市川染五郎:「松本幸四郎」襲名で36年の「染五郎」に別れ 「後悔ばかり」

名古屋市内で行われた会見に出席した市川染五郎さん
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名古屋市内で行われた会見に出席した市川染五郎さん

 2018年1月に3代同時襲名を行う歌舞伎俳優の松本幸四郎さんと、市川染五郎さんが13日、同年4月に開場する御園座(名古屋市中区)のこけら落とし公演「柿葺落四月大歌舞伎」を前に名古屋市内で会見を行った。染五郎さんは、今年11月25日に、8歳から36年にわたって名乗った染五郎としての最後の公演を終えており「正直、そのときは後悔ばかり」と胸の内を明かした。

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 染五郎さんは18年1、2月の東京・歌舞伎座で、十代目松本幸四郎を襲名し、同時に父の幸四郎さんが2代目松本白鸚(はくおう)、長男の松本金太郎さんが八代目市川染五郎を継ぐ。

 染五郎さんは「8歳から『染五郎は僕なんです』とずっと叫び続けてきた」と振り返り、「毎日『あしたこそなんとかしよう』という思いで舞台に立ってきたのではないかと思う。しかし染五郎としては終わってしまって、あしたはありませんので、反省はできず、後悔するしかない。やってきたのは、これだけのことか……と思うことばかり」と心境を吐露。一方で襲名について「染五郎として、いろんな教え、いろんな出会いがあったからこそ」「自分がやってきたことが少しでも認めていただいたのでは、期待をしていただいているのではと思って、新たに始めたいと思います」と話した。

 幸四郎さんは、同じく36年名乗った幸四郎という名前について「寂しくないと言ったら嘘になりますけど、正直、別れの寂しさよりも、なんと多くの方のお世話になったかと(感じられる)。皆様方のお心に対する感謝の気持ち、ありがとうございましたというひと言しかない」と感謝を述べた。

 また2人は名古屋での思い出を語り、染五郎さんは「強烈に残っているのは(建て替え前の)御園座でデライトサンドを出前でとった。(写真を見て)ジャムだろうなと思って食べたらしょっぱいんです。のりのつくだ煮がパンに塗ってあって、名古屋はそういうところなんだと思った」と苦笑い。幸四郎さんは「名古屋の御園座は子役の時代から出していただいて、弟の(中村)吉右衛門と東山動物園に連れて行ってもらってゾウに乗せていただいたり、初めて洋食、ビーフシチューというものを食べさせていただいたり……」と楽しそうに振り返っていた。

 「柿葺落四月大歌舞伎」は18年4月1~25日。昼の部では2人の口上のほか、染五郎改め幸四郎さんが佐野次郎左衛門を演じる「籠釣瓶花街酔醒(かごつるべさとのえいざめ)」などを上演。夜の部では幸四郎改め白鸚さんが弁慶、染五郎改め幸四郎さんが富樫左衛門を演じる「勧進帳」などを上演する。チケットはS席2万4000円、A席2万2000円、B席1万2000円、C席8000円。同年2月20日に一般発売される。

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