アニサマ：新たな扉を開いた今年　常連に代わってμ‘sやアイマス登場

　今年で11年目を迎えたアニソンの祭典「Animelo Summer Live 2015－THE GATE－」が、8月28、29、30の3日間、さいたまスーパーアリーナ（さいたま市中央区）で開催され、延べ8万1000人を動員した。「THE GATE」というサブタイトルが示す先に、新しい時代のアニサマの“扉が開いた”様子が見て取れた。

ウナギノボリ

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　アイドルマスターとμ’sというアニソン史上に残る、歴史的コラボで幕を開けた同イベント。ゲーム、アニメ、ユニットと社会現象を巻き起こす2大ビッグユニットが、アイマスの「READY！！」「キラメキラリ」「GO MY WAY！！」、μ’sの「僕らは今のなかで」「Wonderful Rush」「No brand girls」と、それぞれの楽曲を交互にメドレーで披露。新しい時代の幕開けを予感させるオープニングに、会場全体が歓喜の声を上げた。さらにアイマスとμ’sは、それぞれのステージでも人気の楽曲を披露し、息の合った振り付けと歌で観客を魅了して、人気の高さを見せつけた。

　同様に昨年、社会現象になったアニメ「妖怪ウォッチ」のテーマソングを歌うキング・クリームソーダは「ゲラゲラポーのうた」などを披露。世界的なミュージカルアニメーションの日本語版で声優を務めた神田沙也加さんのユニットTRUSTRICKも登場し、携わったアニメのオープニングテーマを歌ったほか、黒崎真音さんとのコラボでも観客を沸かせた。1日目はこのほかに、声優の井口裕香さんやアニソン作詞作曲家として知られるmeg rockさんの幻のユニット「メロキュア」、アニメ「艦これ」オープニングテーマでデビューした18歳の西沢幸奏さんらが初出演を果たし、イベントに新風を吹き込んだ。

　ももいろクローバーZは「ドラゴンボールZ」のテーマソング「CHA－LA HEAD－CHA－LA」を歌ったほか、「美少女戦士セーラームーン」のオープニングテーマ「MOON PRIDE」を歌う際には、月野うさぎ役の声優で知られる三石琴乃さんがナレーションするというサプライズで盛り上げた。

　2日目は、スフィアとfripSideのコラボによる「魔法先生ネギま！」のオープニングテーマ「ハッピー☆マテリアル」で幕を開けた。この日も前日同様アイマス＆μ’sの勢いが止まらず、「ラブライブ！」で絢瀬絵里役の南條愛乃さんがボーカルのユニットfripSideとしてのステージを行ったほか、ソロでも透明感あふれるボーカルを披露。同様に「ラブライブ！」で南ことり役の内田彩さん、西木野真姫役のPileさんもそれぞれソロで登場し、個性が光る歌声を聴かせてソロシンガーとしてのポテンシャルの高さを発揮した。またアイマスの如月千早役の今井麻美さんもソロで出演し、内田さんとPileさんとともにコラボし、アニメ「みなみけ3姉妹」のオープニングテーマ「経験値上昇中☆」を歌ってファンを沸かせた。さらにアイマスの姉妹ユニットであるアイドルマスター シンデレラガールズが、総勢14人によるステージを展開。ステージ全体を大きく使ったパフォーマンスで観客を圧倒した。

　男性声優も負けてはおらず、「うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVE2000%」で美風藍役を演じる蒼井翔太さんが、ビジュアル系ばりのパフォーマンスを披露。同様に「うたプリ」でも活躍する常連の宮野真守さんは、キレのあるダンスパフォーマンスで魅せた。この日はももクロの弟分アイドルで、バンドスタイルで活動するカスタマイZや、「キルラキル」「魔法科高校の劣等生」「機動戦士ガンダム Gのレコンギスタ」と話題アニメ主題歌を次々と手掛けるGARNiDELiAなどが初登場を果たした。そのほか、ミルキィホームズや3年E組サマ担などアニメ発ユニットが多数登場。七森中☆ごらく部はギタリストのマーティ・フリードマンさんとコラボし、「ゆりしゅらしゅしゅしゅ」のDEATHバージョンを披露して盛り上げた。

　3日目は、「黒子のバスケ」のオープニングテーマを歌うGRANRODEOと主人公の声優を務める小野賢章さんによる、黒子コラボで幕を開けた。この日も、「ラブライブ！」で主人公の高坂穂乃果役を務める新田恵海さんが、スケールの大きな歌声を聴かせたほか、アイドルマスターシンデレラガールズのメンバーでもある大橋彩香さんと内田真礼さんがそれぞれソロで登場。連日の出演も疲れを見せることなく、ステージを楽しんでいた。

　ほかにも、アニメ「てさぐれ！部活もの」から生まれた10人組「てさプルん♪」、アニメ「ハロー！！きんいろモザイク」から生まれた5人組「Rhodanthe＊」、昨年、アニメ、劇場版、ゲームなどのメディアミックスで鮮烈なデビューを果たした「Wake Up，Girls！」、人気の若手声優の雨宮天さんらによる3人組ユニット「TrySail」、小倉唯さんと石原夏織さんによる「ゆいかおり」などが登場。ステージを所狭しと動き回り、元気いっぱいの歌とダンスを披露した。

　また、SOPHIAの松岡充さんが「Mitsuru Matsuoka EARNEST DRIVE」として登場し、「仮面ライダードライブ」も応援に駆けつけて特撮ヒーローファンをも盛り上げたほか、「JUDY AND MARY」の恩田快人さんがゲストで登場し、小松未可子さんと内田真礼さんが「そばかす」を歌唱。「Kalafina」がスケールの大きな歌声でアニメ「Fate／stay night～Unlimited Blade Works～」のエンディングテーマ「believe」を歌うなどして、イベントに彩りを与えた。

　これまでアニサマには絶えず出演していた「JAM project」、田村ゆかりさん、堀江由衣さん、水樹奈々さんらの出演がなかった代わりに、アイマスやμ’sのメンバーによるソロ、初登場の声優やアーティストの出演が目立った今年のイベント。各日のトリもLiSAさん、angela、GRANRODEOが務め、フレッシュさが印象として残った。GRANRODEOのKISHOWさんはMCで「これまで最終日のトリはいつもJAM projectさんで、JAMさんにはかなわないけれど、しっかりバトンをつないでいきたい」と力強く語った。アニソンシーンを牽引（けんいん）してきたアニサマが、「THE GATE」というサブタイトルの通り、自ら新しいアニソン時代の扉を開いてみせた。（取材・文／榑林史章）