アメトーーク!
ひとり暮らし長~い芸人
11月21日(木)放送分
ヒップホップアーティストのDJみそしるとMCごはんさんが、前作「ジャスタジスイ」に続くミニアルバム「味の向こう側 ~入り口~」と、レギュラー出演中の音楽&食番組「ごちそんぐDJ」(NHK Eテレ)の過去放送分を収めたDVD「ごちそんぐDJ Vol.1」を7月27日にリリースした。アーティスト名は、「食べ物についてのヒップホップミュージック」という音楽性から、日本人の食事の基本である「みそしるとごはん」、ヒップホップにおいて重要な「DJとMC」を掛け合わせたことが由来で、浅草キッドの玉袋筋太郎さんやスチャダラパーのBoseさんといった番組共演者からは「おみそはん」の愛称で親しまれている。「好きなおみそ汁の具は、夏場はトマト、好きなご飯のお供はイクラ」というDJみそしるとMCごはんさんに、食に魅了された経緯、光浦靖子さんやピエール瀧さんらも出演している新作2作品のエピソードについて聞いた。
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――幼少の頃からエレクトーン教室に通い、エレクトーンの先生や絵を描く人、もしくは帽子を作る人になりたい、などの夢があったそうですが、お料理に興味を持ったきっかけは?
高校3年生のある日、私が吹奏楽部の部活から帰って遅めの夕飯をとっていたんですね。お母さんのゴハンがホントに大好きで「おいしい、おいしい」って言って食べてたら、お母さんが「おいしいものは人類の奇跡だからね」って言ったんです。それを聞いた時になんてすごい言葉なんだと思って、料理ができたら、一生、手に職をつけて仕事ができるし、誰かを幸せにできるかもしれないし、やってみたいなって。それでいろいろ考えていくと、私の好きだった楽器を演奏すること、音楽は、料理を作ることに似ているなと思ったんです。
まな板でいろんな野菜を刻むのもそれぞれリズムがあって、あっちでボコボコとお湯を沸かして、こっちで野菜を切って、またこっちでは切った野菜に塩を振ってしんなりさせるとか、同時進行でいろんなものをやって最後に一つの献立を作るっていうのも、バンドみたいにいろんな音が鳴って1曲が出来上がるのと似ているなって。あと、盛り付けの時に「このお皿だったらおいしそうに見えるな」「今日は料理がちょっと地味だから、テーブルクロスは明るい色の方が合うな」とかって考えることは、絵を描くことに似ているなと思ったんです。料理には、私の好きなことが全部詰まってるんじゃないかって。
――そして進学した女子栄養大学では、調理実習をはじめ、テーブルコーディネートやレシピ本の制作なども学び、卒論のタイトルが、アーティスト名の元にもなった「DJみそしるとMCごはん~くいしんぼうHIPHOP~」で、「DJみそしるとMCごはん」は卒論用に考えた架空のヒップホップユニットだったそうですね。数ある音楽のジャンルの中でなぜヒップホップを選んだんですか。
「みんなのうた」や「ポンキッキーズ」が好きな子供で、「ポンキッキーズ」ではスチャダラパー、電気グルーヴ、斉藤和義さんとかの歌が流れていて、小さい時にそういう音楽を聴いていたから「ヒップホップをやろう」って言い出したんじゃないかな。DJみそしるとMCごはんという名前は「neco眠る」というバンドのギターの方がDJごはんという名前でも活動していて、その人に憧れていたっていうのもあります。
――大学卒業後は、会社員として働いていたこともあったそうですね。
1年間、食器の会社で営業として働いていました。デビューのお話をもらって、人生1回だから、こんな機会はめったにないぞと思って、「社長ごめんなさい。私、ラッパーになります」って言って、(社長は)「分かった。頑張れよ。俺は嫁に出すような気分だ。幸い、来年新入社員がすぐ来るから大丈夫だ。今度は婿(むこ)がやってくるから」みたいな(笑い)。それで今に至ります。
――昨年の「ジャスタジスイ」に続くミニアルバム「味の向こう側 ~入り口~」のコンセプトは?
