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おかしの家:異彩放つ30分深夜ドラマ “ゆるさの源泉”駄菓子屋セットに秘めた思い

テレビ
連続ドラマ「おかしの家」の駄菓子屋セット=TBS提供

 俳優のオダギリジョーさんと映画「舟を編む」の石井裕也監督がタッグを組んだTBSの連続ドラマ「おかしの家」。今期から新設された同局深夜の連続ドラマ枠「テッペン!水ドラ!!」第1弾で、話題作の多い今期の連ドラにあって、独特の“ゆるさ”と見る者の心を和ます“ほっこり感”で異彩を放っている。そんなドラマの世界観に一役買っているのが、登場人物たちが心を通わす場として描かれている駄菓子屋「さくらや」を中心とした路地裏風景だ。「原作がなく、駄菓子屋のセットがある意味原作」と語る石井監督の要望を受けたセットに込められた思いを探った。

 ◇逆転の発想の勝利? 「30分深夜ドラマ」が功を奏し“作り込み”可能に

 ドラマは、現実から目を背けているわけではないけれど、どこか大人になりきれない心優しき“おばあちゃん子”桜井太郎(オダギリさん)ら登場人物が、自身の過去や夢、痛みに向き合い「本当に大切なもの」に気づいていく……というハートフルストーリー。舞台は東京・下町で、中心に位置するのが太郎の祖母が営む駄菓子屋「さくらや」だ。「さくらや」は、実際にドラマのロケの行われた深川地域でも目にすることのほとんどない古めかしい造りで、八千草薫さん扮(ふん)する太郎の祖母・明子の人柄と相まって、憩いを求める人々の目には「桃源郷」に映る。

 「舟を編む」の美術監督・原田満生さんの手によるスタジオセットは、建て込みにかかった日数が約2週間。撮影中、セットは建てられたままの状態であったという。通常、連続ドラマでは撮影期間が長いこともあり、セットは「建て替え」を前提としなければならないため、細部の作り込みには不向きと言われている。一方、セットを「建てっぱなし」にできる場合、より細かい作り込みが可能になるが、この点では撮影期間がゴールデン帯に比べて少ない「30分深夜ドラマ」であったことが、功を奏したといえる。

 佐野亜裕美プロデューサーも「少なくともTBSのゴールデン帯では、物理的な面ではなかなかできないこと」と認めた上で、「今回は『このセットがある種ドラマの原作になる』ということで、その環境を整えることを最優先事項として調整しました」と苦労を明かす。また佐野プロデューサーは「限られた予算内で質の高いものを作るには、まず撮影前に全10話の台本を上げることが至上命題でした」と続けると、「30分の深夜ドラマだからこそ、台本を撮影前に最後まで作り、撮影をまとめることができたので、今回のセットも実現したと言えますね」と話すなど、“逆転の発想の勝利”に胸を張る。

 ◇映画スタッフならではの画作り 名作ホームドラマへのオマージュも

 実際に組み上がったセットを目にした時のことを「『このドラマには原作がなく、駄菓子屋のセットがある意味原作』という石井監督の言葉の意味が分かったような気がした」と振り返る佐野プロデューサー。さらに「細部にわたる作り込み、画(え)作りへのこだわりは、やはり『大きなスクリーンに映る』ことを前提として仕事をしている映画の美術チームならではなんだなって」と感嘆する。キャスト陣にも好評で、第5話にゲスト出演した成海璃子さんも「深夜ドラマとは思えないような作り込まれたもので、初めて来たはずなのにどこか懐かしく感じてしまうような素晴らしいセットでした」とコメントを寄せている。

 豪華キャストの肩の力の抜けた演技と映画サイズの緻密なセットが生み出すドラマの世界観は、放送開始からじわじわと浸透し、深夜ドラマとしては少々異例の50代以上の視聴者獲得にもつながっているという。佐野プロデューサーも「最初に予想していた以上に受け入れてもらえているというのが、現在の素直な心境」と明かし、「台本作成中から『このことは見ている人の何割に伝わるだろうか』ということを石井監督と何度か話した記憶がありますが、そういった懸念していた部分も危惧で終わりました。もっと見てくれる人のことを信頼していいんだな」と手応えを感じている。

 深夜帯ならではのエッジの効いた企画への挑戦、次世代クリエイターの発掘と育成を目的に新設された「テッペン!水ドラ!!」枠だが、佐野プロデューサーは「個人的な意見」と前置きした上で、「やはり『TBSらしさ』というものを追求したいなという思いがある」と語る。残り5話となった「おかしの家」については「私自身ずっと見てきたTBSの数々の名作ホームドラマへの、自分なりのオマージュでもある」といい、「天使(?)が登場したり、さくらやの猫・みーちゃんが訴えられたり、バラエティー豊かな内容になっています。また彼らのそれぞれの行き先も丁寧に描いていきます。ぜひ最後までご覧ください」と後半戦をアピールした。

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