2018シーズンのテニス世界4大大会（グランドスラム）の最終第4戦となる「全米オープンテニス」が27日に開幕し、9月10日まで繰り広げられる試合をWOWOWで連日独占生中継する。番組で解説を務める松岡修造さんに、大会の注目ポイントを聞いた。

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　「全米オープンテニス」は、ニューヨークの「USTAビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニスセンター」で開催される。今回は“ビッグ4”のうち、ロジャー・フェデラー選手、ラファエル・ナダル選手、ノバク・ジョコビッチ選手の3選手、女子はシモナ・ハレプ選手、セリーナ・ウィリアムズ選手らが出場。日本の錦織圭選手、大坂なおみ選手らも参戦する。

　◇錦織圭の復調の兆しを間近で確認

　右手首のけがから今季復帰した錦織選手は、5月の全仏オープンでベスト16、7月のウィンブルドン選手権でベスト8に進出と復調。過去の全米オープンでは2014年に準優勝、16年にベスト4という結果を残している。

　今年7月30日から米ワシントンD．C．で開催された「ATPワールドツアー500」での錦織選手について「本当にいいと思った。テニスが好きだったころの錦織圭が戻ってきつつある。それは一球一球のガッツポーズの作り方ですね、ここ数カ月の圭じゃない。調整しながら戦っているような気がした。（ブレークのされ方次第では）けがする前の圭だったらラケットを放り投げていたかもしれない。どんなときもガッツポーズを作りながら険しい時間を楽しんでいた。この集中力で、がまんしてやっていけば、（全米オープンテニスの）優勝の可能性はあると思います」と期待する。

　大坂選手については「僕は大好きです（笑い）」と笑顔で語る。「彼女の魅力は『考えないこと』。（試合で）何をするか分からない。テニスには『考えてプレーしなさい』っていう型があるのですが（大坂選手には）ハマらないんですよ（笑い）。僕は彼女のことを“なおみキャンドル”と言っているのですが、心の炎が燃えているときは相手が世界一だろうが太刀打ちできない。炎を消した時点で別人になってしまう。そんな人を初めて見ました。そこが魅力なんです。優勝の可能性は十分にあると思います」と声を弾ませる。

　◇フェデラー、ナダル、ジョコビッチと錦織の差は…

　優勝予想を聞かれた松岡さんは「本当に予測できない（笑い）」といい、「ウィンブルドン選手権で優勝したジョコビッチ選手のように心が完璧に戻っちゃうことがある。これがトップ選手。フェデラー選手やナダル選手が心底から勝ちたいと思っているときって、テニスがずれても、経験と王者としてのポイントの取り方を知っている。圭はそれを、まだ知らない。“グランドスラムをとった”という経験による大きな差だと思います。圭が、それを知ったときに全く違うレベルのテニスができると思う」と分析する。

　続けて、「（錦織選手は）チャンスになったときに攻撃にいけず、まだ守ってしまう。彼の良さは自分から攻めていったとき。ビッグ4と戦うときは守りながら勝たないといけない。自分との戦いなんです」と真剣な表情で語る。

　◇ユニークな解説のポイントは…

　テニスの試合を解説するにあたり、松岡さんが大切にしていることは、「自分のテニスには才能がないと思っていますが、解説はオールマイティーにできると思っています（笑い）」とちゃめっ気たっぷりに話し出し、「僕の解説は、あえて特殊にやっています。テニスを知らない方たちが（番組で試合を）見るようになってきて、解説が分かりやすくないといけないし、面白いなって思ってもらわないといけない。僕が解説する中でポイントにしています」と明かす。

　解説をするときには「ある程度、（試合の）予測が必要。例えば、相手選手が得点を多くとっていても、圭のほうが有利になっているときがあります。それは経験などで分かったりします。そして、そこには必ず理由があります。テニスにはルーティンや数字的な計算があるので、そういうものを見ながら解説しています」と説明する。

　テニスを観戦するときの楽しみ方は「テニスはミスしてオーケーというスポーツ。狙ったところに入ることが奇跡に近い。選手が失敗をどう捉えるのかがテニスの醍醐味（だいごみ）だと思っています。選手がどういうミスをしているのかを見ると、面白いかもしれません。ミス合戦になったら面白いですよ！」と力を込める。「あとは、僕が解説をしているときに黙ったときがポイント。それは試合のいいシーン。僕が言葉を発しなくても、お客さんと会場の雰囲気を感じてくれた方が面白い場面もあると思います」と見どころを語った。

　「全米オープンテニス」は27日から9月10日までWOWOWプライムとWOWOWライブで連日独占生中継。1日目と5日目ナイトセッションは無料放送。