注目映画紹介:「美しい星」 三島由紀夫の異色SF リリー・フランキーが“火星のポーズ”で地球を救う

「美しい星」のメインビジュアル (C)2017「美しい星」製作委員会
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「美しい星」のメインビジュアル (C)2017「美しい星」製作委員会

 三島由紀夫の異色SF作を、「桐島、部活やめるってよ」(2012年)の吉田大八監督が大胆な脚色を加えて映画化した「美しい星」が、26日からTOHOシネマズ日本橋(東京都中央区)ほかで公開される。平凡な家族4人がある日突然、宇宙人に覚醒。地球を救う使命に目覚めていく悲喜劇を描く。主演のリリー・フランキーさんが、両手を上に広げる「火星のポーズ」でおかしさを誘う。

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 大杉家は、当たらないと評判のお天気キャスターの父重一郎(リリーさん)、野心家のフリーターで息子の一雄(亀梨和也さん)、美人過ぎる女子大生の娘暁子(橋本愛さん)、空虚な心を持て余す母伊余子(中嶋朋子さん)の4人家族だ。ある日、それぞれ火星人、水星人、金星人、地球人として覚醒。美しい星・地球を救う使命を託されて奮闘していくが……という展開。

 原作は1962年に発表された。今年2月までに累計50万部突破のロングセラーとなり、熱狂的な読者を獲得している。発表時は東西冷戦時代。原作は、核兵器による最終戦争という人類の危機を描いた。吉田監督は、近未来を舞台に地球の人口爆発とエネルギー問題、温暖化や異常気象に危機を変化させた。3人を1人に集約させた敵役を、佐々木蔵之介さんが不気味さをたたえて怪演しているのも見ものだ。

 リリーさん演じる重一郎は妻との会話も無く、不倫中だ。気象予報士としてテレビ番組内でお天気コーナーを受け持つも、当たらないことで有名。ある日、火星人として覚醒し、温暖化の脅威について熱弁を振るった後、「まだ間に合います!」と言いながらバーンと両手を上に広げてポーズをキメる。必死になればなるほど、おかしくてもの悲しい。リリーさんは、気象予報士の立ち居振る舞いや専門用語を覚えるだけでなく、火星人として覚醒後、病んでいく設定に合わせて体重も絞ったという。

 金星人に覚醒した橋本さん演じる暁子が両手を空に向けてUFOを呼ぶポーズは、美しい顔立ちに思わず見とれてしまう。どちらのポーズも、乃木坂46のミュージックビデオ「サヨナラの意味」などを手がけた菅尾なぎささんの振り付けだ。(キョーコ/フリーライター)

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