グッド・ドクター:山崎賢人が難役挑戦で新境地へ 監督「覚悟を持ってやってくれている」

連続ドラマ「グッド・ドクター」第1話のワンシーン(C)フジテレビ
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連続ドラマ「グッド・ドクター」第1話のワンシーン(C)フジテレビ

 俳優の山崎賢人さんが主演を務める連続ドラマ「グッド・ドクター」(フジテレビ系、木曜午後10時)の初回が12日放送され、平均視聴率は11.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と好スタートを切った。小児外科医の世界を舞台にしたメディカルヒューマンドラマで、山崎さんが初の医師役に挑戦している。ドラマの演出を務める金井紘監督に、山崎さんの演技や作品に込めた思いなどを聞いた。

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 ドラマは、2013年に韓国で放送された同名の連続ドラマが原作で、米国でもドラマ化された。山崎さんが演じているのは、自閉症スペクトラム障害でコミュニケーション能力に問題を抱える一方、驚異的な記憶力を持つサヴァン症候群の青年・新堂湊。ドラマでは、湊が医師全体の0.3%しかいないという小児外科の世界に飛び込み、周りからの偏見や反発にさらされながらも、子供たちの命のために闘い、心に寄り添い、成長していく姿を描いている。

 ◇山崎賢人の新しい一面を引き出したかった

 16年7月期に放送された連続ドラマ「好きな人がいること」(同局系)などで、山崎さんを演出したことがある金井監督は、今作で「山崎賢人の新しい表情、イケメンでクールな彼の印象と違う一面を引き出すことにチャレンジしたかった」と話す。そして、「湊のようなキャラクターを演じてもらうということで生半可にはできません。山崎さんには、原作やたくさんの資料を渡しました。忙しい合間を縫って、彼は目を通してくれ、湊と真摯(しんし)に向き合い役作りをしてくれました。山崎君は覚悟を持ってやってくれていると思います」と真剣な表情で語った。

 湊を演じるために、山崎さんは個人的に2日間のリハーサルを行ったという。「歩き方や目、手の動きなどを入念に相談し合いました。彼もすごく考えてやってくれました」と振り返る。作品の中には、山崎さんの真っすぐなまなざしや気持ちの起伏を手で表現する場面などが登場する。「山崎君自身が持っているピュアさと、目と手の芝居がすごく重要だなって思っていました。湊の“真っすぐな瞳”というのは、意識して作っています」と明かした。

 また、山崎さんをはじめとしたキャスト、スタッフは病院を訪問し、取材をしたといい、「山崎君も闘病している子供たちを目の当たりにし、小児外科の先生たちの話を実際に聞いてもらいました。キャスト、スタッフ全員が(題材を)ちゃんと理解して作品を伝えようとしている。それぞれが取材したことを細かく表現してくれていたり、練習を重ねたりして演じてくれています。皆さんが、高いモチベーションと使命感を持って準備してくださいました」と胸を張る。

 ◇グッド・ドクターは「時代と逆行した作品」

 湊は「ただ子供を救いたい」だけという純粋な気持ちで、病院の慣例や都合と衝突し、トラブルを起こしてしまう。しかし、そんな時に発せられる湊や周囲の言動は「本当に良い医者とは?」「人としてどう生きるべきか?」というテーマを突きつける。

 金井監督は「ドラマはエンターテインメント作品です。しかし、(現在の日本の)小児外科の少なさや病院経営を圧迫していることなど、小児外科の現状を知っていただくチャンスだと思っています」と話し、「このドラマを見ていただいて、闘病している子供たち、そこに携わっている先生やご家族の方などに、少しでも元気になってもらえたら、という気持ちでスタッフ、キャストが一丸となって取り組んでいます」と力を込める。

 フジテレビはこれまで「コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-」や「救命病棟24時」など人気医療ドラマを生み出してきたが、金井監督は「それらとは差別化したいと思っていました」という。「人間の生死ではなく、小児外科で働く先生と、闘病されている患者さん、そしてその家族を切り取るヒューマンドラマを描くつもりで演出しています」と説明する。

 続けて、「現在の医療ドラマの主流は、オペシーンにリアルな緊迫感があるものが多いけど、そこに重きを置いていません。ダークヒーローの作品もあります。そういう意味では、時代と逆行した作品を作っていると思います」と話し、「ピュアな湊のキャラクターを通して、小児外科医の現状とかっこよさ、誰もが持っている人の温かみなど、人が忘れがちなものを、はたと気づかせてくれるようなドラマです」と笑顔で語った。

 今後も、ピュアな湊の行動が視聴者の気持ちを温かくしてくれることに期待したい。「グッド・ドクター」は毎週木曜午後10時放送。

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