SPECIAL EDITED VERSION 『ONE PIECE』魚人島編
第8話 弱虫で泣き虫!人魚姫しらほし
12月22日(日)放送分
タツノコプロの創立55周年記念アニメ「Infini-T Force(インフィニティフォース)」が10月から放送される。同作は、ガッチャマン、テッカマン、ポリマー、キャシャーンという4大ヒーローが一堂に会する“夢”の作品だ。そのヒーローたちを監督として生み出してきた笹川ひろしさんと、メカデザインを担当した大河原邦男さんにタツノコプロの歴史などを聞いた。
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タツノコプロ創立に関わった笹川さんは、もともとマンガ家志望で、国産アニメの登場に胸を躍らせ、手塚治虫の専属アシスタント第1号として活躍した。タツノコプロの創立は、当初企画したアニメシリーズの実現が難しくなる中、「自分たちの手で制作しよう」としたのがきっかけだ。しかも設立時にあてにしていたマンガ家のアシスタント全員から協力を断られ、素人を集めてスタートしたという。笹川さんは「文化祭のような感じで、素人の怖さ知らずで始めた。ダメになってもマンガ家に戻ればいいという考えがあった」と笑う。
そんな苦労を経て放送されたのが第1弾アニメ「宇宙エース」で、笹川さんは「あのときは試写を見てボロボロ泣いた。今でも忘れないね」と振り返る。だが、当時の笹川さんは、自分のマンガでアニメを作りたいという気持ちが強かったといい、「愉快なことではなかった」と当時の心境を明かす。
3年間悩んだという笹川さんだが、「自分は映画監督と思えばよい。いかに絵にうまくつけて、映像としてうまく見せるか。『僕の役目はそれなんだな』とふと気付いた。そこで振り切れた」と明かす。笹川さんはその後も「タイムボカン」シリーズなど次々と名作を生み出していく。
半世紀以上アニメ業界に身を置く笹川さんが大事にしているのは、子供への徹底した配慮だ。「テレビの部屋は、子供たちだけで見る環境だから、悪影響を与えない作品でありたいと思っていた。だから刺激的、グロテスクな表現は極力しないようにした」と話す。
大河原さんは、国産アニメに胸を躍らせて業界に飛び込んだ笹川さんとは異なる。タツノコプロ入社の経緯について大河原さんは「私の場合はたまたま。実はアニメとかマンガには(当初は)興味がなかった」と笑いながら話す。だが、当時、大河原さんの上司だったイラストレーターの中村光毅さんが、入社したばかりの大河原さんを、新作「科学忍者隊ガッチャマン」のメカデザインに起用した。ガッチャマンのタイトルロゴも担当させられた大河原さんは「鳥が飛んでるようなイメージのロゴを描いたら、すぐOKになって、面白い仕事だと思った」と明かす。
大河原さんは「新入社員なのに上司が太っ腹ですよね」と振り返りながら、「中村さんは当時、個性的すぎるメンバーが集まるタツノコの技術チームを束ねていた。そこにアニメの本数が増えていたから、ガッチャマンのメカまで全部やるのは不可能だった」と自身が抜てきされた理由を説明する。
笹川さんは「当時何かあると、中村さんから『ちょっと描いてくれないか』と頼まれていた。大河原さんは(デザインが)一発でOKになるから、中村さんも重宝していたと思う。大河原さんがいなかったら中村さんがどうかなっていたかもしれない。タツノコプロとして良い人が来てくれた」と感謝し、大河原さんの“アニメの常識”にとらわれず、一歩引いた目線が大きな実りをもたらしたと評価する。大河原さんはその後も「破裏拳ポリマー」「宇宙の騎士テッカマン」も手掛け、「新造人間キャシャーン」もクレジットに名前こそないものの手伝いをしていたという。
大河原さんのメカデザインは、複雑さではなく、あえて単純にして形の面白さで勝負したという。「アニメーターが理解しやすい円柱だったり、角柱を組み合わせていくのが正解では」と振り返る。デザインに凝って三次曲線や三次元曲面のメカデザインにしても、アニメーターが苦労するだけというわけだ。「デザイナーが単純なメカデザインを嫌って凝ったことをする。すると全体の形が希薄になって、逆にアニメーターが大変になる」と指摘する。
大河原さんは「与えられた仕事はスケジュール通りに進めて一度も落としてないのが他のデザイナーに自慢できることかな」と胸を張る。「期限を守るのがプロの仕事」という姿勢は、「アニメの質の向上」などを理由に納期の遅れが“状態化”しているアニメ業界には耳の痛い話だろう。
ガッチャマン、ポリマー、テッカマン、キャシャーンというタツノコのヒーローがそろい踏みする「Infini-T Force」に笹川さんと大河原さんは関わっていないが、一歩引いた温かい目で見守っている。同作について大河原さんは「最初は『3DCGは無謀だな』と思ったのですが、テレビアニメにしては異常なクオリティー。頭身が(すらりとして)格好良すぎて……」と笑いながら、「質は問題ない。子供も楽しんで見られるから、あとはどういうお話に持っていくかですね」と期待している様子。笹川さんも「新しいタツノコプロの映像として、若い人たちが頑張っているのでぜひ見てください」とアピールしていた。
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