注目映画紹介:「任侠野郎」 蛭子能収が本気で挑む任侠もの 殺陣に挿入歌とヒロイックな姿に衝撃

映画「任侠野郎」のワンシーン (C)2016「任侠野郎」製作委員会
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映画「任侠野郎」のワンシーン (C)2016「任侠野郎」製作委員会

 マンガ家の蛭子能収さんが長編映画で初主演した「任侠野郎」(徳永清孝監督)が4日に公開される。映画は、過去と決別して静かに暮らしている元ヤクザの若頭が昔の仲間と再会し、衝撃の事実を知ったことで争いに巻き込まれていく姿を描く。主人公の柴田源治を蛭子さんが熱演しているほか、柳楽優弥さん、トリンドル玲奈さん、安田顕さん、「NGT48」の北原里英さんら豪華キャストが共演し、「勇者ヨシヒコ」シリーズや「HK/変態仮面」シリーズなどの福田雄一さんが脚本を担当している。

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 かつて関東一円に名をとどろかせた元小里組の若頭・柴田源治(蛭子さん)は、親分の敵(かたき)をとるために正岡組長を斬殺。刑務所から出所後は、クレープ屋を営んでいた。しかし、源治は昔の仲間である三鷹(中尾明慶さん)らと再会し、実は本当の敵は正岡組長ではなく、正岡組の乗っ取りを企む榊組の組長・榊(佐藤二朗さん)が源治をだましていた事実を知る。正岡組は一人娘の時子(トリンドルさん)が婚約者の三田村(柳楽さん)と守っていたが、源治をだました榊組に乗っ取られそうになっていた。過去と決別しようとしていたが正岡組にざんげの念を抱く源治は、やがてこの争いに巻き込まれていく……というストーリー。

 あの蛭子さんが主演で任侠映画、しかも脚本が福田さんということもあってコメディー路線を想像していたのだが、いい意味で期待を裏切られ、渋くてカッコいい蛭子さんがそこにはいた。普段のイメージとは裏腹にヒロイックなたたずまいが新鮮で、代役なしで挑んだという殺陣も決まっており、とにかく見たことがない蛭子さんに驚かされっぱなしだ。脇を固めるキャストも個性派が顔をそろえ、映画の世界観を盛り上げる。クライマックスでは蛭子さん自ら歌う挿入歌「任侠野郎」が流れるが、意外にも美声で、男気と哀愁、そして狂気を感じさせ、物語に深みを与えている。さまざまな才能で楽しませてくれる蛭子さんは、まさに奇才と呼ぶにふさわしい。4日から池袋シネマ・ロサ(東京都豊島区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)

 <プロフィル>

 えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。

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