テレビ質問状:「WHO I AM」 パラリンピックドキュメンタリーシリーズ本放送前の特別番組

パラリンピック・ドキュメンタリーシリーズ「WHO I AM」のイメージカット
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パラリンピック・ドキュメンタリーシリーズ「WHO I AM」のイメージカット

 IPC(国際パラリンピック委員会)とWOWOWが共同で立ち上げたパラリンピックドキュメンタリーシリーズ「WHO I AM」。リオパラリンピックが開催される2016年から、東京大会が開催される2020年まで5年にわたり、世界最高峰のパラアスリートたちに迫る大型スポーツドキュメンタリーシリーズだ。10月から第1シーズンとして、8人のパラアスリートに密着した放送がスタートするが、9月開催のリオパラリンピックを前にこの8人を紹介する特別プログラムを放送する。初回は「10月スタート!パラリンピック・ドキュメンタリーシリーズ WHO I AM 事前SP リオを揺るがす世界最強のアスリート Vol.1」と題して8月6日午前7時半からWOWOWプライムで放送される(無料放送)。番組プロデューサーを務めるWOWOW制作局制作部の太田慎也プロデューサーに番組の魅力を聞いた。

ウナギノボリ

 --番組の概要と魅力は?

 WOWOWは、国際パラリンピック委員会(IPC)と共同で、大型ドキュメンタリーシリーズを立ち上げました。パラリンピック・リオ大会が開催される2016年から、東京大会が開催される2020年まで5年にわたり、世界最高峰のパラアスリートに迫るものです。シリーズの幕開けとなる今年は、いずれも2012年ロンドン大会の金メダリストで、パラリンピックを代表する最強の8人が登場します。シリーズ本放送は10月スタートですが、リオパラリンピックを前に、選手たちについて知っていただきたくて、これまでのキャリアやリオへ向けてのトレーニングなどに密着した様子を1選手あたり5分でチェックできるのが、今回の番組です。ブラジル、オーストラリア、オランダ、アメリカ、イラン、ボスニア・ヘルツェゴビナ、日本と、まさに地球規模のラインアップです。

 --今回のテーマを取り上げたきっかけと理由は?

 「彼らが放つのは……、『これが自分だ!』という輝き」。これがシリーズを表現するキャッチフレーズです。皆さんは、国内外問わず、パラリンピックの選手たちをご存じでしょうか? 私自身、プロジェクト立ち上げ後、世界にはスーパースターが本当にたくさんいることを知りました。同時に、彼らは(特に日本において)あまりにも知られていないことも分かりました。

 選手たちは、勝負の世界においてはもちろん、人生においても自信に満ちあふれ、障害という意識などまったく感じられませんでした。「自分」と徹底的に向き合い、「自分」を存分にアピールし、圧倒的な「輝き」を放つ彼らは、見る者を引き付ける力を持っています。

 スポーツだけでなく、映画、音楽や舞台など、これまで世界最高のエンターテインメントをお届けしてきたWOWOWだからこそ、パラリンピックという世界最高の舞台で躍動するアスリートたちを描きたいと考えました。

 --制作中、一番に心がけたことは?

 日本におけるパラスポーツのイメージは、依然として「障害者がやるもの」という価値観が多く残っていると感じています。どのようにすれば見る人のその価値観を変え、エンターテインメントとして、競技性の高いスポーツとして、すんなり受け入れられるようになるか……。それを考え、制作関係者と共有するのに時間を割きました。行き着いたのは、「超人」や「特殊」という言葉ではなく、「自分」や「個性」といった言葉でした。決して「特別な世界にいる人の特別な話」ではなく、「見る人にとって自分のことになる話」、つまり普遍的なテーマにしたかったのです。

 「WHO I AM」は、障害のある人が頑張っているという物語ではありません。圧倒的な輝きを放つ人たちが考えていることは、きっと見る人の人生においてヒントになることばかりだと思っています。

 --番組を作る上でうれしかったこと、逆に大変だったエピソードは?

 うれしかったことは、「WHO I AM」のフィロソフィーや方向性に、多くの方が賛同してくださったことです。IPC関係者や取材対象のアスリートの皆さんはもちろん、制作スタッフ関係者もそうです。さらに、シリーズオリジナルテーマを手掛けてくださった音楽家の梁邦彦さん、世界中を飛び回って選手たちの表情を写真に撮ってくださったフォトグラファーの新田桂一さんなど、多くの方々の共感が集まって、シリーズとしての熱を増してきていると実感しています。これからも続く番組制作において、これほど心強いことはありません。

 大変だったのは、世界中の選手を取材するということです。それぞれの国の言語・文化・宗教・パラスポーツの環境・気候差などに対応しつつ、シリーズとしての統一感を維持するのは当初苦労しました。ただ、多くの方のお力添えがあったことはもちろん、シリーズを通して描きたいことが「普遍なこと」なので、その大変さはのちに、おもしろさ・魅力に変わっていきました。

 --番組の見どころを教えてください。

 10月スタートのシリーズ本放送を前に、そして何よりもリオパラリンピックを前に、世界最強の選手たちを5分でチェックできるチャンスです。世界各国の雰囲気や匂いとともに、選手たちについて知っていただきたいです。彼らの多くは、4年後に東京にやってくるのですから。

 --視聴者へ一言お願いします。

 私自身、プロジェクト立ち上げ当初は、パラスポーツについていろいろと勉強したり識者のお話を伺ったりしましたが、世界大会の会場に足を運んで一瞬にして価値観が変わりました。「ああ、自分の人生はこの選手たちほど輝けていないな」と。まさに“百聞は一見にしかず”そのものでした。映像をご覧いただくのが一番説明もいらないし、説得力もあると思っています。ぜひ番組で、選手たちの圧倒的な輝きに触れていただけたらと思っています。そして、「自分」について考えてみていただけたらうれしいです。

 10月には、本放送がスタートします。そしてその後も2020年まで「WHO I AM」は続きますので、ぜひご注目ください。

 WOWOW 制作局制作部 プロデューサー 太田慎也

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