「ジャスタジスイ」は一人暮らしの料理、(デビュー作の)「おりおりのおりょうり~X’mas~」はクリスマスにまつわる料理の歌とか、ずっとレシピが基本にあったんですけど、今回は“味”をテーマに音楽を作って表現してみようと思いました。同じものを食べているんだけど、そのおいしさは人によって別物なのがすごく不思議だなあとか、すごくおいしいものでも、1回目の幸せは、5回目くらいになると慣れてきてしまって、あの感動が薄れてしまうのは何でだろうとか、そういうことがきっかけになって曲ができている気がします。DJみそしるとMCごはんの新境地を切り開くべく作ったミニアルバムです。
――4曲目「食いモンドウ(苦手編)」では、光浦靖子さんと森本レオさんを相談者として招き、光浦さんはパクチー、森本さんはふなずしという苦手な食べ物について、“問答”が繰り広げられていますね。
光浦さんの場合、間違って親子丼の上にパクチーが乗っていて、出会い方が間違っていたから「生春巻きの中とか、しかるべきところにパクチーがいたら(克服できるのでは)?」とか五つくらい回答を用意してあったんですけど、「それ、もう何度もやってるけど無理」みたいな。それで何回かやり取りを続けて、「我が子のように可愛がって育てたら? 大好きな我が子を食べられちゃうんですよ」って言ったら、光浦さんはすごく母性があるので、ようやく「それならいけるかも」って。あと「パクチーはお花が白くて可愛いんですよ」て言ったら、お花を育てるのも好きみたいで「それも見てみたいかも」っておっしゃってくれて、何とか解決しました。
森本さんはふなずしがホントに無理みたいで、でも「食べられない分、いろんな知識を味わって読んでいるんですよ」って言っていて、それも苦手な食べ物との一つの向き合い方なんだって逆に教えてもらいました。私はパクチーは大好きで、ふなずしは食べたことがないので、ふなずしに対してはすごく期待してます。
――かせきさいだぁさんが作詞した「夏とセンパイ」はどのように作っていったんですか。
私はかせきさいだぁさんのすごいファンで、かせきさいだぁさんの「じゃっ夏なんで」という、夏祭りに女の子と出かけていく男の子目線の曲があるんですけど、「その曲のアンサーソングというか、女の子目線の曲を一緒に作りたい。私、夏休みの部活帰りに先輩と一緒にアイスを買って並んで帰る、みたいな青春が送りたかったんです。
“17アイス”(モチーフは自動販売機で売っているセブンティーンアイス)をキーワードに歌詞を書いてもらえないでしょうか?」って相談しにいったんです。曲は、岡本真夜さんが広末涼子さんに書いた「大スキ!」という曲のイントロで何とも切なさのある部分がちょっとだけあって、その部分だけを使って作りました。その方が「2人はまだ付き合ってもいない……まだ始まったばかりの17アイス……」という歌詞にもリンクしてすてきだなと思って。味でいうところの甘酸っぱい曲で、初めての恋の曲です。
――また、レギュラー出演中のNHK Eテレの音楽料理番組「ごちそんぐDJ」をDVD化した「ごちそんぐDJ Vol.1」は、スチャダラパーのBoseさん、ピエール瀧さん、RIP SLYMEのSUさんなど、共演者の顔ぶれが豪華ですね。
ホントにたくさんの有名な方々が登場してくれて、5分番組とは思えぬぜいたくさがあります。「アイスクリーム」の回には、私が会社員だった時の先輩に出てもらっているんです。もう定年退職して会社にはいらっしゃらないんですけれど、「この人がみそしるさんの上司なんだ、可愛い顔してるな」とか「SUさんカッコいいな」とか見逃さずチェックしていただけるので、オススメです。今にしてみれば、Boseさんやピエール瀧さんと一緒に料理を作ったなんてすごいことだなって思うし、“ごちそんぐ初期”の貴重な映像だなあと思います。
<プロフィル>
静岡県出身。女子栄養大学栄養学部、食文化栄養学科卒業。「DJみそしるとMCごはん ~くいしんぼうHIPHOP~」と題した卒業研究で、料理のレシピ曲をまとめたアルバム「Mother’s Food」とそのミュージックビデオを論文と共に提出。2013年にミニアルバム「おりおりのおりょうり~X’mas~」でメジャーデビュー。私立恵比寿中学の15年発売のアルバム「金八」では「私立恵比寿中学の日常(Interlude):早弁ラップ」を楽曲提供。DJみそしるとMCごはんさんが初めてハマッたポップカルチャーは、月刊少女マンガ誌。「『りぼん』『なかよし』『ちゃお』を全部読んでいたのと、ときどき出る『りぼん』の増刊号もすごく好きで、小学校の時にむさぼるように読んでました(笑い)。(『りぼん』で連載していた)『ミントな僕ら』と『グッドモーニング・コール』が大好きでした」と話した。
(インタビュー・文・撮影:水白京)
2024年11月25日 16:00時点
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