Gzブレイン:「ファミ通」新会社の狙いは 浜村弘一社長に聞く

Gzブレインの浜村弘一社長
1 / 3
Gzブレインの浜村弘一社長

 ゲーム雑誌「ファミ通」で知られるカドカワが、純粋持株会社体制への移行を発表し、それに伴う新会社の社名が「Gz(ジーズ)ブレイン」に決まった。新会社の狙いなど浜村弘一社長に聞いた。

ウナギノボリ

――新社名が話題です。「エンターブレイン」の社名を復活する考えはなかった?

 よく誤解されるのですが、「エンターブレイン」という社名は以前(5年前)の話で、直前の社名は、ホールディングス(持ち株会社)のカドカワなんです。そして元々ずっと新しいサービスを始めようと考えていて、タイミング的に「新しい会社を設立しよう」となったわけです。「エンターブレイン」の名前は「メディアファクトリー」のようにグループのブランドとして残っています。新会社の社名は新しい名前でと考えていたし、社内で公募しています。

――社名の由来は。

 「Gzブレイン」の「ブレイン」は、ゲームの作り手、遊び手、いろいろな人のブレイン(頭脳)になりたいという意味を込めています。「Gz」の「G」はゲームの意味で、アポストロフィーを意識して「z」としています。「Gs」にしていないのは、それだと“良い子”すぎるイメージなのでそれも嫌なので、あえて“傷”を付けてみようと考えました。会社のロゴを見ると「z」の部分にアポストロフィーが傷のようにデザインされているでしょう? 「ファミ通」でも連載している易学協会に占ってもらい、画数や文字の響きも意識して、この社名にしています。

――「ゲーム」を強く意識した社名ですね。これまではゲーム以外の雑誌やマンガも出してましたが、ゲームに特化する?

 そう考えています。10年前に誰もがソーシャルゲームの成長を想像しなかったように、10年後のゲーム業界の予測はつきません。しかしゲームの定義が広がり、世界的に見てゲームは右肩上がりの産業です。そして「ゲーム実況」などのようにゲームを直接遊ばず楽しむ人たちも増えています。2.5次元ミュージカルもそうですし、ゲーム音楽のライブ、eスポーツなども好例です。ゲーム周辺のビジネスも大きくなるので、そこにチャンスがあると思っています。「ファミ通」で得たノウハウと業界の人脈があるからこそ、できることも多いと思っています。

――世界的に人気のeスポーツは、日本ではなかなか広がりません。

 景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)などがあり、日本は世界で一番賭博に厳しい国なのでなかなか許してもらえないのですが、世界ではムーブメントで産業になりつつあります。少なくも世界でできることが日本ではできないのはいびつです。eスポーツは2018年のアジア大会では参考競技になりますし、今後さらに大きくなる可能性はありますね。

――最近は、ゲームメーカーが自らが情報を発信する時代になっています。ゲームメディアは大変では?

 一番信用できるのはテレビで、インターネットは低いという調査結果もありますが、ちゃんと元ネタになるようなネットのメディアは信用されています。ネットはデマが混じるので、情報の中心になるメディアは必要になります。それに情報発信者(メーカー)が言いたいことと、一般ユーザーが知りたいことは違うわけです。我々はそれを直接ぶつけて聞けるわけで、それはメーカーにもユーザーにもできないことだと思っています。

――新会社では何をするつもり?

 まずは経営をしっかりやることですね。そして新たな枠組みを作るためのプロジェクトを進めています。年末にはいろいろなことが分かると思いますよ。

◇プロフィル はまむら・ひろかず=1961年生まれ。1986年にゲーム情報誌「ファミコン通信」(現・週刊ファミ通)の創刊から携わる。エンターブレイン社長、カドカワ取締役を経て新会社の社長に就任した。

写真を見る全 3 枚

ゲーム 最新記事