ビフォーアフター:人気番組はミステリー小説で人間ドラマ!? リフォーム300軒の裏側

「大改造!!劇的ビフォーアフター SEASON2」で2013年10月3日に放送された「孫が玄関で寝る家」=ABC提供
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「大改造!!劇的ビフォーアフター SEASON2」で2013年10月3日に放送された「孫が玄関で寝る家」=ABC提供

 「リフォームで家族の問題を解決する」がテーマの人気バラエティー番組「大改造!!劇的ビフォーアフター SEASON2」(ABC・テレビ朝日系)の300軒目のリフォームの様子が19、26日の2週にわたって放送される。放送開始から約14年で、300軒目をリフォームすることになった。2002年のスタート時から番組に関わってきたABCの井口毅(いのくち・たけし)チーフプロデューサーは、約14年にもわたって番組が人気を集めていることについて「普遍的なテーマだから長く続いているのかもしれません」と話す。番組のコンセプトを「ミステリー小説」「人間ドラマ」などとも説明する井口チーフプロデューサーに話を聞き、人気番組の裏側に迫った。

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 ◇匠は名探偵!?

 「ビフォーアフター」は、家屋に関する家族の悩みを“匠(たくみ)”と呼ばれる建築士や大工らがリフォームを通じて解消していくバラエティー。「シーズン1」が02年4月28日にスタートし、03年には番組名の「ビフォーアフター」が「新語・流行語大賞」にトップ10入りするなど人気となった。「シーズン1」は06年3月19日まで約4年間放送され、130軒をリフォーム。2009年4月26日に「シーズン2」として復活した。

 井口チーフプロデューサーは、番組が約14年も続いていることについて「普遍的なテーマだから長く続いているのかもしれません」と話す。そもそも番組が誕生したきっかけは、同局のバラエティー番組の1コーナーでリフォームを取り上げたことだった。井口チーフプロデューサーは「壁を取っちゃうの!? などと映像としての面白さがあり、リフォームといえば、一般的に台所が新しくなる……などちょっとした変化を想像するかもしれない。リフォームによって元とは全然違う家に生まれ変わることにも驚いた」と振り返る。その驚きは視聴者にも伝わったようで、同コーナーは「反響が大きかった」といい、レギュラー化に踏み切った。

 「ビフォーアフター」はドキュメンタリーだが、バラエティー番組でもある。レギュラー化にあたり、井口チーフプロデューサーは「どうやって上質なエンターテインメントにするかを考えた」という。例えば“匠”という言葉を使い、建築士や大工らをヒーローに見立てるなどエンターテインメントとして見せることを意識した。また、井口チーフプロデューサーは「ミステリー小説のように作っている。匠は名探偵なんです」と例える。匠が探偵のように現場を検証し、問題を考え、解決していくところは、たしかにミステリー小説のようでもある。

 さらに「家は、人生の三分の一を過ごし、思い出がある場所。リフォームを通して家族の問題を解決していくことになる。見終わって感動できるようにしたい」と説明するように、“普遍的なテーマ”の“人間ドラマ”も描かれている。

 ◇まねできない特殊性

 井口チーフプロデューサーは「ビフォーアフター」について「ほかのバラエティーと比べると特殊」とも話す。「通常のバラエティー番組と同じ程度の予算ですが、手間はかなりかかっています」といい、1軒のリフォームのために、番組の制作期間は半年程度にもおよぶという。「ウィークリーマンションを借りて、スタッフが半年ほど住むことになる。リサーチ、検討をして、匠とプランを練って、リフォームするとなるとそれくらいかかるんです。ほかの番組でまねしようと思っても難しいかもしれません」と特殊性を説明する。

 依頼者とのやり取りも半年以上にもおよぶ。「依頼者とは信頼関係を築かないといけません。最後は感激して、依頼者とスタッフが家族のようになる。終わった後の達成感がありますね」といい「リフォームをやればやるほど責任感を感じるようになった。私は文学部哲学科出身なので、建築を勉強していたわけではありません。匠を見ていて、すごい! と感動するし、やりがいがある。タイムスリップして学生に戻れるなら建築を学びたいですね」とも語る。

 ◇アスベスト問題や震災… 苦難も

 「ビフォアアフター」は人気番組だが、順風満帆だったわけではない。02年4月にスタートした「シーズン1」は、“アスベスト問題”もあり、06年3月にレギュラー番組としては一度終了した。アスベストによる人体への健康被害が問題となった時期で「生死にかかわる問題。スタッフの安全を考えた」と判断し、一度終了することになったようだ。09年4月26日に「シーズン2」として復活できたのは「アスベストの対策が整備されたから」という。

 復活後も「東日本大震災以降、建築費、リフォーム費が高騰している。耐震対策も問題になっている」と苦労は絶えない。井口チーフプロデューサーは「震災以降、日本の住宅事情を考慮しながら、狭小住宅でもきちんと耐震対策ができないか? とも考えています」と話す。住宅を巡る課題が変化していく中、番組の今後の展開にも期待される。

 「大改造!!劇的ビフォーアフター SEASON2」は毎週日曜午後7時58分に放送。19、26日に放送される300軒目は、お笑いコンビ「Wエンジン」のえとう窓口さんが約250万円で購入した家を、予算約150万円でリフォームする。26日の放送は2時間スペシャルで、301軒目の一般家庭のリフォームと2本立てとなる。

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