RIP SLYME:10枚目のアルバム制作秘話語る chayに「胃袋をつかまれた」?

10枚目のアルバム「10」をリリースしたRIP SLYME
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10枚目のアルバム「10」をリリースしたRIP SLYME

 5人組ヒップホップグループ「RIP SLYME」 が、10枚目のオリジナルアルバム「10」を9月30日にリリースした。歌手のchayさん、ファンクバンド「在日ファンク」でボーカルを務める浜野謙太さんなどが参加し、多彩な音楽的アプローチで“楽しさ”を追求したアルバムに仕上がっている。今回の新作について、MCのPESさんとSUさん、DJのFUMIYAさんに話を聞いた。

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 ――今作「10」はどのように制作を進めていったんですか。

 PESさん:前作「GOLDEN TIME」を出したあとに、「次は発売や締め切りを決めないで作ってみたら?」ってスタッフの方にいわれて、締め切りがないままコツコツ作ってたんですけど、でもいずれは出すわけで、「その時にツアーをやるんだったら、こういうグッズや衣装だな」とか、周りのコンテンツを考えながら……。曲だけ作るという感じではなくて、一つのシーズンを楽しむというか、気持ちも(昔の作品に比べて)トータル的になってきたと思います。

 ――通常は、トラック(サウンド)からテーマ性を決めて、リリック(歌詞)を書いていくそうですが、8曲目「気持ちいい for Men」は、元SUPERCARのいしわたり淳治さんが歌詞の監修で参加して、初めて歌詞の内容が決まってからトラックを作ったそうですね。

 PESさん:一人一人がいくつもの言葉を適当に書いて、ごちゃごちゃに交ぜて、そこから二つをつかみ取って合体させたというか。片方の紙を開いたら「気持ちいい」で、もう片方が「for Men」で、そこから連想ゲームみたいに「男にとって気持ちいいとは何か」っていうのを話しながら歌詞を作っていったっていう。

 ――曲には「ゴジラ」「ゴルフ」などが“気持ちいい物事”として登場しますが、個人的に、女性には理解してもらいにくいけれど、自分にとっての気持ちいい物事やこだわりってありますか。

 SUさん:ガンダムの限定フィギュアとか。幼少期や青春時代に好きで、でも当時は手に入らなかったものが復刻版で出ると、反応して買っちゃいますね。

 FUMIYAさん:虫とかメダカとか、すごく好きなんですよ。家にカブトムシがいるんですけど、それを眺めて「カッコイイな」っていうのは俺だけの気持ちよさかもしれないっスね。

 PESさん:とりあえず謝るっていうのは多いですね。怒られるのを見越して「ゴメン」から入ります(笑い)。

 ――11曲目「JUMP with chay」ではchayさんをゲストボーカルに迎えていますね。chayさんと共演してみていかがでしたか。

 SUさん:「シャウトしてくれ」とか、今までやったことがないタッチの歌い方をお願いしたので、照れながら、こっちの期待に応えようと何回もやってくれたのは印象的でしたね。

 PESさん:元気印! 元気さだったら僕も負けないんですけど、あっちは元気印、こっちは元気づくり(笑い)。

 FUMIYAさん:若いし、PES君みたいに“元気出してる”って感じじゃないんですよね(笑い)。あと、スタジオにお土産を持ってきてくれたんですけど、それがサクランボで、桐か何かの箱に入ってる佐藤錦っていうすごい高いやつで。メチャクチャうまかったですね。サクランボが大好きで、小さい頃から佐藤錦を食うのが夢だったんです。だから、いきなり胃袋をつかまれました(笑い)。

 ――なるほど。また、12曲目「Vibeman feat.在日ファンク」は、在日ファンクの浜野謙太さんがボーカルで参加しているファンキーなナンバーですが、浜野さんと共演するきっかけは?

 PESさん:どういう曲をやるか、みたいなミーティングをみんなでした時に、“危機一髪みたいな感じ”とか“スパイな感じ”とかいろいろ出てきたんですけど、その段階でハマケン(浜野)君とやりたいなっていう案で……。

 FUMIYAさん:面識はなかったんですけど、在日ファンクをよく聴いてて、PV(プロモーションビデオ)とかを見た感じも、絶対RIP(SLYME)と合うだろうなと思ってたので頼んで、それからみんなで打ち合わせしたり、飲みに行ったりして。すごくいいやつでした。

 ――ラストナンバー「時のひとひら」は、1曲目から始まったパーティーの締めのような雰囲気もありつつ、“時の流れ”に向き合った楽曲ですね。

 PESさん:時間って、一人一人の人間の人生が葉っぱみたいに重なっていった瞬間なんだなっていうことを歌いたいと思ったんですけど、あんまり掘り下げずに、ライブで歌ってみんなと楽しめる1曲になったらいいなと。全曲そうなんですけど、あんまり内に入り込まないようにっていう考えはありましたね。

 ――内に入り込まないようにしようと思った理由は?

 PESさん:ステージ上で(歌ってるのを)想像すると、何かこっぱずかしいじゃないですか。誰かのライブを見にいっても、そういう人生観みたいなものに共感しないタイプなんで。5人いるのに、1人だけいきなり自分のことを語りだしちゃったら他のメンバーが困るし、全員で一つのことを「共感してよ」みたいに言うのもどうかなって。曲全体として「思いを込めました」っていうのを5人でやるのはちょっと重いっすね。

 SUさん:インディーズの時から、とにかくパーティーなライブをやってて、だから夏フェスとかに呼ばれて、“パーティー野郎たち”なんて重宝されると思うんです。それをいきなり、何かの説得にかかっても……。楽しんで帰ってもらいたいだけなんで、そこに特化したいですね。

 <プロフィル>

 MCのRYO-Zさん、ILMARIさん、PESさん、SUさん、DJのFUMIYAさんの5人組ヒップホップグループ。2001年3月にシングル「STEPPER’S DELIGHT」でメジャーデビュー。SUさんが初めてハマッたポップカルチャーは、小学生の頃に見ていたフジテレビ系お笑いバラエティー番組「オレたちひょうきん族」。「みんな見てるから、学校で(番組内でやっていた)ギャグをやり合うみたいな、盛り上がりツールでした」と話した。

 (インタビュー・文:水白京)

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