女優、川栄李奈さんの初主演映画「恋のしずく」(瀬木直貴監督)が20日から丸の内TOEI(東京都中央区)ほかで公開される。舞台は、日本三大酒どころの一つ、広島県東広島市西条。伝統の酒造りを通して、人と出会いながら進路を定める若者の成長を描いたオリジナルストーリーだ。多数の映画やドラマに出演し活躍目覚ましい川栄さんが、酒造り実習生を体当たりで演じている。今年2月に亡くなった名優・大杉漣さんも出演している。
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農業大学に通う橘詩織(川栄さん)はワインソムリエを目指している。実習先はワイナリーを希望していたが、西条の老舗・乃神酒造に決まった。日本酒が苦手な詩織だったが、失敗や苦労などさまざまな体験を重ねながら成長していく……という展開。
持病のある蔵元の乃神輝義を大杉さんが味わい深く演じている。後を継がないことで父親と折り合いが悪い息子の完爾(劇団EXILEの小野塚勇人さん)と激しくぶつかり合うシーンが印象的だ。宮地真緒さん、中村優一さん、津田寛治さんらも出演している。
ひょんなことから決まった実習先。波乱の幕開けだったが、詩織は地元の人々と触れ合うことで、酒造りに携わる人々の思いを知ることになる。「酒造りは命を育む仕事」と語る杜氏の下、頭でっかちだったリケジョが、樽を担いで力仕事をし、名酒を口にし、伝統文化を肌で感じるうちに成長していく。共に成長する蔵元の息子ら地元の若者たちとの交流や、ほのかな恋心が爽やかに描かれている。頭に手ぬぐいをかぶった川栄さんが可愛らしく、戸惑い、迷い、喜び……ヒロインを生き生きと演じている。
「ラーメン侍」(11年)などを手がけた瀬木監督は撮影場所に住み、土地の雰囲気を丸ごと映画に取り入れるスタイルで知られる。世界に名高い「SAKE」(日本酒)という題材を扱い、本物の蔵元で撮影し、地元の協力を得て映画を完成させた。伝統と品のある美しい街も見どころ。日本酒の監修は、NHK連続テレビ小説「マッサン」でも監修を担当した杜氏の石川達也さんが担当した。
収益の一部は、西日本豪雨の被災地の復興支援に使われる。舞台となった広島で先行公開中。(キョーコ/フリーライター)
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