らしく、そして力強い女性だなと思った」と評する。

 杏さんが特に意識したのが「モーゼが出て行ってしまう場面」だという。「あまり感情的になりすぎず、でも押し殺しているもの、すごく強い気持ちを両立させてほしい」という指示があったことで、「やっていて私自身も『このシーンはそういう思いなんだ』と一層感じることができた、思い入れのあるシーンです」と強調する。モーゼとツィポラの夫婦関係については、「今みたいに携帯電話もないし、手紙も送れない。生きているか死んでいるかも分からない状態を待ち続けるというのはすごい」とツィポラの芯の強さをたたえ、「それを(モーゼが)『待ってくれ』と、言う方も言う方ですごいなと思う」と驚く。「だから今よりも覚悟の程度は異なり、それぐらい深く強い絆なんだろうなと感じました」とモーゼとツィポラの結びつきの深さに感じ入る。

 ◇細部まで作り込まれた世界観に圧倒

 歴史好きの“歴女”として知られる杏さんに、今作の魅力を聞くと「私はキリスト教の学校に通っていたので、モーゼのエピソードというのは子どもの頃から授業などでよく聞いていた」と前置きし、「歴史上、よく知られているシーンというものを、こういう解釈で描くのか」と驚いたことを明かした。特に「海が割れる場面はすごく現実的な描き方をしていたので、本当にいろんな条件が重なった上でああいったことが起き、それを奇跡というふうに思ったということだったのかもしれない」と解釈したという。そして「きちんとリアリズムを追求して映像作りをしていることが細部に感じられた」と今作での科学的な考察を取り入れて表現された「10の奇跡」の描写を絶賛した。

 過去に歴史大作を何本も作ってきたスコット監督の作品だけあって、衣装や小道具、セットなどに強いこだわりが感じられる。「どこまでが実際にきちんと作られているのか、実際に建てたものなのか、あとから合成されたものなのか分からないぐらい……」といい、「細部までを描きつつもスケール感を失わず、さらに増幅させているという感じが素晴らしい」と壮大さと作り込みの細かさが絶妙なバランスだったことに目を見張る。

 ◇声だけで表現した人生の変化を感じてほしい

 今作では声での出演だったが、海外作品への進出について聞くと、「どんなお仕事がくるかは国内外問わず、まったく分からない世界なので……」と前置きしつつ、「こうやって大きな世界観とか歴史の中に身を投じられるというのは、お芝居をやっていないとできないので、それは国内外問わずやってみたいと思います」と前向きに語る。

 女性視点での今作の見どころを聞くと、「雄大な景色もそうですし、もちろんファッションとかメークもそう。友情だったり親子愛、夫婦愛だったり恋愛とか、さまざまな形で女性として響いてくるものがある」と強調し、「どんなジャンルの視点からでも見られる作品と感じたので、女性でも先入観なく見ていただけると思います」と同性にメッセージを送る。自身の声で注目してほしいところを聞くと、「描かれる期間が結構長い年月なので、(モーゼと)出会ったばかりの初々しい感じだったり、母になって力強くなったところ、怒りを見せたりといった部分」といい、「そういった一人の女性の人生の変化みたいなものを、声だけで表現できているかは分からないのですが、うまくはまっていればいいなと思います」と笑顔で語った。「エクソダス:神と王」は、TOHOシネマズ日劇(東京都千代田区)ほか全国で公開。3Dも同時公開。

 <プロフィル>

 1986年4月14日生まれ、東京都出身。15歳からモデルとして活動。2007年に女優デビューして以降、ドラマでは「名前をなくした女神」(フジテレビ系)、「花咲舞が黙ってない」(日本テレビ系)、NHK連続テレビ小説「ごちそうさん」などに主演。映画では「真夏の方程式」(13年)、「劇場版タイムスクープハンター 安土城最後の1日」(13年)ほか多くの作品に出演している。現在は、フジテレビ系“月9”ドラマ「デート~恋とはどんなものかしら~」に出演中。

(インタビュー・文・撮影:遠藤政樹)

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