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マイマイ新子と千年の魔法:片渕監督が“逆転劇”振り返る 7年も愛され続けるアニメの普遍性

アニメ
「マイマイ新子と千年の魔法」のブルーレイディスクのジャケット(C)高樹のぶ子・マガジンハウス/「マイマイ新子」製作委員会

 2009年に公開された劇場版アニメ「マイマイ新子と千年の魔法」(片渕須直監督)のブルーレイディスク(BD)が28日、発売される。同作が公開されたのは約7年前だが、今夏も広島で野外上映が行われるなど長きにわたって愛され続けている。公開時は集客に苦戦したものの、口コミでファンが増え、“逆転劇”が起きたことも話題になった。また、片渕監督が手がける劇場版アニメ「この世界の片隅に」が11月12日に公開を控えており、ルーツとも言える「マイマイ新子」が再注目されている。片渕監督に「マイマイ新子」の“逆転劇”を振り返ってもらった。

 ◇逆転劇のきっかけはレイトショー

 「マイマイ新子と千年の魔法」は、高樹のぶ子さんの自伝的小説が原作。昭和30年代の山口県防府市を舞台に、空想好きな小学3年生の少女・新子、東京から引っ越してきた引っ込み思案な少女・貴伊子らの日常を描いている。「名探偵ホームズ」「魔女の宅急便」などに参加してきた片渕監督が手がけ、第14回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞にも選ばれた。

 「マイマイ新子」は長く愛されている作品だが、初動は厳しかった。片渕監督は「最初のころは夕方の上映がなかった。大人が来てくれなくて、初動は厳しかったですね。レイトショーをしてくれるところを自分たちで探し、ラピュタ阿佐ヶ谷で上映されることになったんです」と振り返る。

 レイトショーをきっかけに、口コミで話題になり、ほかの劇場も席が埋まるようになった。「観客のほとんどがネクタイを締めたサラリーマンの人だったんです。夜の上映なのに朝から整理券のために並ぶ人もいた。さらに上映期間が長くなっていきました。消費されて終わる作品ではなかったのがうれしかった」と話すようにまさかの“逆転劇”となった。

 「マイマイ新子」は今夏も野外上映が行われるなど、愛され続けている。片渕監督は「一気に広がっていないからかもしれませんね。最近の上映でも3分の1から半分くらいが初見の人なんです」と話すように、いまだに新規ファンを獲得しているという。

 片渕監督は上映が行われると、できる限り舞台あいさつに参加しているといい「上映があるたびに『行きたい!』と押しかけていて、舞台あいさつは200回くらいやっています。そのたびにアニメを見ています。お客さんの反応を見ながら、自分も見入ってしまう。こんなに何度も見た作品は珍しい」と話す。

 ◇“泣ける”ことは意識せず

 「マイマイ新子」はサラリーマンが劇場に駆けつけたように大人からの支持を集めた。片渕監督は「子供に見てもらうための作品。ただ、子供が見てくれる劇場版アニメは、テレビで放送していて、既に子供が知っている作品ばかり。いきなり子供に見てもらうのは難しいので、親が普通に見られるものにして、子供に見せたいと思う映画にしようとした。あらかじめ大人にも見てもらうことを考えていた」と明かす。

 “泣ける”映画などとも話題になった。しかし、片渕監督は「泣けるなどは意識していなかった。『泣くんだ?』とも思った。人によってどこでスイッチが入るかが違うようです。『光がキラキラするシーンで泣きました』と聞いてびっくりしたり、子供のころのさまざまな記憶が引き金になっていたりするようです。映画はお客さんの心の中で完成するもの。お客さんの数だけ、たくさんの映画があるんでしょうね」と話す。

 また「カナダの映画祭など、どこの国の人が見ても『子供のころを思い出す』という声を聞く。子供はどこの国も同じような気持ちで遊んでいるということなんでしょうね」と国境を越える“普遍性”が多くの人の心をつかんだようだ。

 ◇「この世界の片隅に」ののんの演技を絶賛

 片渕監督の最新作で、こうの史代さんのマンガが原作の「この世界の片隅に」が11月12日に公開を控えている。同作は女優ののんさんが主人公・すずの声優を務めることも話題になっており、片渕監督は「アニメを作っている間、頭の中ですずさんの声は、のんちゃんでイメージしていた。オファーする前から、勝手にイメージしていたのですが、いろいろな巡り合わせがあって、出演していただけることになった。本当によかった。運がよかった」と出演を喜ぶ。

 さらに、のんさんの演技を「のんちゃんの姿が消えて、すずさんしか見えない。のんちゃんは『あまちゃん』のイメージが強いけど、さまざまな作品の世界に入ることができる女優」と絶賛する。

 また、片渕監督は「この世界の片隅に」は「『マイマイ新子』が出発点にある」とも話す。「『マイマイ新子』の新子のお母さんは29歳。19歳でお嫁に行って、戦時中に身ごもっている。お母さんはちょっととぼけた味わいがあり、10年前にどうしていたか?が、次の作品になると思っていた。新子のお母さんのことを考えていた時に、戦時中、18歳で縁談が持ち上がったすずさんと(イメージが)つながった」と説明する。

 「この世界の片隅に」の公開をきっかけに、“出発点”の「マイマイ新子」は今後もさらに注目を集めていきそうだ。また、片渕監督が「細かいディテールにいたるまで、できるだけ明確に描こうとした。BDでじっくり見ていただければ」と話すBDの発売も、新たなファンを獲得していくかもしれない。 

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