現在テレビ放送中の2大特撮ヒーローシリーズの劇場版最新作となる「劇場版 仮面ライダーゴースト 100の眼魂(アイコン)とゴースト運命の瞬間(とき)」(諸田敏監督)と、「劇場版 動物戦隊ジュウオウジャー ドキドキ サーカス パニック!」(柴崎貴行監督)が6日に同時公開された。仮面ライダーゴーストは全世界の人間をゴーストにしようとたくらむダークゴーストの陰謀に立ち向かい、ジュウオウジャーは宇宙全体をサーカスステージに作り替えるため地球を壊そうとする宇宙人ドミドルと戦いを繰り広げる。天空寺タケル(仮面ライダーゴースト)役を演じる西銘駿さんと風切大和(ジュウオウイーグル)役を演じる中尾暢樹さんに、撮影中のエピソードや互いの印象、映画の見どころなどを聞いた。
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今作が初の劇場版となる「動物戦隊ジュウオウジャー」に出演する中尾さんは、「初めての劇場版ということで、(テレビ放送開始から)半年間のみんなの成長が映画に詰まっています」と語り、スクリーンに映る自分たちの姿を初めて見て感動しましたので、たくさんの思いが詰まっているこの作品をぜひ見てほしいです」と初々しい笑顔を見せる。
一方、「仮面ライダーゴースト」が単独では初の劇場版となったことについて、西銘さんは「単独としての劇場版は初めてなので、いつもみんな真剣ですが、初心に戻り気を引きしめて、1年間応援してくれたファンの皆さまに残念な思いはさせないように撮影に取り組みました」と振り返り、「先輩方と『MOVIE大戦(2015年公開の「仮面ライダー×仮面ライダー ゴースト&ドライブ 超MOVIE大戦ジェネシス」)』や『仮面ライダー1号』(16年)をやって、そして今回はゴーストの集大成として僕たちの1年間がまとめられているような映画になっていると思う。そういう意味では成長した姿を皆さんに見ていただけるのはうれしいです」としみじみと語る。
それぞれが熱い気持ちで臨んだ劇場版だが、台本を読んでの印象を、「ト書きに『一輪車に乗るレオ(南羽翔平さん)』のように、どうやるんだろうというのがあったりして、映像にならないと分からない描写がたくさんありました」と中尾さんは切り出し、「柴崎監督の発想力だったり、『こういう見せ方もあるんだ』と本当に感動することがたくさんありました」と実際に演技して驚いたという。さらに、「大和が子供たちと一緒に言うせりふがあるのですが、そのシーンに向けてずっと気持ちを作っていたところもあって、かなり台本を読みこんだ思い出があります」と振り返る。
劇場版の台本を読み、テレビ版とは世界観がまったく違うことに驚いたという西銘さんは、「またタケルが消えてしまうのか……というようなシーンがあるんだと。それで最後のシーンは台本では見えてこない部分がかなりあって、どうなるか不安でしたが、諸田監督の演出で想像していた以上のいいシーンになったと思います」と手応えを語る。
続けて、「いろいろな所に撮影に行ったのですが、本当に遠いところばかりでした(笑い)」とちゃめっ気たっぷりに話すも、「映画の最初にみんなワープして違うような雰囲気の場所に行くのですが、時間をかけて行ったからこそ、凝っている作品になったのではと思います」と充実感をにじませる。
台本と実際の撮影での違いに手応えを感じている西銘さんと中尾さんだが、特に印象に残っているシーンについて、「(テレビ放送の)本編では偉人が15人しか出てこないのですが、劇場版では100人の偉人が出てくるということでどうなるんだろう」と気になったと西銘さんは言い、「偉人はどんな姿でどういう登場をして、どう出会うのかすごく楽しみでした。本編では実体化はしていなかったので、100人の偉人が実体化すると聞いてワクワクしましたし、実体化した偉人を見たときは感動しました」と目を輝かせる。
そんな感動に包まれた西銘さんだが、「100人の中にはちょっとだけ(偉人の)コスプレが甘く、ひげだけ付いているような人もいて、なんの偉人なんだろうって思いました(笑い)。そういうところもチェックしてほしいです」と楽しそうに笑う。
西銘さんの話を笑顔で聞いていた中尾さんは、「タイトルにもあるサーカスのシーンは、実際にサーカスの会場を借りて、サーカスの劇団のプロの方たちが『ジューマン』(動物の顔を持つ異世界『ジューランド』の住人)を演じてくださったのですが、実際に演目をやっていただいて、本当にサーカスを見に行っているような雰囲気で楽しんじゃいました(笑い)」と明かす。すると西銘さんが「(サーカスを)見ているシーンはすごく幸せそうな顔をしていました(笑い)」と同意する。
その発言にうなずいた中尾さんは「1000人のエキストラの方たちと一緒に(サーカスを)見ているので、みんな本当にうれしそうな顔をしていて、幸せな撮影でした」と満面の笑みを浮かべた。
ゴーストには「仮面ライダーゼロスペクター」に変身する深海大悟役で俳優の沢村一樹さん、音楽の偉人役でロックバンド「氣志團」のメンバー、ジュウオウジャーには宇宙サーカス団の団長を名乗る宇宙人ドミドル役でお笑いコンビ「平成ノブシコブシ」の吉村崇さんら、両作には豪華なゲストが出演している。
西銘さんは「沢村さんや木村了さん、(お笑いコンビ)『2700』さんだったりゲストの方がたくさんいらっしゃって、有名な方々ばかりですごいなと思って緊張していた」と当時の心境を振り返り、「現場に行ったら皆さんがすごく気さくに話しかけてくれて、緊張がほぐれました」と感謝する。さらに、「写真集の撮影があったので腹筋を鍛えたいと相談したら、木村さんがアフレコ現場で腹筋を教えてくれて『なんて優しい方なんだろう』と思いました」と明かす。
