注目映画紹介:「SCOOP!」福山雅治が中年パパラッチ役で新境地 陰と陽のバランスが絶妙なエンタメ作

「SCOOP!」のワンシーン (C)2016映画「SCOOP!」製作委員会
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「SCOOP!」のワンシーン (C)2016映画「SCOOP!」製作委員会

 歌手で俳優の福山雅治さんの主演映画「SCOOP!」(大根仁監督)が10月1日に公開された。今作で、以前はスターカメラマンだったが今は落ちぶれて借金まみれのパパラッチ・都城静を演じた福山さんは、クランクイン前から髪とヒゲを伸ばし、衣装を着込んで日常生活を送るなど徹底した役作りで撮影に臨んだという。静とタッグを組むことになる新人記者役で二階堂ふみさん、副編集長役で吉田羊さん、滝藤賢一さん、情報屋役でリリー・フランキーさんらが脇を固めている。とにかく冒頭から「えっ、これが福山雅治?」とその“汚れ役”ぶりに驚かされ、途中、チームの活躍に熱くなり、衝撃のラストまで2時間があっという間という快作だ。

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 「SCOOP!」は、1985年に制作された原田眞人監督・脚本の作品「盗写1/250秒」が原作で、「モテキ」「バクマン。」などで知られる大根監督がメガホンをとった。かつて数々の伝説的スクープをモノにしてきたカメラマンの都城静(福山さん)だが、その輝かしい業績も現役の雑誌編集者にはほとんど知られていなかった。過去のある出来事をきっかけに報道写真への情熱を失ってしまった静は、芸能スキャンダル専門のパパラッチに転身。借金や酒にまみれた自堕落な生活を送っていた。そんな静にある時、転機が訪れる。ひょんなことから写真週刊誌「SCOOP!」の新人記者・行川野火(二階堂さん)とコンビを組まされることになる。まったくかみ合わず、ケンカばかりの2人だったが、この凸凹コンビがまさかまさかの大活躍で独占スクープを連発。そして日本中が注目する大事件に巻き込まれていく……というストーリー。

 元になった「盗写1/250秒」の大ファンだった大根監督は、福山さんの主演映画の企画を考えてほしいというオファーに、カメラマンとしても活躍する福山さんだったら「盗写1/250秒」の21世紀版が実現できるかもしれないと考えたという。福山さん演じる静には、オリジナル版で原田芳雄さんが演じたアウトローなカメラマンと宇崎竜童さんが演じた狡猾(こうかつ)洒脱な相棒のキャラクターをミックスさせた。

 良くいえばナチュラルヘア、ようはボサボサ頭に無精ひげという、やさぐれた雰囲気の福山さんが新鮮。そしてイマドキ女子だった野火(二階堂さん)がスクープという魔力に取りつかれていく様も一人の記者の成長物語として楽しめる。全体に漂う猥雑(わいざつ)でムーディーな味わいの夜の雰囲気と、写真週刊誌の編集部の舞台裏や友情・努力・勝利(あと奇策?)でスクープをものにし部数を伸ばしていく王道のストーリーとの陰と陽のバランスが絶妙。そして最後には驚きの結末が待っているというエンターテインメント作品としての面白さが2時間に凝縮されている。福山さんはこの作品で文字通り新境地を開いた。2018年にはジョン・ウー監督の「追捕-MANHUNT」の公開が控えているが、今後、福山さんがどんな役でどんな姿を見せてくれるのか、楽しみになる一作だ。主題歌は「TOKYO NO.1 SOUL SET feat.福山雅治 on guitar」の「無情の夜に」。10月1日からTOHOシネマズ日劇(東京都千代田区)ほか全国で公開。(細田尚子/MANTAN)

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