ダンス・ボーカルグループ「三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE」の山下健二郎さんが主演を務めた映画「DTC -湯けむり純情篇- from HiGH&LOW」(平沼紀久監督)が公開中だ。今作は、ドラマや映画、SNS、配信、マンガ、オリジナルベストアルバム、ライブなどが連動した「EXILE TRIBE」によるプロジェクト「HiGH&LOW」シリーズのスピンオフ。物語の主軸である「DTC」メンバーのダン役を演じる山下さんに話を聞いた。
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今作は、山下さん扮(ふん)する山王連合会のダン、「劇団EXILE」の佐藤寛太さん演じるテッツ、「EXILE/FANTASTICS」の佐藤大樹さん演じるチハルというDTCの3人がバイク旅の途中で巻き起こす騒動を描くが、ダンの生い立ちについても語られている。
ダン役を演じる山下さん自身は、「(ダンは)家庭環境がちょっと複雑で、小さいころはコンプレックスを抱えながらも、持ち前の明るさで友達も多い少年だったのでは」と少年時代をイメージし、「(ダンは)自分がいろいろ苦しんだ分、人には優しく誰か困っている人を助けるという気持ちが強くなったのでは。特にDTCの3人は困っている人を放っておけない」と性格を分析する。
「HiGH&LOW」は、2015年のテレビドラマからスタートし映画も4作公開されるなど、シリーズが長期間にわたっている。同じ役を演じ続けることについて、「良さは役作りをせずに、そのまますんなりとできること」と山下さんは言い、「『HiGH&LOW』はみんな等身大に近いキャラをやっている人が多い印象なので、それだけ愛着も湧いてくる」と話す。
ただ、シリーズが進むにつれて「ありがたいことでもあるのですが、求められることがすごくなっていく」と言い、「DTCは会話シーンが多いのですが、(DTC)3人とも台本覚えがかなり早い。そのため、さらにいいものを、ということで、前日にせりふが変更されることも。夜に渡されて次の日の早朝に撮るからと言われると『覚えられない』と思うのですが、これが覚えられちゃう。(自分たちが)どんどん苦しくなっていくので、これからはできないことはできないと、はっきり言おうと思います」と笑顔で宣言。そして、「ただ(せりふが)抜けるのも3人ともめっちゃ早い」と自虐的に付け加えた。
「HiGH&LOW」シリーズには魅力的なキャラクターが数多くいる中で、今作は自身が演じるダンらDTCがメインの物語だが、山下さんは「メインでやらせていただける分、(お客さんから)見られる時間もせりふ量も多い。役作りはできているのですが、どういうふうにアプローチして見せようかというのは常に(DTCの)3人で考えていましたし、監督の紀さん(平沼監督)は昔から知っているので、4人でもいろいろ話しました」と振り返る。
平沼監督とは付き合いが長いこともあり、「映画をやると決まったとき、紀さんだからこそ言いやすい部分もあったかもしれませんが、脚本を書いて監督をやってくれる紀さんに、こういう映画にしたい」と伝えたと言い、「『HiGH&LOW』シリーズ好きな人はもちろん、初見でも絶対に面白い作品にしたいから、世界観は崩さずに、あまりキャラクターの名前やSWORD(スウォード)地区の細かい部分などは入れないでほしい、とは言いました」と提案したことを明かす。
その理由について、「『HiGH&LOW』シリーズを全く見たことがない方にもぜひ楽しんでいただきたいと思うので」と説明し、さらに「バイクシーンは必ず入れてほしい。アクションというよりはコメディータッチで、笑いがありつつ、最後はちょっと泣けるぐらいが最高というのは、紀さんとの会議で決まりました。自分たちの意見がかなり反映されたのでは」とうれしそうに語る。
映画ではダンスや歌うシーンもあるが、「ダンスは結構リハーサルしました。撮影がタイトなこともあり、役者側では迷惑をかけないようにしようということで、形をしっかりと固めていきました」と語り、自身の歌については「面白かったです。歌は決して嫌いではないのですが、ただうまいか下手かはよく分からない(笑い)」とはにかむ。
今作では山下さんと共にDTCメンバーを演じる佐藤寛太さん、佐藤大樹さんとは、画面からもチームワークのよさが伝わってくる。撮影の合間には「仕事やグループの話もしましたけど、何をしゃべっていたか覚えてないほど、くだらないことをずっとしゃべっていました(笑い)」と仲のよさが伝わるエピソードを明かす。
普段の3人と役どころとは、「あのまま。本当にそのまま、等身大」と言うが、ギャップを感じる人として、「寛太かな。寛太は野性的で、何も計算がなくて思ったことを言っちゃう。いい意味ではピュアだけど、裏を返せばバカなのかな(笑い)」と愛情たっぷりに表現。「テッツとはちょっと違うのかなと。そのままといえばそのままですけど可愛い。(佐藤寛太さん、佐藤大樹さん)2人とも可愛いです」と兄貴(あにき)のように優しくほほ笑む。
山下さんは、大所帯のEXILE TRIBE内での自身の立ち位置を「中間管理職的な感じ」と表現する。「あとは、みんなができることと、僕にしかできないことが結構あるのかなと。お笑いやバラティーに近いようなタッチは、もしかしたら自分が好きで得意なのかなと思っています」と自身の強みを分析する。
さらに、自身が所属する「三代目 J Soul Brothers」の存在が「三代目のメンバーはみんなやりたいことが明確なのですが、全員それがバッティングしない。グループとしていいバランスでここまで来られた」と居心地のよさを感じているようだ。
そんな山下さんの最終的な目標を聞くと、「所ジョージさん」と意外な答えが返ってきた。「すごく趣味が豊富で、家族も大切にされていて、メインMCをされているなど、すべてパーフェクト。憧れます」と理由を説明する
今後チャレンジしたい仕事として、「お笑いやバラエティーがすごく好きで、バラエティーのMCはいつかやってみたい。いつか自分の番組を持ってみたい」と明かし、「(所さんのように)世田谷ベースみたいな基地を作って番組にしたいし、そこからいろいろと発信して総合エンターテインメントを自分で作ってみたい。ラジコンが好きなので、いつか(模型メーカーの)タミヤとコラボもしてみたいです」と思いをはせる。
グループの活動と並行して俳優としても活躍しているが、「LDHには俳優から入り、劇団EXILEから三代目になったので、僕の人生を作ってくれたのが俳優業」と自身のルーツを語り、「そこからいろんな夢が広がってパフォーマーにもなれたので、もしかしたら俳優業は、人生で最終的に残る一番大事なもので、生涯やり続ける仕事かもしれません」と力強く答えた。
目標に向かって、「今年はもう残りわずかなので、来年までにレギュラー番組を増やして、三代目の山下というイメージはもちろん持っていただいていいのですが、自分ではそこを崩していきたい。山下健二郎という人間はグループから出るとこんな人なんだと思ってもらうことが、今の目標です」と語った。
(取材・文・撮影:遠藤政樹)
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