テレビ質問状:「ノンフィクションW シャルルの幻想の島~日本の祝祭とフランス人写真家~」日本での撮影の旅を追う

「ノンフィクションW シャルルの幻想の島~日本の祝祭とフランス人写真家~」のビジュアル
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 WOWOWは「WOWOWオリジナルドキュメンタリー」枠として、「ノンフィクションW」と「国際共同制作プロジェクト」の2番組を両輪に、国内外のさまざまなテーマを扱ったオリジナルのドキュメンタリー番組を放送している。9月24日午後9時からWOWOWプライムで放送される「ノンフィクションW シャルルの幻想の島~日本の祝祭とフランス人写真家~」」の番組プロデューサーを務めたWOWOW映像ビジネス部の古谷秀樹プロデューサーに、番組の魅力を聞いた。

ウナギノボリ

 ――番組の概要と魅力は?

 フランス人写真家のシャルル・フレジェが、日本の祝祭に現れる神々や妖怪に扮(ふん)した人々を写し撮った「YOKAI NO SHIMA」。昨年、日本でも青幻舎から写真集が発売され、東京・銀座メゾンエルメスで展覧会が開催されるなど、大きな話題を呼びました。番組では、2014年から足掛け2年、全国50カ所以上にもわたったシャルル・フレジェの旅に完全密着しています。

 撮影した映像は、実に200時間以上。そこに登場する日本全国の祝祭は、都会に生きる多くの日本人が忘れてしまった、プリミティブな日本の姿です。しかし今回のドキュメンタリーは単なる撮影旅行記ではなく、西洋と東洋の価値観の衝突の記録であり、伝統とアートの対立の記録であり、そして日本の伝統のあり方や深淵について再発見する旅の記録でした。

 21世紀にもなってなぜ人々が伝統を継承しているのか? 小難しく考えるのではなく、驚くほど色彩豊かな日本の伝統と、猪突猛進なシャルルの旅をお楽しみください。

 ――今回のテーマを取り上げたきっかけと理由は?

 実をいうと、今回の企画は最初からWOWOWが関わっていたワケではありません。監督の長谷川歩さんがシャルルの世界観にほれ込み、独自にシャルルの旅を記録し始めた企画なのです。

 WOWOWに企画が持ち込まれたのは、既にシャルルが日本での旅を終えた段階です。しかし長谷川監督が撮りだめてきた映像を見た時、そこに記録されている“日本”の姿に驚愕(きょうがく)しました。大阪で育ち、東京で生活する私が、それまで見たこともないような神々や妖怪が次々と登場し、たちまち魅了されてしまったのです。

 加えて、日本で撮影された「YOKAINOSHIMA」と、シャルル・フレジェがヨーロッパの祝祭に登場する“獣人”を撮影した「WILDER MANN」との対比にも注目しました。何千キロも離れた日本と欧州ですが、驚くほどその伝統には共通点があり、文化人類学の面でもとっても面白い企画だと思いました。

 ――制作中、一番に心がけたことは?

 今回のような企画はともすれば、日本の妖怪の“図鑑”になってしまったり、あるいは単なる写真集の“メーキング映像”にもなりかねません。長谷川監督も撮影中からその点には留意されていて、シャルルが旅の途中でどのようなことを発見していくのか、そしてシャルル自身もどのように変わっていくのかを、丁寧に記録されています。またシャルルだけでなく、彼の撮影を受け入れる日本各地の人々の誇りや心情にもカメラを向けています。

 ―-番組の見どころを教えてください。

 「アート」だとか「文化人類学」だとかいうと、何だか難しそうな番組に思えてしまいますが、まずは純粋なロードムービーとして楽しんでもらいたいです。そして日本の祝祭に登場する、異形の神々や妖怪の姿に圧倒され、さらにそれらをアートとして昇華させるシャルルの世界観をご堪能いただければと思います。

 映像の美しさと音楽にもこだわっていますので、その点にもぜひご注目いただきたいですね。

 ――視聴者へ一言お願いします。

 このドキュメンタリーには、西洋と東洋の価値観の違いだとか、日本という国の文化的なルーツだとか、あるいは21世紀にもなってなぜ人々が伝統や祝祭を継承していくのか?……など、いろいろな示唆を込めたつもりです。シャルルの旅とその幻想的な写真を見た上で、番組に込めたいろんなテーマについて、思いをはせていただければ幸いです。

 WOWOW 映像ビジネス部 プロデューサー 古谷秀樹

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