アニメ質問状:「亜人ちゃんは語りたい」 「顔芸」で動きの少なさカバー

アニメ「亜人ちゃんは語りたい」(C)ペトス・講談社/「亜人ちゃんは語りたい」製作委員会
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アニメ「亜人ちゃんは語りたい」(C)ペトス・講談社/「亜人ちゃんは語りたい」製作委員会

 話題のアニメの魅力をクリエーターに聞く「アニメ質問状」。今回は、バンパイアや雪女など人間とは少し違う“亜人”の学園生活を描いたコメディー「亜人(デミ)ちゃんは語りたい」です。シリーズ構成・脚本の吉岡たかをさんに作品の魅力を語ってもらいました。

ウナギノボリ

--作品の概要と魅力は?

 人間とはちょっとだけ違う亜人(通称:デミ)たちと、亜人が大好きな教師が繰り広げる、普通でありながら普通とちょっと違う日常を描いた物語です。特殊な性質を除けばごく普通の女子高生である亜人(デミ)ちゃんたちと、朴訥のように見えながら亜人のことになると急に能弁になってしまう高橋先生のキャラクターの生き生きとした掛け合いが魅力だと思います。

--原作マンガを読んだ最初の印象は。

 まずは絵が上手だなあ……と思いました。原作は会話劇ですから、どうしても単調な絵面になりがちなところですが、そのしっかりしたデッサン力と、特に手の描き方で登場人物の心理などを巧みに描写していて引き込まれました。物語も優しさを基調にしていながらも、単に夢物語の優しい世界とはしておらず、ちゃんと厳しさもつらさもある……そんなリアリティーがあるところにとても好感を持ちました。毎回ラストのオチが落語のサゲみたいで、そんなところも趣味的に好みです(笑い)。

--アニメにするときに心がけたことは?

 原作マンガの場合は特にそうなのですが、マンガには存在せず、映像では絶対的な存在である「時間」を加えることに腐心します。それは、小さいことでは人物の動きやシーンの出入りであったり時間経過の表現であったりするわけですが、今回は特に原作が短編で小咄(こばなし)に近いものなので、各エピソードの魅力を最大限生かした上で、そのエピソードの間にも、おそらく存在したであろうエピソードやキャラクターの心情などを、原作の魅力を壊すことなく自然に追加しようと思いました。

--作品を作るうえでうれしかったこと、逆に大変だったことは?

 うれしかったのは、こんなすてきな原作に出合えて関わることができた、ということです。こういう仕事をしていると、それに尽きますね。あ、あと、ブルーレイ・ディスクやDVDに日本語字幕を付けていただいたのもうれしかったです。今回に限らず日本語字幕に関しては、だいぶ昔からメーカーさんにことあるごとにお願いしていて、ようやく自分の関わる作品でかないました。

 大変だったのは、基本が部屋の中で繰り広げられる会話劇のため動きがないということで、だから初期の打ち合わせでは「ここは顔芸でお願いします。アニメの亜人ちゃんは顔芸です!」と散々言っていました(笑い)。もう一つは、同様に1本のアニメ作品としてバランスを取るため、原作で描写されている部分以外はなるべく動かさなくてはならなかったことです。ですが、どちらも安藤良監督の素晴らしい演出、作画監督の川上哲也さんのこだわりに加え、キャストの皆さんの頑張りで杞憂(きゆう)に終わりました。本当にありがたいことです。

--ひかり、京子、雪、早紀絵の中で一押しのキャラは?

 なにを言ってるんですか!? 選べるはずないでしょう(笑い)。全員一押しです! あえてそれ以外ならクラスメートの男子、佐竹君です! 大好きです!

--今後のみどころを教えてください。

 早紀絵先生を含めた4人の亜人ちゃんと高橋先生の物語に、他のキャラクターも登場していきます。そういった人たちと亜人ちゃんが絡むことで、より一層亜人ちゃんたちの魅力や面白さも倍増していくと思います。

--ファンへ一言お願いします。

 基調は日常コメディーなのは変わりませんが、亜人ちゃんたちだけでなく、高橋先生を含めた登場人物全員が語り合いそして学び合って、ほんの少しずつですが成長していきます。そのさまを見守ってあげてください。願わくは、皆さまが「亜人ちゃんは語りたい」ならぬ「視聴者は見守りたい」というお気持ちになってくださいますよう……。

シリーズ構成・脚本 吉岡たかを

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