一方、「吉村さんは最初の撮影からいきなりサーカスの一番上の格子がある高いところに登らされていて、『俺、来たばっかりなのに怖いよ~』って(笑い)」と中尾さんは明かし、「1000人いるエキストラの方も大笑いして雰囲気が明るくなり、本当にエンターテイナーな方だなと思いました」とたたえる。
どのシーンにも思い入れがある中、お気に入りのシーンを選んでもらうと、中尾さんは「子供たちの応援でイーグル(大和)が立ち上がり、ジュウオウジャーと子供たちで『この星をなめるなよ』と決めぜりふ言うシーン」といい、西銘さんは「『仮面ライダーゴースト』は“切ない仮面ライダー”という一面を持っていて序盤から切ないシーンが多い中、タケルとアカリ(大沢ひかるさん)の幼なじみ同士の約束=指切りをするところ」を挙げた。
それぞれの理由を「初めて大和の姿で決めぜりふを言うので、いつもの(イーグルの姿で髪をかき上げるような)動きは入れずに、気持ちだけで言葉をぶつけなくてはいけず、どうしようかすごく練りました」と中尾さんは説明し、「感情を込めて演じられたので、いろんな方たちから『あのシーンよかった』と言っていただけました。皆さんにもぜひ見てほしいです」と自信をのぞかせる。
西銘さんは「指切りは子どもっぽいけれど、そこからラストシーンへつながる展開が見どころ」と切り出し、「『ご飯が食べたいんだ!』と敵に自分のやりたいことを投げかける(仮面)ライダーというのは、これまでにはいないと思います。台本を読んでいてすごくいいシーンだなと思いましたし、『仮面ライダーゴースト』にしかできないラストシーンになったのではないでしょうか」と胸を張る。
お互いの映画については、「(タケルと大和は)結構似ている部分がたくさんあって、2人とも周りのみんなにツッコんだりしていて、どちらかというと常識があるほうだと思っています(笑い)」と中尾さんがタケルと大和を語ると、中尾さんも「そうだそうだ」と笑顔でうなずく。
気を取り直して「『ジュウオウジャー』はコメディー要素やポップな印象が強くて、子供たちとの熱い友情が描かれています。『ゴースト』は“切ないライダー”というだけあって、タケルとアカリの“約束”やタケルが自分を犠牲にして立ち向かうシーンなど、しっとりしている印象があります」と中尾さんは分析。そして、「それぞれの色というのがあって、違う雰囲気の作品が一つの作品としてうまく組み合わさり、見ていてすごくいい感情になれる気がします」と持論を語る。
聞いていた西銘さんは「お互いの作品を見ながら、すごくいいシーンだなというのがたくさんあってうれしいです」と笑顔を見せ、「『ジュウオウジャー』がまず盛り上げてくれて、僕たち『ゴースト』の切ないライダーでしっとり終わらせるというのが、2本合わせて完璧だなと」と相乗効果に期待する。
続けて、「子供が大好きでスクリーンで笑顔などを見ていると、そのパワーに助けられているということに気づかされました」と切り出し、「子供たちと一緒に戦う意思を見せるというシーンが本当にすてきだなと思いましたし、ちょっと(『ジュウオウジャー』に)嫉妬(しっと)しちゃいました」と率直な思いを口にする。
作品の見どころを「やっぱりサーカスのシーン」と中尾さんは言い、「エキストラ1000人の方たちと一日中撮影して仲よくなり、思い出も詰まっているし、ブランコなどサーカスならではのアクションにも注目してほしいです」と力を込める。大和の注目ポイントには、「決めぜりふを言うシーンと、初めて剣を持ったアクションにも注目してほしいです」とメッセージを送る。
西銘さんは「タケルもアラン(磯村勇斗さん)も父親の死を経験していて、マコト(山本涼介さん)も幼少期に父親が出て行ってしまっているなど、なんでこんなに……というぐらい本当に切ない」と切り出し、「親子関係がしっかり描かれていて、あそこまで完璧に(マコトの父・)大悟を演じてくださった沢村さんのすごさが伝わってきますし、最大の見どころだと思います」と太鼓判を押す。
タケルの見どころについては、「(タケルが)ゴーストとして生きてきて、『ご飯が食べたい』という思いを敵に投げかけるというシーンが、ゴーストをやってきた“1年間の叫び”というか、ゴーストを演じて思っていることを感情を出したシーンだったので、すごく気持ちがよかったですし、とてもいいシーンだと思いました」と語った。映画は全国で公開中。
<西銘駿さんのプロフィル>
にしめ・しゅん 1998年2月20日生まれ、沖縄県出身。2014年に「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」でグランプリ受賞。15年には演技初挑戦ながら特撮ドラマ「仮面ライダーゴースト」(テレビ朝日系)の主役に抜てきされる。
<中尾暢樹さんのプロフィル>
なかお・まさき 1996年11月27日生まれ、埼玉県出身。2013年の「D-BOYSオーディション10th」ファイナリストで、14年に俳優デビュー。舞台やCMなどの出演を経て特撮ドラマ「動物戦隊ジュウオウジャー」(テレビ朝日系)でテレビドラマ初出演を飾る。16年1月から俳優集団「D-BOYS」に加入している。
(インタビュー・文・撮影:遠藤政樹)
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