社会派ドキュメンタリー番組に定評のある東海テレビが、テレビの報道の現場に密着したドキュメンタリー特番「東海テレビ開局60周年記念 さよならテレビ」が東海エリアで2日午後4時から放送される。指定暴力団を長期取材した「ヤクザと憲法」など刺激的な題材を取り上げたドキュメンタリーで知られる同局の土方宏史ディレクター(D)が手がけた。
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東海テレビは、これまで指定暴力団から弁護士、死刑囚、女優の樹木希林さん、災害救助犬まで「取材対象にタブーはない」をモットーに、さまざまな取材対象に密着してきた。今回は、「東海テレビ」の報道現場に密着。2016年11月から今年の6月まで、間に2カ月の取材休止を挟みながら社内やニュース番組の現場にカメラを入れて取材し、取材テープは約700時間分に及んだ。
番組では、取材する側からされる側になったテレビマンたちの戸惑いや、花見から殺人現場までに及ぶニュース取材の様子、他局との視聴率競争と「働き方改革」との間で模索する現場の姿などを映し出す。徐々に同局の福島智之アナと、新人とベテランの2人の外部スタッフの姿がフィーチャーされていき、テレビ局で働く人々の現実が赤裸々になる。
「今のテレビに組織として明るい話題はない」という土方Dは「テレビは今のっぴきならないところにきていて、取材対象になり得る題材。でも自分たちのことを取り上げてこなかった。せっかく東海テレビにいるからには、他社では取り上げられないもので、今取り上げるべきものとしてメディアを(取材対象に)選んだ」と説明。今回の番組を「私たち(東海テレビ)の自画像」と表現する。
タイトルの「さよならテレビ」は、同局で数々のドキュメンタリーを手がけた同番組の阿武野勝彦プロデューサー(P)が名付けた。テレビとの永遠の別れではなく“区切り”を意味し、土方D、阿武野Pともに、テレビとテレビマンとの関係を「一度別れないと再生できないところまできている」と考えている。土方Dは「“きれいなものを見つけたら、みんなに知らせたくなる”というテレビマンの根本を、僕も含めて忘れ、組織の理論や視聴率に絡め取られている。いち地方局(東海テレビ)の報道部の先にテレビ全体、メディア全体がある。それを感じてもらえれば」と願いを語った。
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