北川景子:記者役「皮肉な感じ」 「便利で危険なツール」とSNS観も

NHKのドラマ「フェイクニュース」で主人公・東雲樹を演じる北川景子さん(C)NHK
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NHKのドラマ「フェイクニュース」で主人公・東雲樹を演じる北川景子さん(C)NHK

 女優の北川景子さんが主演するNHKのドラマ「フェイクニュース」が20日から放送される。ドラマはフェイクニュースやSNSにまつわる事件を扱う社会派エンターテインメント作で、「逃げるは恥だが役に立つ(逃げ恥)」(TBS系)などで知られる野木亜紀子さんが脚本を担当した。北川さんは大手新聞社からネットメディアに出向し、事件の真実を追い求める芯の強い女性記者・東雲樹(しののめ・いつき)を演じる。「これまで取材を受けたり、記事で取り上げていただいたりして、PV数に貢献してきたという気持ちがあって(笑い)。自分が記者として書く、というのは非常に皮肉な感じ」とも明かす北川さんに、記者役を演じた感想や野木さんの脚本の印象、フェイクニュースやSNSに対する考え方などを聞いた。

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 ◇「逃げ恥」などでおなじみ 野木亜紀子作品の印象は…

 ドラマは世界中で話題の“フェイクニュース”を切り口に、「真実と嘘」「分断」「人は何を信じるのか」という普遍的なテーマを描いた作品。大手新聞社からネットメディアに出向した樹(北川さん)はある日、編集長の宇佐美寛治(新井浩文さん) からインスタント食品への青虫混入事件について取材するよう命じられる。樹の前に現れたのは、SNSに青虫混入の投稿をした男(光石研さん)だった。青虫混入の投稿をきっかけに事態は思わぬ方向へと拡大。企業間の争いにまで発展し、やがてその矛先は樹自身にまで及ぶ……というストーリー。

 放送中の大河ドラマ「西郷どん」では天璋院(篤姫)役を演じたが、NHKドラマは今作が初主演となる北川さん。「脚本の野木先生とご一緒してみたかったし、(NHKでは)大河ドラマ以外の作品はこれまで一度も出演したことがなかったので」と出演を決めた理由を明かす。野木さんについては「オリジナルが得意とか原作ものが得意とか、えり分けたりせず、幅広くいろいろな作品に挑戦されている方」と印象を明かす。「女優さんが、野木さんの作品ですごく生き生きしているところを見ていて『じゃあ、私が野木さんとご一緒したらどういうふうに書いてくださるんだろう』と思って。ご一緒したい、と思いました」と語る。

 記者役を演じるのも「初めて」と北川さん。「台本の中に『PV数』というワードが出てくるんですが、これまで取材を受けたり、記事で取り上げていただいたりして、PV数に貢献してきたという気持ちがあって(笑い)。自分が記者として書く、というのは非常に皮肉な感じがしました」と率直な思いを吐露。「今までたくさん取材を受けさせていただいた中で、どんな方がいたかな、と思い返したりもしました。ネットメディアってどういう仕事で、どういう場所で、何時ぐらいに出社して、デスクってどうなっているんだろうということを、資料を見たり、実際にネットメディアに勤められている方のブログを読んだりして……雰囲気をつかめたらいいなと思ってやっていました」と説明する。

 脚本は「逃げ恥」などで知られる野木さんだ。今作については、北川さんは「どうつながっていくんだろうとドキドキしながら、すごくライブ感のある脚本だなと読んでいきました」と話す。ドラマでは厳しい現実も描かれているといい、「人生そんなに甘くないよな、ということをしっかり書かれているのが野木さんらしいというか……きちんと現実を描かれていると思いました」と感想を語る。

 ◇自身の“SNS観”は? プライベートで「怖い思いも」 

 ドラマの題材は“フェイクニュース”。北川さんはドラマのタイトルにもなっているこの“フェイクニュース”について、どのような考えを持っているのか。「芸能界に限らず、社会や政治でも偏った情報があふれているなと、もともと知っていたので、ある意味冷静な気持ちでマスメディアの情報は目にしています」と北川さん。「マスメディアが発する情報の取捨選択は、受け取る側に委ねられています。どういう情報を信じるのか、信じないのかは、受け取る側が責任を持たなければいけない、判断力を養わなければならないと思っています」とメディアに対する見解を語る。

 劇中では、SNSで虚偽の情報がまたたく間に拡散されていく危うさが描かれている。今では芸能人がSNSを活用するのは当たり前となったが、北川さんはSNSには慎重なスタンスだという。北川さんに“SNS観”を聞いてみると、「公平な立場、という感じですね。すごくポジティブでもないし、ネガティブでもない。仕事柄、いい面と悪い面の両方を知っているので」という。

 「公人として顔と名前をさらして仕事していなければ便利だと思って利用していたかもしれませんが。一方、『北川景子がどこどこでご飯食べていたよ』とつぶやかれて人が集まって怖い思いをしたこともあるし、プライベートでご飯を食べている個室を開けられたときもありました。映画や舞台を見に行って、終わった後にブワーッと人が集まっていたこともあり……そういう怖い思いをしたことがあるから、便利だけど、怖いなという感じです」とSNSに慎重な理由を過去の経験を交えて明かす。「正しい使い方をする分にはすごくいいツールで、使い方を誤ってしまうと危険なツールだと思います」と語る。

 ◇「西郷どん」で縁がつながったNHKドラマ 朝ドラは「チャンスがあれば」

 放送中の「西郷どん」に今作と、NHKドラマへの出演が続いている北川さん。NHKドラマには「出てみたいという思いがずっとあった」と明かし、「NHKは全国津々浦々どこでも放送があるので、出てみたいという思いがずっとあったんですけど、たまたま10代や20代のときはなくて。『西郷どん』でご縁がつながったから、今後は広がっていくのじゃないかな、と思っています」とほほ笑む。

 意外にも“朝ドラ”出演経験はまだないが、朝ドラへの思いを聞くと「もしかしたら朝ドラもチャンスがあれば出演させていただけるかもしれないので、そうなるように、まずは『フェイクニュース』をいいものに仕上げられたらいいなと思います。関西出身なので、関西弁とか、朝ドラも(使うことが)あるから、使えたらいいなとは思っているんですけど、それはまた、お話をいただけたら、ですね(笑い)」と柔和な表情で正直な気持ちを語った。

 ドラマは前後編で、NHK総合で20日に前編、27日に後編を、両日共午後9時から放送。

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