名探偵コナン
#1146「汽笛の聞こえる古書店4」
12月21日(土)放送分
没後50年を迎える作家・江戸川乱歩の「少年探偵団」シリーズなどを現在風にアレンジしたアニメ「乱歩奇譚 Game of Laplace」の放送が7月2日からフジテレビの深夜アニメ枠「ノイタミナ」でスタートする。乱歩作品を知らない若者にも楽しめる作品を目指したという。【小西鉄兵】
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乱歩作品は映画、ドラマなど数々の映像作品が制作されてきたが、アニメになるのは意外にも初めてだ。アニメを手がけるフジテレビの森彬俊プロデューサーは、企画のきっかけを「乱歩の没後50年というタイミングで、乱歩の名前は知っているが、詳しくはない若い方にその魅力を発見してもらいたかった」と話す。
乱歩作品の魅力といえば、怪奇、幻想、エログロ。「少年探偵団」シリーズなど児童文学として読まれてきた作品の数々は、現代のライトノベルの元祖とも言える存在だ。森プロデューサーはそうした魅力について「没後50年を迎えようとする現代でも色あせず、アニメなどにも通ずる普遍的な魅力なのかもしれない」と分析。アニメでも乱歩作品の物語の構造やエッセンスを踏襲するという。
一方で、アニメの舞台は携帯電話やパソコンが普及した現代。「名作は、時代によって形を変えない部分もあれば、変える部分もありながら、時代を超えて残るもの」と現代のアニメファンにも訴求できるようにアレンジ。国から不登校を許可された天才高校生で探偵のアケチや助手のコバヤシが次々と起こる奇妙な事件を解決していく姿が描かれる。乱歩作品は原作ではなく、あくまで原案で、「人間椅子」「影男」などの名作を解体し、再構築する。
大胆にアレンジしたのはキャラクターだ。これまでの映像化では、探偵・明智小五郎はスーツを着た大人の男性として描かれることが多かったが、アニメのアケチは高校生で、ネクタイこそ締めているもののラフな服装だ。どこか冷めていて知性を感じるところは引き継がれているが、年齢設定や外観のイメージは随分と異なる。コバヤシは、モデルとなった小林少年が女装をして捜査をする原作のストーリーから着想を得て、少年にも少女にも見える中性的なキャラクターにした。森プロデューサーは「基のイメージは受け継ぎつつ、若い人が共感できるようにチューニングした」と説明する。
また、乱歩作品で描かれる「他者に対する愛、憎しみ」も主題にしたといい、森プロデューサーは「現代は、他者との関係が希薄になっているわけではないが、SNSなどによって他者との関わりが変わっている。その辺りも突っ込んで描いているので、見てほしいですね」と語る。
「乱歩作品の映像化というと、実験的な映像を想像するかもしれないが、『乱歩奇譚』はエンターテインメントとして作っている。コアなアニメファン以外にも幅広い層に向けた作品です。乱歩作品を知らない人も楽しめるし、知っている人も楽しめるような記号も散りばめている」と話す森プロデューサー。今後は「乱歩奇譚」のイラストをカバーとした乱歩作品の書籍の刊行なども予定しており、アニメをきっかけに若者の間で“第2の乱歩ブーム”が巻き起こるかもしれない。大胆なアレンジで現代風によみがえったアケチやコバヤシの活躍が期待される。
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