ドラゴンボールDAIMA
第6話 イナヅマ
11月18日(月)放送分
毎クール40本以上の新作アニメが深夜放送され、盛り上がっているようにも見えるアニメ業界だが、ブルーレイディスク(BD)やDVDなどが売れなくなってきた……という声も一部ある。そんな中、動画配信サービス「Netflix(ネットフリッス)」がアニメに注力していることが話題だ。
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続々と新作アニメを独占配信し、「攻殻機動隊」シリーズなどのアニメ制作会社「プロダクションI.G」、「交響詩篇エウレカセブン」などのアニメ制作会社「ボンズ」と包括的業務提携契約を締結。Netflixは、日本で2015年にサービスを開始した際、映画界の“黒船”となるとも言われたが、アニメ業界でもその動向が注目されている。Netflixのアニメは制作費が膨大……などというウワサもある。
プロダクションI.Gの石川光久社長、ボンズの南雅彦社長に、“黒船”の影響、包括的業務提携について聞いた。
Netflixは、1月に永井豪さんのマンガ「デビルマン」の新作アニメ「DEVILMAN crybaby」、3月にはプロダクションI.G制作の「B:The Beginning」、ボンズ制作の「A.I.C.O. Incarnation」、マンガ「ソードガイ 装刀凱」が原作の「ソードガイ The Animation」を世界同時に独占配信した。これまでも日本のテレビアニメや劇場版アニメを積極的に配信してきた。オリジナル作品の配信が始まり、アニメ業界でその動向が注目されている。
アニメ制作会社にとって、Netflixでアニメを配信するメリットとは何だろうか? 一つは、南社長が「Netflixには1億人以上のお客さんがいる。今までにない形で見ていただけるのが魅力的。昔は海外への作品の販売が安かった。今は、映像を世界中に見てもらえる時代になった」と話すように、世界に向けて作品を配信できるところだ。
日本のテレビアニメは、放送1時間後くらいには違法サイトに作品が上がってしまうこともあり、各社は海賊版を取り締まっているが、Netflixでは正規に世界中に配信ができる。海外でも人気の作品を制作してきた実績があるプロダクションI.G、ボンズと包括的業務提携を結んだのはそういうわけだ。
両社はNetflixだけのためにアニメを制作するわけではない。今までと同様にテレビアニメなども制作していく。石川社長は「プロ野球選手が、複数年契約をしたようなもの。1本だけではなく、複数年かけて企画の段階から作品を作っていく。独占ではない」。南社長は「作品一本一本の結果で判断するのではなく、長い期間でチャレンジできる。そんな機会はなかなか無い」と説明する。
一般的に深夜アニメは、テレビ放送はあくまでもソフトや原作をPRする場で、BD、DVDといったソフトや原作の売り上げなどで制作費を回収している。複数の会社が出資して、資金リスクを分散し、利益が出た場合は出資比率に準じて分配する製作委員会方式を採ることも多い。しかし、石川社長は「2、3年前から言われていますが、これから先はDVDなどソフトでビジネスをやっていくのが難しい。製作委員会方式は岐路に立っている」と話すように、ビジネスモデルが変化しつつある。
両社は製作委員会方式とは異なるビジネスモデルを採った。石井社長は「製作委員会は、出資者の権利が分配される。一方で、サンライズ、タツノコプロなど昔の日本のアニメ制作会社が成長したのは、オリジナルアニメの放送後、著作権を含めて制作会社の権利になったことが大きい。今回のNetflixも似ているんですよ。中長期でビジネスを考えられる。だから、深夜アニメのビジネスモデルから元に戻ったとも言えるかもしれない」と説明する。
Netflix配信のアニメは、予算が潤沢で、作画枚数も増える……。ネットを中心にそんなウワサもささやかれている。南社長は「例えば、これまでが国内に向けた予算規模の企画だったとして、これからは世界に向けた企画で予算を考えることもできる。これまでにない企画の立て方もできる。作品に合わせて、カット数も増やそうと思えば増やすなどいろいろなことができるようにはなる」と話す。企画によっては予算を調整して、作画枚数が増えることもあるようだ。
Netflixで配信中のオリジナルアニメ「B:The Beginning」を手がけた中澤一登監督にインタビューした際、テレビアニメではできない表現ができたという話もあった。表現の幅が広がるのも、クリエーターにとって魅力的なのかもしれない。
石川社長は今後、Netflixを含む配信主体のアニメが「増えていくだろう」と予想している。いいことばかりにも見えるが、アニメ業界への今後の影響は中長期で見ていかないと分からない。“黒船”の影響で“維新”は起こるのだろうか……。
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